
プラハの石畳を歩けば、ジェームズ・ボンドが疾走したカーチェイスシーンが蘇る。ブダペストのドナウ川沿いに立てば、映画の中で見た壮麗な国会議事堂が目の前に現れる。クラクフの旧市街では、スピルバーグが記録したホロコーストの記憶に触れることができる——ロシア・東欧は、世界の名作映画を生み出してきた「巨大な野外スタジオ」です。
007シリーズの『カジノ・ロワイヤル』、ウェス・アンダーソンの『グランド・ブダペスト・ホテル』、スピルバーグの『シンドラーのリスト』、HBOの大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』——これらの作品に共通するのは、ロシア・東欧の歴史的建造物や美しい街並みが、物語に深みと真実味を与えているということです。CGでは再現できない本物の質感、数百年の時を刻んだ石造りの建築、中世から続く街の記憶。それらすべてが、映画のワンシーンを特別なものにしています。
本記事では、映画ロケ地巡りの新たな聖地として注目を集めるロシア・東欧の主要スポット10箇所を徹底解説します。プラハ、ブダペスト、クラクフ、ドゥブロヴニク、サンクトペテルブルク——それぞれの都市で撮影された名作映画、アクセス方法、観光のベストシーズン、そしてANAマイルやJALマイルを活用した効率的な旅行プランまで、映画ファンが知りたい情報を完全網羅しています。
西ヨーロッパに比べて旅行コストが抑えられること、世界遺産の宝庫であること、そして何より「映画の世界に入り込める」という唯一無二の体験——ロシア・東欧の映画ロケ地巡りには、これだけの魅力が詰まっています。あなたも、スクリーンで見た風景を実際に歩いてみませんか?
なぜロシア・東欧の映画ロケ地を訪れるべきか?

理由1:ハリウッド大作から歴史的名作まで、映画の多様性
ロシア・東欧が映画ロケ地として選ばれる理由は、その圧倒的な「汎用性」にあります。スパイアクション映画なら、プラハの中世の街並みが完璧な舞台になります。実際、007シリーズ『カジノ・ロワイヤル』では、プラハとカルロヴィ・ヴァリの美しい建築が、ジェームズ・ボンドの優雅さとスリリングなアクションを引き立てました。同じくトム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル』シリーズも、プラハやモスクワの壮大な風景を効果的に活用しています。
歴史ドラマでは、クラクフやワルシャワが第二次世界大戦時代を忠実に再現する舞台となります。スティーヴン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』は、クラクフの実際のユダヤ人地区カジミェシュで撮影され、その真実味あふれる映像は観る者の心を揺さぶりました。ロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』も、ワルシャワの破壊と復興の歴史を背景に、戦争の悲劇を描いています。
ファンタジーやダークな世界観を求める監督たちは、ルーマニアのトランシルヴァニア地方やハンガリーのブダペストに注目します。ドラキュラ伝説の舞台となったブラン城は、数々のホラー映画やファンタジー作品で「吸血鬼の城」として登場。ケイト・ベッキンセール主演の『アンダーワールド』シリーズは、ブダペストのゴシック建築を背景に、ヴァンパイアとライカンの戦いを描きました。
そして、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』は、ドイツ東部ゲルリッツの美しい建築物を活用し、架空の東欧の国「ズブロフカ共和国」を創造しました。この映画は、東欧の街並みが持つ独特の色彩とノスタルジックな雰囲気を世界中に知らしめる作品となりました。
理由2:世界遺産の宝庫で、保存状態が抜群
ロシア・東欧の映画ロケ地の多くは、ユネスコ世界遺産に登録されています。プラハ歴史地区、クラクフ歴史地区、ワルシャワ歴史地区、ドゥブロヴニク旧市街、サンクトペテルブルク歴史地区——これらはすべて世界遺産であり、国際的な保護を受けながら美しい姿を保ち続けています。
特筆すべきは、ワルシャワ旧市街です。第二次世界大戦で85%が破壊されたこの街は、市民たちの手によって「14~18世紀の姿」に忠実に再建されました。その復興への情熱と技術が評価され、1980年に世界遺産に登録されています。映画『戦場のピアニスト』で描かれた破壊の記憶と、現在の美しい街並みを対比することで、歴史の重みを実感できるでしょう。
プラハは「ヨーロッパの建築博物館」と称されるほど、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック、アール・ヌーヴォーなど、さまざまな時代の建築様式が共存しています。600年以上の歴史を持つカレル橋、旧市街広場の天文時計、プラハ城——これらの建造物は、映画の中で何度も登場し、その美しさで観客を魅了してきました。
ドゥブロヴニクの城壁は、7世紀から続く要塞都市の歴史を今に伝えています。全長約2kmの城壁の上を歩けば、アドリア海の青と旧市街の赤い屋根が織りなす絶景が広がります。この風景は、『ゲーム・オブ・スローンズ』で「キングズ・ランディング」として世界中に知られることになりました。ドラマのファンなら、ロケ地巡りツアーに参加することで、ドラマの名シーンを実際に体験できます。
理由3:西ヨーロッパより手頃な旅行コスト
ロシア・東欧旅行の大きな魅力の一つが、比較的手頃な旅行コストです。パリやロンドンと比較すると、宿泊費、食費、観光費用のすべてにおいて、30~50%程度安く抑えられるケースが多いです。特にポーランド、チェコ、ハンガリーは、EU加盟国でありながら物価が比較的低く、予算を抑えた旅行に最適です。
例えば、プラハの3つ星ホテルは1泊50~80ユーロ程度、ブダペストなら40~70ユーロ程度で快適な宿泊施設を見つけることができます。ミシュラン星付きレストランでなければ、ディナーは1人15~25ユーロで十分満足できる食事が楽しめます。クラクフの地元レストランで食べる伝統的なポーランド料理や、ブダペストの名物グヤーシュ(ハンガリー風シチュー)は、10ユーロ前後で味わえます。
観光地の入場料も手頃です。プラハ城の入場券は約250~350コルナ(約1,500~2,000円)、クラクフのヴァヴェル城は約30ズウォティ(約1,200円)、ブダペストの国会議事堂ガイドツアーは約8,000フォリント(約3,200円)と、西ヨーロッパの主要観光地と比べて割安です。
さらに、ANAマイルでヨーロッパに飛ぶことができれば、航空券代を大幅に節約できます。エコノミークラスで往復45,000~55,000マイル、ビジネスクラスで80,000~90,000マイルが目安です。マイルを活用すれば、浮いた予算をホテルのグレードアップや現地でのアクティビティに回すことができます。
理由4:「映画の世界に入り込める」という唯一無二の体験
ロシア・東欧の映画ロケ地巡りの最大の魅力は、「映画の世界に入り込める」という体験そのものです。007のジェームズ・ボンドが疾走したプラハのカレル橋を実際に歩き、『グランド・ブダペスト・ホテル』のM. グスタヴが愛したゲルリッツのカフェでコーヒーを飲み、『シンドラーのリスト』のシンドラーが働いたクラクフの工場跡を訪れる——これらの体験は、映画を観るだけでは決して得られない感動をもたらします。
プラハでは、『カジノ・ロワイヤル』のロケ地ツアーに参加することで、ボンドとヴェスパーが出会ったシーンの撮影場所や、激しいカーチェイスが繰り広げられた通りを巡ることができます。ガイドが映画のエピソードを交えながら解説してくれるため、プラハの歴史と映画の裏話を同時に学べます。
ドゥブロヴニクでは、『ゲーム・オブ・スローンズ』のロケ地巡りツアーが大人気です。サーセイの「恥の行進」が撮影された階段、ジョフリー王の結婚式が行われた場所、小評議会の会議室として使われた建物——これらを実際に訪れることで、ドラマの名シーンが鮮やかに蘇ります。ツアー参加者の中には、ドラマの衣装を着てロケ地を巡る熱心なファンもいるほどです。
カルロヴィ・ヴァリでは、『カジノ・ロワイヤル』でボンドが宿泊した「グランドホテル・プップ」に実際に泊まることができます。映画で登場したカジノシーンが撮影された「スパ1」の建物も見学可能です。温泉街としても有名なこの町で、ボンドが味わったであろう優雅なひとときを体験するのは、映画ファンにとって夢のような時間となるでしょう。
このように、ロシア・東欧の映画ロケ地巡りは、単なる観光ではなく、「映画の中の主人公になる」という特別な体験を提供してくれます。スクリーンで見た風景を実際に歩き、映画のワンシーンを自分の目で確かめ、その場所の歴史や文化に触れる——それが、ロシア・東欧の映画ロケ地巡りの醍醐味なのです。
ロシア・東欧の映画ロケ地10選
それでは、実際に訪れることができるロシア・東欧の映画ロケ地を、映画作品とともに詳しくご紹介します。各ロケ地の歴史的背景、撮影された映画の名シーン、そして実際の旅行情報まで網羅しています。
1. プラハ(チェコ)|007とミッション:インポッシブルの舞台
「百塔の街」と呼ばれるプラハは、ヨーロッパで最も美しい首都のひとつとして知られ、数多くのハリウッド映画のロケ地として選ばれてきました。中世の街並みがそのまま残るこの都市は、映画製作者にとって理想的な撮影地となっています。
プラハで撮影された主な映画作品
『007 カジノ・ロワイヤル』(2006年)では、プラハ旧市街のダンジグ宮殿がモンテネグロのカジノシーンとして使用されました。ダニエル・クレイグが新ジェームズ・ボンドとしてデビューしたこの作品では、プラハの荘厳な建築物が重要な役割を果たしています。撮影では、国立博物館前の道路でのカーチェイスシーンも印象的でした。
『ミッション:インポッシブル』(1996年)では、カレル橋やプラハ城周辺が重要なシーンで使用されています。トム・クルーズ演じるイーサン・ハントがヨーロッパを舞台に活躍するこの作品では、プラハの石畳の道や歴史的建造物が物語に深みを与えています。
プラハの見どころとロケ地巡り
カレル橋は、ヴルタヴァ川に架かる全長520メートルの石橋で、1357年に建設が始まりました。橋の両側には30体の聖人像が立ち並び、朝日や夕暮れ時には特に美しい光景が広がります。映画ファンなら、橋の上を歩きながら『ミッション:インポッシブル』のシーンを思い出すことでしょう。
プラハ城は世界最大級の古城で、9世紀から現在まで政治の中心地として機能しています。城内には聖ヴィート大聖堂、旧王宮、黄金小路などがあり、じっくり見学すると半日は必要です。城から見下ろすプラハの街並みは、まさに映画のワンシーンのような美しさです。
旧市街広場では、天文時計や聖ミクラーシュ教会など、中世の面影を色濃く残す建造物が集まっています。この広場は『トリプルX』や『リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い』などでも撮影地として使用されました。
実際の旅行情報
アクセス:ヴァーツラフ・ハヴェル・プラハ空港から市内中心部まで、エアポートエクスプレスバスで約35分、料金は100コルナ(約500円)です。日本からはヘルシンキやフランクフルト経由で約12~14時間です。
ベストシーズン:春(4~6月)と秋(9~10月)がおすすめです。夏は観光客が多く、冬は寒さが厳しいですが、雪景色のプラハも魅力的です。
宿泊:旧市街エリアに宿泊すれば、主要な観光スポットへ徒歩でアクセスできます。中級ホテルで1泊3,000~6,000円程度、高級ホテルで10,000円~です。
予算目安:1日あたりの食事代は1,500~3,000円程度。チェコビールは1杯200~300円と非常にリーズナブルです。
2. カルロヴィ・ヴァリ(チェコ)|007カジノ・ロワイヤルのホテル
プラハから西へ約130キロメートルに位置するカルロヴィ・ヴァリは、温泉保養地として14世紀から発展してきた美しい街です。ベル・エポック様式の壮麗な建築物が立ち並び、まるで時が止まったかのような優雅な雰囲気を醸し出しています。
グランドホテル・プップと007
『007 カジノ・ロワイヤル』で最も印象的なシーンのひとつが、モンテネグロのカジノで繰り広げられるポーカーゲームです。このシーンの撮影地となったのが、カルロヴィ・ヴァリのグランドホテル・プップです。1701年創業のこの歴史あるホテルは、ヨーロッパ貴族や著名人が滞在してきた格式高い施設です。
映画では、ホテルのスパ施設やカジノ、豪華なロビーが撮影に使用されました。ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドとマッツ・ミケルセン演じる悪役ル・シッフルとの緊張感溢れるポーカーシーンは、このホテルの優雅な内装があってこそ成立しました。
温泉文化とカルロヴィ・ヴァリ
この街には12の温泉源があり、それぞれ異なるミネラル成分と温度を持っています。街の中心部にはミル・コロナーダという美しい温泉回廊があり、観光客は専用のカップで温泉水を飲むことができます。温泉水は消化器系の疾患に効果があるとされ、医療目的で訪れる人も多くいます。
カルロヴィ・ヴァリはカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭の開催地としても知られています。毎年7月に開催されるこの映画祭は、カンヌやベルリンに次ぐ歴史を持ち、世界中から映画関係者が集まります。映画ファンなら、映画祭の時期に訪れるのも特別な体験になるでしょう。
実際の旅行情報
アクセス:プラハからバスで約2時間15分、料金は片道200~300コルナ(約1,000~1,500円)です。RegioJet社やFlixBusが運行しており、オンラインで予約可能です。
グランドホテル・プップ宿泊:映画のロケ地に実際に宿泊することも可能です。1泊15,000円~と高級ですが、007気分を味わえる特別な体験となります。見学だけなら、カフェやレストランを利用することで内部を見ることができます。
温泉体験:温泉カップは街中のお土産店で購入できます(300~800コルナ)。12の温泉源を巡りながら、それぞれ異なる味の温泉水を試してみましょう。
特産品:カルロヴィ・ヴァリはベヘロフカ(ハーブリキュール)の産地でもあります。お土産に最適で、街の博物館では製造過程も見学できます。
3. ブダペスト(ハンガリー)|ブレードランナー2049とアンダーワールド
「ドナウ川の真珠」と称されるブダペストは、ハンガリーの首都であり、東欧で最も映画撮影が盛んな都市のひとつです。壮大な建築物、美しいドナウ川の景観、そして低コストな撮影環境が、ハリウッドの大作映画を惹きつけています。
ブダペストで撮影された主な映画作品
『ブレードランナー 2049』(2017年)では、ブダペストの近未来的な建築物が、ディストピア的な未来都市のシーンとして使用されました。特にLudwig Museum周辺のモダンな建築群が、映画の世界観を表現するのに一役買っています。ライアン・ゴズリング演じるKが歩く荒廃した都市の風景は、ブダペストの工業地区で撮影されました。
『アンダーワールド』シリーズでは、ブダペストの地下鉄システムや歴史的建造物がヴァンパイアとウェアウルフの戦いの舞台となりました。ケイト・ベッキンセール主演のこのシリーズは、ゴシック的な雰囲気を持つブダペストの建築を最大限に活用しています。
その他にも、『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(2013年)では、ブダペストがモスクワの代役として撮影されました。国会議事堂周辺での大規模なカーチェイスシーンは、映画のハイライトのひとつです。
ブダペストの見どころ
国会議事堂は、ゴシック・リバイバル様式の壮麗な建築物で、ドナウ川沿いにそびえ立ちます。1904年に完成したこの建物は、長さ268メートル、高さ96メートルで、内部には691の部屋があります。ガイドツアーでは、ハンガリー王冠が展示されている中央ホールを見学できます。
鎖橋(セーチェーニ鎖橋)は、1849年に完成したドナウ川に架かる最初の永久橋で、ブダとペストを結んでいます。夜にライトアップされた橋の姿は、ブダペストを代表する絶景のひとつです。
セーチェーニ温泉は、ヨーロッパ最大の温泉施設のひとつで、1913年にオープンしました。黄色い新バロック様式の建物内に18のプールがあり、地元の人々がチェスをしながら温泉を楽しむ光景は、ブダペストならではの体験です。
ブダ城は、13世紀に建設が始まった王宮で、現在は国立美術館やブダペスト歴史博物館として使用されています。城からはペスト側の街並みとドナウ川を一望でき、特に夕暮れ時の景色は息を呑む美しさです。
実際の旅行情報
アクセス:リスト・フェレンツ国際空港から市内中心部まで、100Eバスで約35分、料金は900フォリント(約400円)です。日本からはヘルシンキやウィーン経由で約13~15時間です。
公共交通機関:地下鉄、トラム、バスが発達しており、72時間パスは4,150フォリント(約1,800円)です。ブダペストカードを購入すれば、公共交通機関が無料になり、多くの観光施設で割引が受けられます。
宿泊:ペスト側の5区(市街地)や6区(テレージ・コールト周辺)が観光に便利です。中級ホテルで1泊4,000~8,000円程度、高級ホテルで12,000円~です。
食事:ハンガリー料理のグヤーシュ(牛肉のスープ)やランゴシュ(揚げパン)が名物です。レストランでの食事は1回1,500~3,000円程度で楽しめます。
ベストシーズン:4月~6月と9月~10月が観光に最適です。夏は暑く、冬は寒いですが、クリスマスマーケットの時期(11月下旬~12月)も魅力的です。
4. クラクフ(ポーランド)|シンドラーのリストの舞台
ポーランド南部に位置するクラクフは、中世の面影を色濃く残す古都であり、第二次世界大戦の歴史を伝える重要な場所でもあります。スティーヴン・スピルバーグ監督の名作『シンドラーのリスト』の舞台として、世界中の人々に知られるようになりました。
『シンドラーのリスト』とクラクフ
1993年公開の『シンドラーのリスト』は、ナチス・ドイツによるホロコーストから1,200人のユダヤ人を救ったドイツ人実業家オスカー・シンドラーの実話を描いた作品です。アカデミー賞7部門を受賞したこの映画の多くのシーンが、クラクフとその周辺で撮影されました。
カジミエシュ地区は、14世紀に創設されたユダヤ人居住区で、映画の重要な舞台となりました。現在も7つのシナゴーグが残り、戦前のユダヤ人コミュニティの面影を伝えています。シェロカ通りやミオドヴァ通りは、映画のシーンそのままの雰囲気を残しており、多くの映画ファンが訪れます。
シンドラーの琺瑯工場は、現在「オスカー・シンドラーの琺瑯工場博物館」として公開されています。実際にシンドラーが工場を経営し、ユダヤ人労働者を保護した場所で、戦時中のクラクフの生活や、シンドラーの功績について詳しく学ぶことができます。映画の名シーンで使用された工場の階段や事務所も見学できます。
プワシュフ強制収容所跡は、クラクフ中心部から約4キロメートルの場所にあります。映画では、レイフ・ファインズ演じる残虐な司令官アーモン・ゲートの下で、多くのユダヤ人が苦しめられた場所として描かれました。現在は記念碑が建てられ、犠牲者を追悼する場となっています。
クラクフの見どころ
中央市場広場は、ヨーロッパ最大級の中世広場で、200メートル四方の広さを誇ります。13世紀に建てられた織物会館(スキエニツェ)や、聖マリア教会が広場を囲んでいます。聖マリア教会では、毎正時にトランペットが演奏され、クラクフの伝統を今に伝えています。
ヴァヴェル城は、10世紀から16世紀までポーランド王国の王宮として使用された城で、ゴシック、ルネサンス、バロック様式が混在する美しい建築物です。城内には王の居室や宝物庫があり、ポーランドの歴史を深く理解できます。
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所は、クラクフから西へ約65キロメートルの場所にあります。『シンドラーのリスト』の背景となったホロコーストの実態を伝える最も重要な場所であり、訪れる者に深い感銘を与えます。ガイドツアーは必須で、日本語ガイドも予約可能です。
実際の旅行情報
アクセス:ヨハネ・パウロ2世クラクフ・バリツェ空港から市内中心部まで、電車で約20分、料金は9ズロチ(約300円)です。ワルシャワからは高速鉄道で約2時間30分です。
シンドラーの琺瑯工場博物館:入場料は28ズロチ(約950円)、月曜日は無料ですが混雑します。オンラインで事前予約することをおすすめします。
アウシュヴィッツツアー:クラクフからのツアーが多数あり、往復交通費とガイド込みで150~200ズロチ(約5,000~6,800円)です。所要時間は約7時間です。
宿泊:旧市街エリアに宿泊すれば、主要観光地へ徒歩でアクセスできます。中級ホテルで1泊3,000~6,000円程度です。
食事:ポーランド餃子ピエロギや、ビゴス(煮込み料理)が名物です。レストランでの食事は1回1,000~2,500円程度で楽しめます。
5. ブラン城(ルーマニア)|ドラキュラ伝説とゴシックホラー
ルーマニア中部、トランシルヴァニア地方の山々に囲まれたブラン城は、「ドラキュラ城」として世界的に知られる中世の城塞です。ブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』のインスピレーション源とされ、数多くのホラー映画の題材となってきました。
ドラキュラ伝説とブラン城
ブラン城が「ドラキュラ城」と呼ばれるようになったのは、15世紀のワラキア公ヴラド・ツェペシュ(串刺し公)との関連が示唆されているためです。ヴラドは敵を串刺しにする残虐な処刑方法で知られ、ブラム・ストーカーが小説『ドラキュラ』を執筆する際のモデルとなったとされています。
実際には、ヴラドがこの城に長期滞在した記録はありませんが、城の雰囲気と立地が小説の描写と一致することから、観光地として「ドラキュラ城」のイメージが定着しました。城は1377年に建設され、トランシルヴァニアとワラキアを結ぶ戦略的要所として機能していました。
映画とブラン城
ブラン城は、数々のドラキュラ映画やホラー作品のロケ地として、またはインスピレーション源として使用されてきました。1992年の『ドラキュラ』(フランシス・フォード・コッポラ監督)では、城の外観や内装がデザインの参考にされました。ゲイリー・オールドマン演じるドラキュラ伯爵の居城のイメージは、ブラン城の持つゴシック的な雰囲気を反映しています。
また、『ヴァン・ヘルシング』(2004年)や『アンダーワールド』シリーズでも、ブラン城のような中世トランシルヴァニアの城がヴァンパイアの住処として描かれています。
城内の見どころ
ブラン城は4階建ての構造で、60以上の部屋があります。中世の武器や甲冑のコレクション、拷問器具の展示、そしてルーマニア王妃マリアの家具コレクションなどが見学できます。城内は迷路のように複雑で、狭い階段や秘密の通路が冒険心をくすぐります。
城の中庭からは、周囲のカルパティア山脈の美しい景色を望むことができます。秋の紅葉シーズンや、霧がかかった早朝には、まさに映画のような神秘的な光景が広がります。
周辺の見どころ
ブラショフは、ブラン城から約30キロメートルの場所にある美しい中世都市です。黒の教会、評議会広場、ロープウェイで登るタンパ山など、見どころが豊富です。ブラショフを拠点にブラン城を訪れるのが一般的なルートです。
ペレシュ城は、ブラン城から約50キロメートルの場所にある、19世紀に建てられたルーマニア王家の夏の離宮です。ネオ・ルネサンス様式の豪華な城で、ブラン城とは対照的な華やかさがあります。
実際の旅行情報
アクセス:首都ブカレストから車で約3時間、ブラショフからは約30分です。ブカレストやブラショフから日帰りツアーが多数催行されています。公共交通機関を使う場合は、ブラショフからバスで約1時間です。
入場料:大人55レイ(約1,700円)、学生は25レイです。英語のガイドツアーもあります(予約推奨)。
営業時間:月曜12:00~18:00、火~日曜9:00~18:00(冬季は~16:00)。10月31日のハロウィーンには特別イベントが開催されます。
ベストシーズン:5月~9月が観光に最適ですが、10月のハロウィーンシーズンは特別な雰囲気を楽しめます。冬は雪景色が美しいですが、道路状況に注意が必要です。
宿泊:ブラショフに宿泊するのが便利です。中級ホテルで1泊4,000~7,000円程度。ブラン城周辺にも小規模なホテルやペンションがあります。
6. サンクトペテルブルク(ロシア)|ロシア文学映画の聖地
「北のヴェネツィア」と称されるサンクトペテルブルクは、ロシア帝国の旧首都であり、ヨーロッパで最も美しい都市のひとつです。ドストエフスキー、トルストイ、プーシキンといったロシア文学の巨匠たちの作品の舞台となり、それらを映画化した作品のロケ地としても重要な役割を果たしています。
サンクトペテルブルクで撮影された映画
『アンナ・カレーニナ』(2012年、ジョー・ライト監督)では、キーラ・ナイトレイ主演でトルストイの名作が映画化されました。サンクトペテルブルクの冬宮殿や貴族の邸宅が、19世紀ロシア帝国の華やかな社交界を再現するために使用されました。
『戦争と平和』は、何度も映画化・ドラマ化されていますが、特に2016年のBBC版ドラマシリーズでは、サンクトペテルブルクの歴史的建造物が数多く登場します。ネフスキー大通りや宮殿広場でのシーンは、ナポレオン戦争時代のロシアを臨場感たっぷりに描いています。
『オネーギンの恋文』(1999年)では、レイフ・ファインズとリヴ・タイラーが主演し、プーシキンの詩的小説を映画化しました。サンクトペテルブルクの運河沿いの街並みや、エルミタージュ美術館が、18世紀末から19世紀初頭のロシア貴族社会を背景に使用されました。
サンクトペテルブルクの見どころ
エルミタージュ美術館は、世界三大美術館のひとつで、300万点以上のコレクションを誇ります。もともとはロシア皇帝の冬の宮殿として建設された建物で、レオナルド・ダ・ヴィンチ、レンブラント、ピカソなどの名画が展示されています。映画ファンにとっては、ロシア文学映画の舞台となった豪華な宮殿の内装を実際に見ることができる貴重な場所です。
血の上の救世主教会は、1881年に皇帝アレクサンドル2世が暗殺された場所に建てられた教会で、色とりどりの玉ねぎ型ドームが特徴的です。内部は約7,000平方メートルのモザイク画で覆われており、ロシア正教会芸術の傑作とされています。
ペトロパヴロフスク要塞は、1703年にピョートル大帝が建設した要塞で、サンクトペテルブルク発祥の地とされています。要塞内の大聖堂には、ピョートル大帝をはじめとするロマノフ王朝の皇帝たちが埋葬されています。
ネフスキー大通りは、サンクトペテルブルクのメインストリートで、長さ約4.5キロメートルの大通りです。ドストエフスキーの『罪と罰』や『白痴』などの作品にも登場し、19世紀から変わらぬ優雅な雰囲気を保っています。
文学ゆかりの地
ドストエフスキー記念博物館は、作家が晩年を過ごしたアパートを博物館として公開しています。『カラマーゾフの兄弟』を執筆した書斎がそのまま保存されており、文学ファンには必見の場所です。
プーシキンの家博物館やアフマートヴァ博物館など、ロシア文学を代表する作家たちの足跡を辿ることができる施設が市内に点在しています。
実際の旅行情報
ビザ:日本国籍の場合、ロシア入国には観光ビザが必要です。電子ビザ(e-Visa)が利用可能で、オンラインで申請できます(無料、8日間有効)。
アクセス:プルコヴォ空港から市内中心部まで、エクスプレスバスで約40分、料金は100ルーブル(約200円)です。モスクワからは高速鉄道サプサン号で約4時間です。
エルミタージュ美術館:入場料は700ルーブル(約1,400円)ですが、毎月第3木曜日は無料です。広大な美術館なので、少なくとも半日は確保することをおすすめします。
宿泊:ネフスキー大通り周辺が観光に便利です。中級ホテルで1泊5,000~10,000円程度、高級ホテルで15,000円~です。
ベストシーズン:5月~9月が観光に最適で、特に6月の「白夜」の時期は夜遅くまで明るく、特別な雰囲気を味わえます。冬(12月~2月)は非常に寒いですが、雪に覆われた街並みは幻想的です。
注意事項:2025年現在、国際情勢により旅行が制限される可能性があります。最新の外務省渡航情報を必ず確認してください。
7. ゲルリッツ(ドイツ)|グランド・ブダペスト・ホテルのモデル
ドイツとポーランドの国境に位置するゲルリッツは、第二次世界大戦の戦火を逃れた奇跡の街として知られています。3,500以上の歴史的建造物が完璧な状態で保存されており、「ゲルリウッド」という愛称で呼ばれるほど、映画撮影のメッカとなっています。
『グランド・ブダペスト・ホテル』とゲルリッツ
ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014年)は、架空の東欧の国を舞台にした作品ですが、その多くのシーンがゲルリッツで撮影されました。アカデミー賞9部門にノミネートされ、4部門で受賞したこの映画は、独特の色彩感覚とシンメトリーな構図で知られています。
映画で重要な役割を果たす「ゲルリッツ百貨店」(Görlitzer Warenhaus)は、1913年に建設されたユーゲントシュティール(アール・ヌーヴォー)様式の建物で、映画では架空の国「ズブロフカ共和国」の政府機関として登場します。螺旋階段や美しいステンドグラス、装飾的な内装が、映画の世界観を完璧に表現しています。
ホテルの外観シーンの一部は、ゲルリッツ近郊のシュニーコップで撮影されました。また、市内の様々な歴史的建造物が、1920年代から1960年代までの異なる時代設定のシーンで使用されています。
ゲルリッツで撮影されたその他の映画
ゲルリッツは、『グランド・ブダペスト・ホテル』以外にも数多くの映画のロケ地となっています。『イングロリアス・バスターズ』(2009年、クエンティン・タランティーノ監督)では、ナチス占領下のパリのシーンがゲルリッツで撮影されました。『アラウンド・ザ・ワールド』(2004年)や『リーダー 帝国の銀河』(2008年)などでも、ゲルリッツの美しい街並みが活用されています。 ゲルリッツの見どころ 旧市街は、ゴシック、ルネサンス、バロック、ユーゲントシュティールなど、様々な建築様式が調和した美しい街並みを形成しています。徒歩で散策すれば、まるで映画のセットの中を歩いているような感覚を味わえます。
聖ペテロ・パウロ教会は、15世紀に建設されたゴシック様式の教会で、84メートルの塔から街を一望できます。内部のステンドグラスは圧巻の美しさです。 ゲルリッツ百貨店は、現在も訪れることができます。1階にはカフェがあり、映画の世界観を感じながらコーヒーを楽しむことができます。建物内部のツアーも定期的に開催されています。 映画博物館(Filmmuseum Görlitz)では、ゲルリッツで撮影された映画の歴史や、『グランド・ブダペスト・ホテル』の撮影裏話などを学ぶことができます。
映画ファンにとっては必見の施設です。 実際の旅行情報 アクセス:ドレスデンから電車で約1時間30分、プラハからは約3時間です。ベルリンからは約3時間30分です。小さな街なので、主要観光地は徒歩で回ることができます。
ゲルリッツ百貨店:カフェの営業時間は月~土曜10:00~18:00、日曜は休業です。建物内部のガイドツアーは要予約です。 映画博物館:入場料は大人6ユーロ(約950円)、学生4ユーロです。火~日曜10:00~17:00営業(月曜休館)。 宿泊:旧市街エリアに小規模なホテルやペンションがあります。中級ホテルで1泊6,000~10,000円程度。ドレスデンを拠点に日帰りで訪れることも可能です。 食事:ドイツ料理とポーランド料理の両方が楽しめます。レストランでの食事は1回1,500~3,000円程度です。 ベストシーズン:5月~9月が観光に最適ですが、クリスマスマーケットの時期(11月下旬~12月)も魅力的です。冬は寒いですが、雪景色のゲルリッツは『グランド・ブダペスト・ホテル』の雰囲気そのものです。
8. ドゥブロヴニク(クロアチア)|ゲーム・オブ・スローンズの都
「アドリア海の真珠」と称されるドゥブロヴニクは、クロアチア南部に位置する美しい中世都市です。オレンジ色の屋根瓦と青いアドリア海のコントラストが美しいこの街は、HBOの大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のロケ地として世界的に有名になりました。

『ゲーム・オブ・スローンズ』とドゥブロヴニク
2011年から2019年まで放送された『ゲーム・オブ・スローンズ』は、ジョージ・R・R・マーティンの小説『氷と炎の歌』を原作としたファンタジードラマで、世界中で社会現象となりました。作品の舞台となる架空の大陸ウェスタロスの首都「キングズ・ランディング」として、ドゥブロヴニクの旧市街が使用されました。
城壁は、ドゥブロヴニク旧市街を取り囲む全長約2キロメートルの防壁で、13世紀から17世紀にかけて建設されました。ドラマでは、キングズ・ランディングの城壁として数多くのシーンで登場し、特にシーズン2の「ブラックウォーターの戦い」では重要な舞台となりました。城壁の上を歩くことができ、旧市街とアドリア海を一望できます。
ロヴリイェナツ要塞は、旧市街の西側の岩山の上に建つ要塞で、ドラマでは「レッド・キープ(赤の王城)」の外観として使用されました。ジョフリー王やサーセイ女王が登場する重要なシーンが、この要塞で撮影されています。
イエズス会階段は、旧市街の中心部にある急な階段で、シーズン5でサーセイが「恥の行進」を強いられる象徴的なシーンの撮影地です。この階段は普段は観光客で賑わっていますが、早朝に訪れれば、ドラマのシーンを思い起こしながら静かに散策できます。
ミンチェタ塔は、城壁の北端にある円形の塔で、「不死者の館」のシーンで使用されました。塔の上からは、旧市街全体とアドリア海の絶景を楽しめます。
ドゥブロヴニクの見どころ
プラツァ通り(ストラドゥン)は、旧市街のメインストリートで、白い石灰岩で舗装された美しい通りです。両側にはカフェやレストラン、お土産店が並び、夜にはライトアップされた幻想的な雰囲気を楽しめます。
スルジ山へは、ケーブルカーで約4分で登ることができます。標高412メートルの山頂からは、ドゥブロヴニク旧市街とアドリア海、そして周囲の島々を360度のパノラマビューで見渡せます。特に夕暮れ時の景色は息を呑む美しさです。
ドミニコ会修道院やフランシスコ会修道院には、中世の美術品や古い薬局が保存されており、ドゥブロヴニクの歴史を深く知ることができます。
『ゲーム・オブ・スローンズ』ツアー
ドゥブロヴニクでは、『ゲーム・オブ・スローンズ』の撮影地を巡る専門ツアーが数多く催行されています。ガイドが各シーンの撮影裏話や、実際に俳優たちが立った場所を案内してくれます。ツアーは2~3時間で、料金は250~400クーナ(約4,500~7,200円)程度です。
実際の旅行情報
アクセス:ドゥブロヴニク空港から旧市街まで、空港バスで約30分、料金は片道50クーナ(約900円)です。日本からはイスタンブールやミュンヘン経由で約15~17時間です。
城壁入場料:大人250クーナ(約4,500円)、学生は150クーナです。早朝(8:00頃)に訪れると、混雑を避けられ、美しい朝日も楽しめます。
ケーブルカー:往復料金は大人200クーナ(約3,600円)、子供100クーナです。夕暮れ時は混雑するので、早めの時間帯がおすすめです。
宿泊:旧市街内に宿泊すれば、夜のライトアップされた街を存分に楽しめます。ただし、旧市街は石畳の坂道が多く、大きなスーツケースを持っての移動は大変です。中級ホテルで1泊8,000~15,000円程度、高級ホテルで20,000円~です。
ベストシーズン:5月~6月と9月~10月が観光に最適です。7月~8月は非常に混雑し、気温も高くなります。冬(11月~3月)はオフシーズンで観光客が少なく、宿泊費も安くなりますが、一部の施設が休業します。
注意事項:夏季は日差しが非常に強いので、帽子、日焼け止め、水分補給が必須です。城壁巡りは約2時間かかり、途中に日陰がほとんどないため、早朝か夕方の涼しい時間帯がおすすめです。
9. モスクワ(ロシア)|ミッション:インポッシブルとスパイ映画の舞台
ロシアの首都モスクワは、クレムリン、赤の広場、聖ワシリイ大聖堂など、世界的に有名なランドマークを擁する巨大都市です。冷戦時代からスパイ映画やアクション映画の舞台として頻繁に登場し、緊張感と壮大さを映画に与えてきました。
モスクワで撮影された主な映画
『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011年)では、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントがモスクワのクレムリンに潜入するシーンが描かれました。クレムリン内部での撮影は許可されなかったため、外観シーンのみモスクワで撮影され、内部シーンはスタジオで再現されました。それでも、赤の広場や周辺の街並みでの撮影は、映画に本物のモスクワの雰囲気を与えています。
『レッド・スパロー』(2018年)では、ジェニファー・ローレンス演じるロシアのスパイが主人公です。モスクワの街並みや、ボリショイ劇場周辺が撮影に使用され、現代ロシアのスパイ活動の緊張感を描き出しています。
『エネミー・ライン』(2001年)や『アンナ』(2019年)など、冷戦やロシアを題材にした作品でも、モスクワの象徴的な建造物が重要な役割を果たしています。
モスクワの見どころ
赤の広場は、モスクワの中心に位置する世界遺産で、長さ695メートル、幅130メートルの広大な広場です。クレムリン、国立歴史博物館、グム百貨店、聖ワシリイ大聖堂に囲まれ、ロシアの歴史と文化の象徴となっています。映画では、スパイが接触するシーンやカーチェイスの舞台としてよく使用されます。
聖ワシリイ大聖堂は、1561年に完成した色とりどりの玉ねぎ型ドームが特徴的な正教会です。イワン雷帝の命で建設されたこの大聖堂は、モスクワのシンボルとして世界中で認識されています。内部には9つの礼拝堂があり、イコン画や壁画で装飾されています。
クレムリンは、ロシア連邦大統領府が置かれている政治の中心地であり、13世紀から続く歴史的な要塞複合体です。敷地内には、ウスペンスキー大聖堂、武器庫、ダイヤモンド庫などがあり、ロシア帝国の財宝や歴史的遺物が展示されています。一部は観光客に公開されており、ガイドツアーで見学できます。
ボリショイ劇場は、世界最高峰のバレエとオペラの劇場で、1825年に現在の建物が完成しました。『レッド・スパロー』では、主人公がバレリーナとしてこの劇場で踊るシーンが印象的でした。公演チケットは観光客にも購入可能で、世界最高レベルの芸術を鑑賞できます。
モスクワ地下鉄は、単なる交通機関ではなく、「地下宮殿」と呼ばれる美しい駅が数多くあります。特にコムソモーリスカヤ駅、マヤコフスカヤ駅、キエフスカヤ駅などは、シャンデリア、モザイク、彫刻で装飾された芸術作品のような空間です。
実際の旅行情報
ビザ:日本国籍の場合、ロシア入国には観光ビザが必要です。電子ビザ(e-Visa)が利用可能で、オンラインで申請できます(無料、8日間有効)。
アクセス:シェレメーチエヴォ国際空港から市内中心部まで、アエロエクスプレスで約35分、料金は500ルーブル(約1,000円)です。日本からは直行便がありましたが、2025年現在は国際情勢により運休しています。
クレムリン:入場料は700ルーブル(約1,400円)ですが、エリアによって異なります。木曜日は休館です。オンラインで事前予約することをおすすめします。
宿泊:赤の広場周辺やアルバート通り周辺が観光に便利です。中級ホテルで1泊6,000~12,000円程度、高級ホテルで20,000円~です。
食事:ロシア料理のボルシチ(ビーツのスープ)、ペリメニ(ロシア餃子)、ビーフストロガノフが名物です。レストランでの食事は1回1,500~4,000円程度です。
ベストシーズン:5月~9月が観光に最適です。冬(12月~2月)は非常に寒く、気温がマイナス20度以下になることもありますが、雪に覆われたクレムリンや赤の広場は幻想的です。
注意事項:2025年現在、国際情勢により旅行が制限される可能性があります。最新の外務省渡航情報を必ず確認してください。また、英語が通じない場所が多いので、ロシア語の基本フレーズやGoogle翻訳アプリを準備しておくと便利です。
10. ワルシャワ(ポーランド)|戦場のピアニストの舞台
ポーランドの首都ワルシャワは、第二次世界大戦で壊滅的な被害を受けましたが、戦後に市民の手で忠実に再建された「不死鳥の都」です。ロマン・ポランスキー監督の名作『戦場のピアニスト』の舞台として、戦争の悲劇と人間の尊厳を伝える重要な場所となっています。
『戦場のピアニスト』とワルシャワ
2002年公開の『戦場のピアニスト』は、ユダヤ系ポーランド人ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの自伝を映画化した作品です。エイドリアン・ブロディが主演し、アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。ロマン・ポランスキー監督自身もクラクフのゲットーで幼少期を過ごした経験があり、この作品には深い個人的な思いが込められています。
映画は、ナチス・ドイツ占領下のワルシャワで、ゲットーでの生活、ワルシャワ蜂起、そして廃墟となった街で隠れながら生き延びるシュピルマンの姿を描いています。撮影の多くはワルシャワで行われ、実際の歴史的場所が使用されました。
ワルシャワ・ゲットー跡は、映画の重要な舞台です。1940年から1943年まで、約45万人のユダヤ人がこの地区に閉じ込められました。現在、ゲットーの壁の一部が保存されており、ゲットー英雄記念碑が建てられています。毎年4月19日には、ワルシャワ・ゲットー蜂起を記念する式典が開催されます。
POLIN ポーランド・ユダヤ人歴史博物館は、1,000年にわたるポーランドにおけるユダヤ人の歴史を展示する現代的な博物館です。映画『戦場のピアニスト』の背景となった歴史を深く理解するための必見の施設で、インタラクティブな展示や映像資料が充実しています。
ワルシャワの見どころ
旧市街広場は、第二次世界大戦で85%が破壊されましたが、戦後に市民の手で中世の姿に忠実に再建されました。その再建の努力が認められ、1980年にユネスコ世界遺産に登録されています。カラフルな建物が並ぶ広場は、昼も夜も美しく、カフェやレストランで賑わっています。
ワルシャワ蜂起博物館は、1944年のワルシャワ蜂起を記念する博物館で、当時の写真、映像、遺品などが展示されています。音響効果や再現された下水道など、臨場感のある展示で、訪れる者に深い印象を与えます。
ワジェンキ公園は、ワルシャワ最大の公園で、「水上宮殿」として知られる美しい宮殿があります。夏の週末には、ショパン像の前で無料のピアノコンサートが開催されます。『戦場のピアニスト』のテーマであるピアノ音楽を、ショパンの故郷で聴く体験は格別です。
フレデリック・ショパン博物館は、ポーランドが誇る作曲家ショパンの生涯と作品を展示する博物館です。インタラクティブな展示で、ショパンの音楽を様々な角度から体験できます。
文化科学宮殿は、1955年にソ連から「贈与」された高さ237メートルの建物で、ワルシャワのスカイラインを象徴しています。30階の展望台からは、ワルシャワ全体を見渡せます。
実際の旅行情報
アクセス:ショパン空港から市内中心部まで、電車で約20分、料金は4.40ズロチ(約150円)です。プラハから直行バスで約8時間、ベルリンからは電車で約6時間です。
POLIN博物館:入場料は大人30ズロチ(約1,000円)、木曜日は無料です。日本語音声ガイドも利用可能です。所要時間は2~3時間です。
ワルシャワ蜂起博物館:入場料は28ズロチ(約950円)、日曜日は無料です。月曜日は休館です。展示が非常に充実しているので、少なくとも2~3時間は確保することをおすすめします。
宿泊:旧市街周辺や中央駅周辺が観光に便利です。中級ホテルで1泊4,000~8,000円程度、高級ホテルで12,000円~です。
食事:ポーランド料理のジュレック(サワースープ)、ビゴス、ピエロギが名物です。レストランでの食事は1回1,200~2,500円程度で楽しめます。
ベストシーズン:5月~9月が観光に最適です。特に夏の週末には、ワジェンキ公園でのショパンコンサートを無料で楽しめます。クリスマスマーケットの時期(11月下旬~12月)も魅力的です。
注意事項:ワルシャワ蜂起博物館やゲットー跡を訪れる際は、歴史の重みを理解し、敬意を持って見学しましょう。写真撮影が制限されている場所もあります。
ロシア・東欧映画ロケ地を効率的に巡る方法

ここからは、実際にロシア・東欧の映画ロケ地を訪れるための具体的な方法をご紹介します。マイルを活用した航空券の取得方法、予算の立て方、効率的な周遊ルート、そして現地での注意事項まで、実践的な情報をまとめました。
マイルで実現する東欧旅行
ロシア・東欧への航空券は、マイルを活用することで大幅にコストを削減できます。ここでは、主要なマイルプログラムと効率的な貯め方、そして特典航空券の取り方を詳しく解説します。
おすすめマイルプログラム
ANAマイレージクラブは、スターアライアンスに加盟しており、東欧への特典航空券が比較的取りやすいプログラムです。日本からプラハ、ワルシャワ、ブダペストへは、ルフトハンザドイツ航空やオーストリア航空を利用して、エコノミークラスで片道45,000マイル、ビジネスクラスで片道80,000マイルで発券できます。ANAマイルは、クレジットカードのポイント(三井住友カードやアメリカン・エキスプレスなど)から移行できるため、普段の買い物で効率的に貯められます。
JALマイレージバンクは、ワンワールドに加盟しており、フィンエアーを経由してヘルシンキからプラハやブダペストへアクセスできます。必要マイル数はANAとほぼ同等で、エコノミークラス片道45,000マイル、ビジネスクラス片道80,000マイルです。JALカードやJAL特約店での買い物で効率的にマイルが貯まります。
ユナイテッド航空マイレージプラスは、スターアライアンスのプログラムで、日本からヨーロッパへの特典航空券が片道30,000マイル~と、ANAやJALより少ないマイルで発券できる場合があります。ただし、燃油サーチャージが別途かかることがあるので、総額で比較することが重要です。
マイルの効率的な貯め方
クレジットカードの活用が最も効率的です。ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールドカード(年会費34,100円)は、入会ボーナスで最大80,000マイル相当のポイントが獲得でき、通常の買い物でもポイント還元率が高いカードです。100円の利用で1~3ポイントが貯まり、1ポイント=1マイルで移行できます。
ポイントサイトの活用も見逃せません。ハピタス、モッピー、ポイントタウンなどのポイントサイトを経由して、クレジットカードの発行やネットショッピングをすることで、大量のポイントを獲得できます。これらのポイントは、ANAマイルやJALマイルに交換可能です。
マイル修行は、短期間で大量のマイルを貯める方法です。格安航空券を利用して、国内線や近距離国際線を何度も往復することで、搭乗マイルとプレミアムポイントを獲得します。ANAやJALの上級会員資格を獲得すれば、特典航空券の優先予約や空港ラウンジの利用など、旅行がより快適になります。
特典航空券の取り方
予約開始日に即予約することが、特典航空券を確保する最大のコツです。ANAは搭乗日の355日前、JALは360日前から予約が可能です。人気路線やハイシーズンは、予約開始直後に満席になることが多いので、カレンダーにリマインダーを設定し、予約開始時刻にスタンバイしましょう。
経由便を活用することで、直行便よりも特典航空券が取りやすくなります。例えば、日本→ヘルシンキ→プラハのように、ヨーロッパのハブ空港を経由するルートは、比較的空席が多い傾向があります。
オープンジョー(往路と復路の発着地を変える)やストップオーバー(経由地で24時間以上滞在)を活用すれば、一度の旅行で複数の都市を効率的に巡ることができます。例えば、「東京→プラハ(往路)、ワルシャワ→東京(復路)」のように設定し、中欧・東欧を陸路で周遊するプランが可能です。
予算とコストの内訳
ロシア・東欧映画ロケ地を2週間で巡る場合の予算例を、項目別に詳しくご紹介します。
航空券
特典航空券の場合:往復90,000~100,000マイル+燃油サーチャージ約30,000~50,000円で、実質的な費用は燃油サーチャージのみです。マイルを現金換算すると、90,000マイルは約180,000~270,000円相当なので、大幅な節約になります。
現金購入の場合:東京からプラハまでのエコノミークラス往復航空券は、オフシーズンで約80,000~120,000円、ハイシーズンで約150,000~200,000円です。早期予約やセール時期を狙えば、さらに安く購入できることもあります。
宿泊費
中級ホテル(3つ星~4つ星)の場合、1泊あたりの費用は都市によって異なります。プラハやブダペストは4,000~8,000円、ドゥブロヴニクは8,000~15,000円、モスクワやサンクトペテルブルクは6,000~12,000円程度です。13泊で合計約90,000~130,000円です。
Airbnbやホステルを利用すれば、宿泊費を大幅に削減できます。個室のAirbnbなら1泊3,000~5,000円程度、ホステルのドミトリーなら1,000~2,000円程度です。
交通費
都市間の移動費は、主にバスや電車を利用します。プラハ→ブダペスト(バス)約3,000円、ブダペスト→クラクフ(電車)約5,000円、クラクフ→ワルシャワ(電車)約3,000円など、合計で約30,000~50,000円です。Omioやゴーユーロなどのアプリで事前予約すれば、割引料金で購入できます。
市内交通費は、1日あたり500~1,000円程度です。多くの都市で24時間パスや72時間パスが販売されており、頻繁に移動する場合はお得です。
食費
東欧は西欧に比べて物価が安く、食費を抑えやすい地域です。1日あたりの食費は、レストラン中心なら3,000~5,000円、スーパーや屋台を活用すれば1,500~2,500円程度です。14日間で合計約42,000~70,000円です。
各国の伝統料理を楽しむことも旅の醍醐味です。チェコのビールとグヤーシュ、ハンガリーのグヤーシュとランゴシュ、ポーランドのピエロギとビゴスなど、地元の料理を味わいましょう。
観光・入場料
博物館や城の入場料、ガイドツアー代などで、1日あたり2,000~4,000円程度です。主要な観光地の入場料は、500~2,000円程度です。『ゲーム・オブ・スローンズ』ツアーなど特別なツアーは、4,000~7,000円程度かかります。14日間で合計約30,000~60,000円です。
多くの都市で、観光パス(シティカード)が販売されています。公共交通機関が無料になり、主要観光施設の入場料が割引になるので、複数の施設を訪れる場合はお得です。
その他・予備費
お土産、Wi-Fiレンタル(または現地SIM)、海外旅行保険、予備費として約30,000~50,000円を見込んでおきましょう。
合計予算
特典航空券を利用し、中級ホテルに宿泊する場合、2週間の総費用は約250,000~400,000円です。現金で航空券を購入する場合は、さらに約80,000~200,000円が追加されます。予算を抑えたい場合は、ホステルや民泊を利用し、自炊を増やすことで、総費用を約150,000~250,000円程度に抑えることも可能です。
効率的な周遊ルート
ロシア・東欧の映画ロケ地10箇所を効率的に巡るための、14日間のモデルルートをご紹介します。地理的に近い都市をまとめて訪れることで、移動時間と費用を最小限に抑えられます。
14日間モデルルート
1日目:日本→プラハ到着
成田または羽田からヘルシンキ経由でプラハへ。プラハ到着後、ホテルにチェックインし、軽く旧市街を散策。時差ボケ対策として、無理せず早めに就寝。
2日目:プラハ(007とミッション:インポッシブルのロケ地)
午前:カレル橋、プラハ城、聖ヴィート大聖堂を見学。午後:旧市街広場、天文時計、ダンジグ宮殿(007撮影地)を巡る。夜:ヴルタヴァ川クルーズでライトアップされた街並みを楽しむ。
3日目:カルロヴィ・ヴァリ日帰り
プラハから日帰りでカルロヴィ・ヴァリへ(バスで約2時間15分)。グランドホテル・プップで007気分を味わい、温泉回廊で温泉水を試飲。午後はベヘロフカ博物館を見学し、夕方プラハに戻る。
4日目:プラハ→ゲルリッツ→ドレスデン
午前:プラハからゲルリッツへ移動(電車で約3時間)。昼:ゲルリッツで『グランド・ブダペスト・ホテル』のロケ地を巡る。ゲルリッツ百貨店でランチ。午後:ドレスデンへ移動(電車で約1時間30分)、ドレスデン泊。
5日目:ドレスデン→ブダペスト
午前:ドレスデンの旧市街を散策(ツヴィンガー宮殿、フラウエン教会)。昼:ブダペストへ移動(電車で約6時間、または夜行バス利用も可能)。夕方:ブダペスト到着、ホテルチェックイン。
6日目:ブダペスト(ブレードランナー2049とアンダーワールド)
午前:ブダ城、漁夫の砦を見学。ドナウ川対岸からの絶景を撮影。午後:国会議事堂ツアー、鎖橋を渡る。夜:セーチェーニ温泉でリラックス、または夜のドナウ川クルーズ。
7日目:ブダペスト市内
午前:中央市場でハンガリーグルメを堪能。英雄広場、アンドラーシ通りを散策。午後:ゲッレールトの丘から市内を一望。映画撮影地だったLudwig Museum周辺を訪問。夜:ルイン・バーで地元の雰囲気を楽しむ。
8日目:ブダペスト→クラクフ
午前:ブダペストからクラクフへ移動(バスまたは電車で約7~8時間)。夕方:クラクフ到着、旧市街散策、中央市場広場でポーランド料理のディナー。
9日目:クラクフ(シンドラーのリスト)
午前:カジミエシュ地区(ユダヤ人居住区)を散策、シナゴーグ見学。午後:シンドラーの琺瑯工場博物館を訪問。夜:カジミエシュ地区のクレズマー音楽レストランでディナー。
10日目:アウシュヴィッツ日帰り
クラクフからアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所へ日帰りツアー(約7時間)。『シンドラーのリスト』の歴史的背景を深く理解する重要な体験。夜:クラクフに戻り、静かに過ごす。
11日目:クラクフ→ワルシャワ
午前:ヴァヴェル城を見学。昼:ワルシャワへ移動(高速鉄道で約2時間30分)。午後:ワルシャワ到着、旧市街広場を散策、ワルシャワ蜂起記念碑を訪問。
12日目:ワルシャワ(戦場のピアニスト)
午前:POLIN ポーランド・ユダヤ人歴史博物館を見学。ワルシャワ・ゲットー跡を訪問。午後:ワルシャワ蜂起博物館を見学。夕方:ワジェンキ公園を散策、ショパン像前でコンサート(夏季のみ)。
13日目:ワルシャワ市内
午前:フレデリック・ショパン博物館を見学。午後:文化科学宮殿の展望台から市内を一望。ショッピングや最後のポーランド料理を楽しむ。夜:帰国便に備えて荷物整理。
14日目:ワルシャワ→帰国
ワルシャワから帰国便へ。ヘルシンキやフランクフルト経由で日本へ。機内で映画鑑賞し、旅の余韻に浸る。
ルート変更オプション
ブラン城(ルーマニア)を追加する場合:ブダペストから夜行バスでブカレストへ移動(約12時間)、ブカレストからブラン城へ日帰り、その後ブダペストに戻るか、ブラショフ経由でクラクフへ向かうルートも可能です。ただし、移動時間が長くなるため、旅程に2~3日追加することをおすすめします。
ドゥブロヴニク(クロアチア)を追加する場合:ブダペストから夜行バスまたは飛行機でドゥブロヴニクへ(約8~10時間)、2泊3日で『ゲーム・オブ・スローンズ』ロケ地を巡り、その後クロアチアのスプリットやザグレブを経由してワルシャワへ向かうルートも検討できます。
ロシア(サンクトペテルブルク・モスクワ)を追加する場合:ワルシャワからサンクトペテルブルクへ飛行機で移動(約2時間)、サンクトペテルブルク2泊、モスクワ2泊で、ロシア文学映画とスパイ映画のロケ地を巡ります。ただし、ロシアビザの取得が必要で、2025年現在は国際情勢により旅行が制限される可能性があるため、最新情報を確認してください。
旅行の準備と注意事項
ビザ・パスポート
EU加盟国(チェコ、ハンガリー、ポーランド、クロアチア、ドイツ)は、日本国籍の場合、観光目的で90日以内の滞在ならビザ不要です。パスポートの残存有効期間は、帰国時まで有効+3ヶ月以上が推奨されます。
ロシア(モスクワ、サンクトペテルブルク)への入国には、観光ビザが必要です。電子ビザ(e-Visa)がオンラインで申請可能ですが、2025年現在は国際情勢により制限される可能性があります。
ルーマニアは、EU加盟国ですが、シェンゲン協定には完全に加盟していない時期がありました。2024年以降の状況を確認し、必要に応じてビザ情報を確認してください。
通貨と両替
チェコ(コルナ)、ハンガリー(フォリント)、ポーランド(ズロチ)、ルーマニア(レイ)、ロシア(ルーブル)は、それぞれ独自通貨を使用しています。クロアチアは2023年にユーロを導入しました。ドイツはユーロです。
現地通貨への両替は、空港よりも市内の両替所の方がレートが良いことが多いです。ATMでのキャッシング(海外キャッシング機能付きクレジットカード)が最もレートが良く便利です。Wiseデビットカードやソニー銀行デビットカードなど、海外利用手数料が安いカードを事前に準備しておくと便利です。
通信手段
Wi-Fiルーターのレンタル、または現地SIMカードの購入が一般的です。ヨーロッパ周遊SIM(30日間・10GB程度で約3,000~5,000円)を日本のAmazonなどで事前購入しておくと、複数国を移動する場合に便利です。
Google MapやGoogle翻訳のオフライン機能を事前にダウンロードしておくと、通信環境が不安定な場所でも安心です。
安全対策
ロシア・東欧は比較的治安が良い地域ですが、観光地ではスリや置き引きに注意が必要です。特にプラハ、ブダペスト、ワルシャワの主要観光地や公共交通機関では、貴重品の管理を徹底しましょう。
夜間の一人歩きは、明るく人通りの多い場所に限定し、人気のない路地や公園は避けましょう。
海外旅行保険には必ず加入しましょう。クレジットカード付帯の保険だけでは補償が不十分な場合があるので、内容を確認し、必要に応じて追加の保険に加入してください。
言語
各国の公用語は、チェコ語、ハンガリー語、ポーランド語、ルーマニア語、ロシア語、クロアチア語、ドイツ語です。観光地では英語が通じることが多いですが、地方や年配の方には通じないこともあります。Google翻訳アプリや、簡単な現地語のフレーズ(「こんにちは」「ありがとう」「いくらですか」など)を覚えておくと、コミュニケーションがスムーズになり、現地の人々にも喜ばれます。
持ち物チェックリスト
- パスポート(残存有効期間確認)
- 航空券(Eチケット控え)
- ホテル予約確認書
- クレジットカード(VISA、Mastercardが広く使える)
- 現金(ユーロを少額、現地通貨は現地ATMで)
- 海外旅行保険証
- SIMカードまたはWi-Fiルーター
- 充電器・変換プラグ(Cタイプ)
- 常備薬
- ガイドブック・地図アプリ
- カメラ・スマートフォン
- 『映画で英語』アプリ(ロケ地巡りに便利)
よくある質問(FAQ)
Q1. ロシア・東欧の映画ロケ地巡りに最適な時期はいつですか?
A. 5月~6月と9月~10月がベストシーズンです。
この時期は、気候が穏やかで観光に最適です。春(5月~6月)は花が咲き、緑が美しく、気温も15~25度程度で過ごしやすいです。秋(9月~10月)は紅葉が美しく、夏の観光ピークが過ぎて混雑が緩和されます。
7月~8月は最も暑く、特にブダペストやドゥブロヴニクは気温が30度を超える日が多く、主要観光地は非常に混雑します。宿泊費も高騰します。
冬(11月~3月)は寒さが厳しく、特にモスクワやサンクトペテルブルクはマイナス20度以下になることもあります。ただし、雪景色のプラハやブダペストは非常に美しく、クリスマスマーケット(11月下旬~12月)の時期は特別な雰囲気を楽しめます。映画『グランド・ブダペスト・ホテル』のような冬の景色を体験したい方には、冬もおすすめです。
Q2. ロシア・東欧旅行にかかる総費用はどのくらいですか?
A. 2週間の旅行で約250,000~600,000円です。
内訳は以下の通りです:
- 航空券:特典航空券利用で燃油サーチャージのみ約30,000~50,000円、現金購入で80,000~200,000円
- 宿泊費:中級ホテルで約90,000~130,000円(13泊)
- 交通費:都市間移動と市内交通で約30,000~50,000円
- 食費:約42,000~70,000円(1日3,000~5,000円×14日)
- 観光・入場料:約30,000~60,000円
- その他:Wi-Fi、保険、お土産などで約30,000~50,000円
予算を抑えたい場合は、ホステルのドミトリーや民泊を利用し、スーパーでの自炊を増やすことで、総費用を約150,000~250,000円程度に抑えることも可能です。マイルを活用して特典航空券を取得すれば、航空券代を大幅に節約できます。
Q3. 英語が話せなくてもロシア・東欧を旅行できますか?
A. はい、可能ですが、Google翻訳アプリなどの準備が重要です。
プラハ、ブダペスト、クラクフ、ワルシャワ、ドゥブロヴニクなどの主要観光地では、ホテル、レストラン、観光施設で英語が通じることが多いです。特に若い世代や観光業に携わる人々は、基本的な英語を話せます。
一方、地方都市や年配の方、公共交通機関の窓口などでは、英語が通じないこともあります。その場合、Google翻訳アプリのカメラ翻訳機能(看板やメニューを撮影して翻訳)や、音声翻訳機能が非常に便利です。オフライン翻訳データを事前にダウンロードしておけば、ネット環境がない場所でも使用できます。
また、簡単な現地語のフレーズ(「こんにちは」「ありがとう」「すみません」「いくらですか」など)を覚えておくと、現地の人々とのコミュニケーションがスムーズになり、好印象を与えます。
チェコ語:Dobrý den(ドブリー デン)= こんにちは、Děkuji(ジェクユ)= ありがとう
ハンガリー語:Jó napot(ヨー ナポト)= こんにちは、Köszönöm(クスヌム)= ありがとう
ポーランド語:Dzień dobry(ジェン ドブリ)= こんにちは、Dziękuję(ジェンクイェ)= ありがとう
Q4. ロシア・東欧旅行にビザは必要ですか?
A. EU加盟国(チェコ、ハンガリー、ポーランド、クロアチア、ドイツ)は不要、ロシアは必要です。
日本国籍の場合、EU加盟国への観光目的での入国は、90日以内の滞在ならビザ不要です。パスポートの残存有効期間は、帰国時まで有効+3ヶ月以上が推奨されます。
ロシア(モスクワ、サンクトペテルブルク)への入国には、観光ビザが必要です。電子ビザ(e-Visa)がオンラインで申請可能で、無料、8日間有効です。申請には、パスポート情報、旅行日程、宿泊先情報、顔写真データが必要です。通常、申請から4日程度で発行されます。
ルーマニアは、EU加盟国ですが、シェンゲン協定への完全加盟時期により状況が異なる場合があります。2025年現在の最新情報を、外務省の海外安全ホームページや各国大使館で確認してください。
重要な注意事項:2025年現在、ロシアへの旅行は国際情勢により制限される可能性があります。渡航前に必ず外務省の最新渡航情報を確認し、安全を最優先に判断してください。
Q5. ロシア・東欧の治安は安全ですか?
A. 主要観光地は比較的安全ですが、スリや置き引きには注意が必要です。
プラハ、ブダペスト、クラクフ、ワルシャワ、ドゥブロヴニクなどの主要観光都市は、西欧諸国と同程度の治安レベルです。凶悪犯罪に巻き込まれる可能性は低いですが、観光地や公共交通機関では、スリや置き引き、ぼったくりタクシーなどの軽犯罪には注意が必要です。
具体的な対策:
- 貴重品は分散して持ち、リュックは前に抱えるか、チャック付きのバッグを使用する
- 混雑した場所(地下鉄、バス、市場など)では特に警戒する
- ATMを利用する際は、周囲に注意し、暗証番号を見られないようにする
- 夜間の一人歩きは、明るく人通りの多い場所に限定する
- タクシーは正規のタクシー会社を利用するか、UberやBoltなどの配車アプリを使用する
- 見知らぬ人から話しかけられても、安易についていかない
ロシア(モスクワ、サンクトペテルブルク)も主要観光地は比較的安全ですが、2025年現在は国際情勢により渡航リスクが高まっている可能性があります。最新の外務省渡航情報を必ず確認してください。
Q6. 映画ロケ地は実際に内部を見学できますか?
A. 多くのロケ地は見学可能ですが、一部は外観のみです。
内部見学可能:
- グランドホテル・プップ(カルロヴィ・ヴァリ):宿泊またはカフェ・レストラン利用で内部を見学できます
- シンドラーの琺瑯工場博物館(クラクフ):入場料を払って内部を見学できます
- ゲルリッツ百貨店:1階のカフェで内部の雰囲気を味わえます。定期的にガイドツアーも開催されます
- エルミタージュ美術館(サンクトペテルブルク):入場料を払って内部を見学できます
- クレムリン(モスクワ):一部エリアはツアーで見学可能です
外観のみ:
- ダンジグ宮殿(プラハ):現在は政府機関として使用されているため、内部見学は通常不可です
- ブラン城:内部見学可能ですが、ドラキュラ映画の撮影が実際に行われたわけではなく、インスピレーション源です
専門ツアー:
ドゥブロヴニクの『ゲーム・オブ・スローンズ』ツアーなど、映画ロケ地を専門に巡るガイドツアーが各都市で催行されています。ガイドが撮影秘話や俳優たちのエピソードを紹介してくれるので、映画ファンにはおすすめです。
Q7. 都市間の移動はどの交通手段がおすすめですか?
A. 電車とバスの組み合わせが最も効率的です。
電車:
- 快適で景色を楽しみながら移動できます
- 主要都市間は高速鉄道が運行されています(プラハ→ブダペスト、クラクフ→ワルシャワなど)
- Rail Europe、Omio、GoEuroなどのアプリで事前にオンライン予約すると割引料金で購入できます
- 座席指定が可能で、荷物スペースも十分にあります
バス:
- 電車より安価で、直行便が多いです
- FlixBus、RegioJet、Eurolines などの長距離バス会社が運行しています
- Wi-Fiやコンセントが完備されている車両が多いです
- 夜行バスを利用すれば、宿泊費を節約できます
飛行機:
- 距離が遠い都市間(ワルシャワ→サンクトペテルブルク、ブダペスト→ドゥブロヴニクなど)は、LCC(格安航空会社)を利用すると時間を節約できます
- Ryanair、Wizzairなどが東欧で広く運航しています
- ただし、空港へのアクセス時間や手荷物制限を考慮すると、短距離では電車やバスの方が効率的です
レンタカー:
- 自由度が高く、郊外のロケ地(ブラン城など)にアクセスしやすいです
- ただし、都市部の駐車場探しが大変で、駐車料金も高額です
- 国際運転免許証が必要で、各国の交通ルールに慣れる必要があります
Q8. 食事はどのくらいの予算を見込めばよいですか?
A. 1日あたり1,500~5,000円程度です。
予算別の食事プラン:
節約プラン(1日1,500~2,500円):
- 朝食:ホステルやホテルの無料朝食、またはスーパーでパンとヨーグルトを購入(200~500円)
- 昼食:スーパーやベーカリーでサンドイッチや惣菜を購入(500~800円)
- 夕食:地元の食堂やファーストフード、スーパーの惣菜(800~1,200円)
標準プラン(1日3,000~4,000円):
- 朝食:カフェで軽食(500~800円)
- 昼食:地元レストランでランチセット(1,000~1,500円)
- 夕食:レストランでディナー(1,500~2,500円)
快適プラン(1日4,500~6,000円):
- 朝食:ホテルビュッフェまたはカフェ(800~1,200円)
- 昼食:評判の良いレストランでランチ(1,500~2,000円)
- 夕食:高級レストランでコース料理(2,500~4,000円)
- おやつやドリンク(500~800円)
各国の名物料理:
- チェコ:グヤーシュ(牛肉のスープ)、スヴィチュコヴァー(牛肉のクリームソース)、チェコビール
- ハンガリー:グヤーシュ、ランゴシュ(揚げパン)、トカイワイン
- ポーランド:ピエロギ(餃子)、ジュレック(サワースープ)、ビゴス(煮込み料理)
- クロアチア:シーフード料理、パシュティツァーダ(牛肉の煮込み)
- ロシア:ボルシチ、ペリメニ、ビーフストロガノフ
Q9. 一人旅でも安全に旅行できますか?
A. はい、十分に可能ですが、基本的な安全対策が重要です。
ロシア・東欧は一人旅にも適した地域で、多くのバックパッカーやソロトラベラーが訪れています。特に主要観光都市では、ホステルやゲストハウスで他の旅行者と交流する機会も多く、情報交換や一緒に観光することもできます。
一人旅の安全対策:
- 宿泊先は、評判の良いエリア(旧市街や駅周辺)を選び、口コミを確認する
- 夜間の一人歩きは避け、タクシーや公共交通機関を利用する
- 貴重品は分散して持ち、ホテルのセーフティボックスを活用する
- 旅程を家族や友人に共有し、定期的に連絡を取る
- 現地の緊急連絡先(警察、大使館、保険会社)を事前にメモしておく
- ホステルのドミトリーに宿泊する場合は、貴重品用のロッカーを利用する
一人旅のメリット:
- 自分のペースで観光でき、興味のあるロケ地にじっくり時間を使える
- ホステルで世界中の旅行者と交流し、新しい友人ができる
- 現地の人々とのコミュニケーションが増え、より深い旅行体験ができる
- 予算や日程を自由に調整できる
女性の一人旅も一般的ですが、夜間の行動には特に注意し、人通りの多い場所を選ぶようにしましょう。
Q10. 映画を事前に観ておくべきですか?
A. はい、事前に観ておくことを強くおすすめします。
映画ロケ地を訪れる最大の魅力は、映画のシーンを思い出しながら実際の場所を体験できることです。事前に映画を観ておくことで、ロケ地での感動が何倍にも増します。
訪問前に観ておきたい映画:
- プラハ訪問前:『007 カジノ・ロワイヤル』『ミッション:インポッシブル』
- ブダペスト訪問前:『ブレードランナー 2049』『アンダーワールド』
- クラクフ訪問前:『シンドラーのリスト』(必見)
- ゲルリッツ訪問前:『グランド・ブダペスト・ホテル』
- ドゥブロヴニク訪問前:『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズ(特にシーズン2~8)
- ワルシャワ訪問前:『戦場のピアニスト』(必見)
- モスクワ訪問前:『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
- サンクトペテルブルク訪問前:『アンナ・カレーニナ』『戦争と平和』
- ブラン城訪問前:『ドラキュラ』(1992年版)
視聴方法:
Netflix、Amazon Prime Video、Disney+、U-NEXTなどのストリーミングサービスで、多くの作品が視聴可能です。旅行前に、関連する映画をリストアップし、計画的に視聴しましょう。
旅行中も復習:
移動中の電車やバスの中で、スマートフォンやタブレットで映画の該当シーンを復習すると、ロケ地での体験がさらに深まります。Netflix等のダウンロード機能を活用すれば、オフラインでも視聴可能です。
ロシア・東欧映画ロケ地巡りを成功させる13ステップ
ここでは、ロシア・東欧の映画ロケ地巡りを成功させるための、具体的なステップを順番にご紹介します。このガイドに従うことで、計画から実際の旅行、そして帰国後まで、充実した映画ロケ地巡りを実現できます。
ステップ1:訪れたい映画とロケ地を決める
まず、自分が最も興味のある映画作品とロケ地をリストアップしましょう。本記事で紹介した10箇所のロケ地の中から、優先順位をつけます。
考慮すべきポイント:
- 好きな映画ジャンル(スパイ、ファンタジー、歴史、ホラーなど)
- 訪問可能な日数(1週間、2週間、それ以上)
- 予算(航空券、宿泊、食事などの総額)
- 旅行の目的(映画ロケ地のみ、または歴史・文化も含む)
- 季節(ベストシーズンの5~6月、9~10月がおすすめ)
具体的なアクション:
Excelやスプレッドシートで、「映画名」「ロケ地」「優先度(高・中・低)」「滞在日数」の表を作成し、視覚的に整理します。Google Mapで各ロケ地の位置を確認し、地理的に近い都市をグループ化します。
ステップ2:旅行日程とルートを決定する
優先順位をつけたロケ地リストをもとに、効率的な周遊ルートを設計します。地理的に近い都市を連続して訪れることで、移動時間と費用を最小限に抑えられます。
推奨ルート例(14日間):
東京→プラハ(3泊)→カルロヴィ・ヴァリ(日帰り)→ゲルリッツ経由→ブダペスト(3泊)→クラクフ(3泊)→ワルシャワ(2泊)→東京
ルート設計のコツ:
- 「オープンジョー」を活用:往路と復路の発着地を変える(例:東京→プラハ、ワルシャワ→東京)
- 夜行バスや夜行列車を利用して、移動時間を節約し、宿泊費も削減
- 週末や祝日を避けることで、宿泊費を抑える
- Google Mapのタイムライン機能で、1日のスケジュールをシミュレーションする
ステップ3:マイルを貯めて特典航空券を狙う
航空券代を大幅に節約するために、マイルを効率的に貯めましょう。特典航空券なら、往復の航空券代(10万~20万円相当)が実質無料になります。
マイルの貯め方:
- クレジットカード入会ボーナス:ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールドカードやJALカードの新規入会で、30,000~80,000マイル相当のポイントが獲得できます
- 普段の買い物:公共料金、スーパー、ネットショッピングなど、すべてマイルが貯まるクレジットカードで支払う
- ポイントサイト経由:ハピタス、モッピーなどのポイントサイトを経由して、クレジットカード発行やネットショッピングをする
- マイル修行(任意):短期間で大量のマイルを貯めたい場合は、格安航空券で国内線を何度も往復する
特典航空券の予約:
ANAは搭乗日の355日前、JALは360日前から予約開始です。人気路線は開始直後に満席になるので、カレンダーにリマインダーを設定し、予約開始時刻(通常9:00~10:00頃)にスタンバイしましょう。
ステップ4:ビザとパスポートを準備する
EU加盟国(チェコ、ハンガリー、ポーランド、クロアチア、ドイツ)は日本国籍ならビザ不要ですが、ロシアを訪れる場合はビザが必要です。
パスポート確認:
- 残存有効期間が、帰国時まで有効+3ヶ月以上あることを確認
- パスポートの残りページ数が十分にあることを確認
- 有効期限が近い場合は、早めに更新手続きをする
ロシアビザ(e-Visa)の申請:
ロシアを訪れる場合は、電子ビザ(e-Visa)をオンラインで申請します(無料、8日間有効)。必要書類は、パスポート情報、旅行日程、宿泊先情報、顔写真データです。申請から4日程度で発行されます。
重要:2025年現在、ロシアへの旅行は国際情勢により制限される可能性があります。外務省の最新渡航情報を必ず確認してください。
ステップ5:宿泊施設を予約する
宿泊施設は、ロケ地へのアクセスが良く、治安の良いエリアを選びましょう。早期予約すると、割引料金で予約できることが多いです。
宿泊施設の選び方:
- 立地:旧市街や主要駅周辺が観光に便利です
- 評価:Booking.com、Agoda、Airbnbなどで、評価4.0以上の施設を選ぶ
- キャンセルポリシー:無料キャンセル可能な予約を選ぶと、予定変更に対応できます
- 予算:中級ホテル(3,000~8,000円/泊)、ホステル(1,000~2,000円/泊)、Airbnb(3,000~5,000円/泊)
特別な宿泊体験:
カルロヴィ・ヴァリのグランドホテル・プップに宿泊すれば、『007 カジノ・ロワイヤル』の世界を体験できます(1泊15,000円~)。映画ファンにとっては、一生の思い出になる特別な体験です。
ステップ6:都市間の交通手段を予約する
電車やバスのチケットは、事前にオンラインで予約すると割引料金で購入できます。特に人気路線や夜行便は早めの予約が重要です。
予約サイト:
- Omio(旧GoEuro):ヨーロッパ全域の電車、バス、飛行機を一括検索・予約できる
- Rail Europe:ヨーロッパの鉄道チケット専門サイト
- FlixBus:ヨーロッパ最大手の長距離バス会社
- RegioJet:チェコを中心に運行するバス・鉄道会社
予約のコツ:
- 早期予約割引を活用する(1~2ヶ月前の予約で最大50%割引)
- 平日の移動は週末より安いことが多い
- 夜行便を利用すれば、移動時間を睡眠時間に充て、宿泊費も節約できる
- 座席指定やWi-Fi付きの車両を選ぶと、快適な移動ができる
ステップ7:映画を事前に視聴して予習する
ロケ地を訪れる前に、該当する映画を必ず視聴しましょう。事前に映画を観ることで、ロケ地での感動が何倍にも増します。
視聴リスト:
- プラハ:『007 カジノ・ロワイヤル』『ミッション:インポッシブル』
- ブダペスト:『ブレードランナー 2049』『アンダーワールド』
- クラクフ:『シンドラーのリスト』(必見)
- ゲルリッツ:『グランド・ブダペスト・ホテル』
- ドゥブロヴニク:『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン2~8
- ワルシャワ:『戦場のピアニスト』(必見)
- モスクワ:『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
視聴方法:
Netflix、Amazon Prime Video、U-NEXTなどのストリーミングサービスで視聴できます。ダウンロード機能を活用すれば、移動中の飛行機や電車でも視聴可能です。
メモを取る:
映画を観ながら、特に印象的なシーンや、訪れたいロケ地をメモしておくと、現地での体験がより充実します。スクリーンショットを撮っておくと、現地で比較しながら撮影できます。
ステップ8:旅行保険と通信手段を準備する
海外旅行保険と通信手段は、安全で快適な旅行に欠かせません。出発前に必ず準備しましょう。
海外旅行保険:
- クレジットカード付帯の保険を確認(補償内容、補償額、適用条件)
- 補償が不十分な場合は、追加の旅行保険に加入する
- 治療費用、携行品損害、航空機遅延などをカバーする保険を選ぶ
- 保険会社の緊急連絡先をスマートフォンと紙にメモしておく
通信手段:
- ヨーロッパ周遊SIM:30日間・10GB程度で3,000~5,000円、複数国で使用可能(おすすめ)
- Wi-Fiルーターレンタル:1日1,000~1,500円、複数デバイスで共有可能
- 現地SIM:各国で購入、最も安いが毎回購入の手間がかかる
オフライン対策:
Google Mapのオフライン地図、Google翻訳のオフライン言語データを事前にダウンロードしておくと、ネット環境がない場所でも使用できます。
ステップ9:現地通貨と支払い方法を準備する
各国で異なる通貨を使用するため、現金とクレジットカードの両方を準備しましょう。
クレジットカード:
- VISAとMastercardは広く使えます(2枚以上持参推奨)
- 海外キャッシング機能を有効にし、ATMで現地通貨を引き出せるようにする
- Wiseデビットカードやソニー銀行デビットカードは、海外利用手数料が安くおすすめ
- カードの紛失・盗難時の緊急連絡先をメモしておく
現金:
- ユーロを2~3万円分用意(ドイツ、クロアチアで使用)
- その他の国(チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、ロシア)の現地通貨は、現地ATMで必要に応じて引き出す
- 空港の両替所はレートが悪いので、少額のみ両替し、残りは市内ATMで引き出す
予算管理:
1日の予算を決め、支出を記録するアプリ(例:Money Forwardやトラベルウォレット)を使うと、予算オーバーを防げます。
ステップ10:荷物をパッキングする
移動が多い旅行なので、荷物は最小限にまとめましょう。LCC利用の場合は、機内持ち込み荷物のサイズと重量制限に注意が必要です。
必須アイテム:
- パスポート、ビザ(必要な場合)
- 航空券Eチケット控え、ホテル予約確認書
- クレジットカード、現金、海外旅行保険証
- スマートフォン、充電器、変換プラグ(Cタイプ)
- SIMカードまたはWi-Fiルーター
- 着替え(4~5日分、現地で洗濯可能)
- 常備薬、日焼け止め、虫除けスプレー
- カメラ(一眼レフまたはスマートフォンで十分)
- 軽量なリュックまたはデイパック
- 折りたたみ傘、サングラス、帽子
季節別の持ち物:
- 春・秋:薄手のジャケット、長袖シャツ、歩きやすい靴
- 夏:半袖、短パン、サンダル、日焼け止め(ただし教会見学用に長ズボンも1本)
- 冬:ダウンジャケット、手袋、マフラー、ニット帽、厚手の靴下
パッキングのコツ:
衣類は圧縮袋やパッキングキューブで整理すると、スペースを節約できます。重いものは下に、軽いものは上に詰めると、バランスが良くなります。
ステップ11:現地でロケ地を巡る
いよいよ現地でのロケ地巡りです。事前に視聴した映画のシーンを思い出しながら、実際の場所を訪れましょう。
ロケ地巡りのコツ:
- 朝早く訪れる:観光地は午前中(8:00~10:00)が比較的空いており、良い写真が撮れます
- 映画のスクリーンショットを見せる:現地の人に映画のシーンを見せると、正確な撮影場所を教えてくれることがあります
- 専門ガイドツアーに参加:ドゥブロヴニクの『ゲーム・オブ・スローンズ』ツアーなど、専門ガイドが撮影秘話を紹介してくれます
- 同じアングルで写真撮影:映画のシーンと同じアングルで写真を撮ると、後で見返したときに感動が蘇ります
- 現地の雰囲気を楽しむ:ロケ地巡りだけでなく、現地の料理、文化、人々との交流も大切にしましょう
時間配分:
1つのロケ地に十分な時間を確保しましょう。プラハ城は半日、ドゥブロヴニク城壁巡りは2~3時間、シンドラーの琺瑯工場博物館は2時間程度が目安です。
ステップ12:旅行記録を残す
旅行中の体験を記録に残すことで、帰国後も思い出を振り返ることができます。また、SNSで共有すれば、他の映画ファンとの交流も生まれます。
記録方法:
- 写真・動画:スマートフォンやカメラで、ロケ地の写真や動画を撮影する
- 日記・ブログ:その日の体験や感想を文章にまとめる(後で見返すと感動が蘇ります)
- SNS投稿:Instagram、Twitter、Facebookで写真や短い感想を投稿する(ハッシュタグ #映画ロケ地巡り #東欧旅行 など)
- Google Mapのタイムライン:訪れた場所が自動記録されるので、後でルートを確認できます
写真撮影のコツ:
- 映画のシーンと同じアングルで撮影する
- 早朝や夕暮れ時の「ゴールデンアワー」を狙うと、美しい写真が撮れます
- 人が少ない時間帯を選ぶと、ロケ地の雰囲気がよく伝わります
- 現地の人々や風景も撮影し、旅の雰囲気を総合的に記録します
ステップ13:帰国後に旅行記をまとめる
帰国後、旅行の記録を整理し、ブログや動画としてまとめることで、自分自身の記憶を定着させるとともに、他の映画ファンに情報を共有できます。
旅行記のまとめ方:
- 写真を整理:ロケ地ごと、日付ごとにフォルダ分けし、ベストショットを選ぶ
- ブログ記事を書く:訪れたロケ地、映画のシーン、実際の体験、旅のコツなどを詳しく書く
- 動画を編集:iMovieやAdobe Premiere Rushなどで、ロケ地巡りのダイジェスト動画を作成
- SNSで共有:写真や動画をSNSに投稿し、ハッシュタグをつけて他の旅行者と交流する
他の旅行者への貢献:
あなたの体験談は、これからロシア・東欧の映画ロケ地を訪れる人々にとって、貴重な情報源となります。Google MapやTripAdvisorに口コミを投稿したり、ブログで詳しい情報を共有することで、映画ファンコミュニティに貢献できます。
次の旅行計画:
ロシア・東欧の映画ロケ地巡りが成功したら、次は別の地域の映画ロケ地(ニュージーランドの『ロード・オブ・ザ・リング』、スコットランドの『ハリー・ポッター』、南米の『インディ・ジョーンズ』など)を計画してみましょう。映画ロケ地巡りの世界は、無限に広がっています。
まとめ:ロシア・東欧で映画の世界を体験する旅へ

ロシア・東欧の映画ロケ地巡りは、単なる観光旅行を超えた、特別な体験を提供してくれます。プラハの石畳の道を歩きながら007の緊張感を味わい、カルロヴィ・ヴァリの優雅なホテルでボンド気分に浸り、クラクフでシンドラーの勇気に思いを馳せ、ドゥブロヴニクの城壁から『ゲーム・オブ・スローンズ』の壮大な物語を思い出す──これらの体験は、映画ファンにとって一生の宝物となるでしょう。
ロシア・東欧映画ロケ地巡りの魅力
この地域の最大の魅力は、映画の世界観と実際の歴史・文化が深く結びついていることです。『シンドラーのリスト』のクラクフ、『戦場のピアニスト』のワルシャワでは、映画の背景となった第二次世界大戦の歴史を実際に学ぶことができます。『グランド・ブダペスト・ホテル』のゲルリッツでは、戦火を逃れた中世の街並みが完璧に保存されており、映画のファンタジックな世界観がリアルな歴史に根ざしていることを実感できます。
また、西欧に比べて物価が安く、予算を抑えやすいことも大きなメリットです。中級ホテルに宿泊し、地元の料理を楽しみながら、マイルを活用すれば、2週間の旅行を25万円~40万円程度で実現できます。ホステルや民泊を利用すれば、さらに予算を抑えることも可能です。
さらに、観光地が地理的にまとまっているため、効率的に複数のロケ地を巡ることができます。プラハを起点に、カルロヴィ・ヴァリ、ゲルリッツ、ブダペスト、クラクフ、ワルシャワを2週間で周遊するルートは、移動時間を最小限に抑えながら、多様な映画の舞台を体験できる理想的なプランです。
旅行成功の鍵
ロシア・東欧映画ロケ地巡りを成功させるための鍵は、事前準備です。訪れたい映画とロケ地を明確にし、効率的なルートを設計し、マイルで特典航空券を取得し、事前に映画を視聴して予習する──これらのステップを踏むことで、現地での体験が何倍にも豊かになります。
特に、映画の事前視聴は絶対に欠かせません。『007 カジノ・ロワイヤル』を観てからカレル橋を渡ると、ダニエル・クレイグが歩いた道を自分も歩いている感覚を味わえます。『ゲーム・オブ・スローンズ』を全シーズン視聴してからドゥブロヴニクの城壁に登れば、サーセイの「恥の行進」やブラックウォーターの戦いのシーンが目の前に蘇ります。
また、柔軟性も重要です。計画通りに進まないこともありますが、それも旅の醍醐味です。予定外の出会いや発見が、旅をさらに豊かにしてくれることもあります。現地の人々と交流し、おすすめのレストランや隠れたスポットを教えてもらうことで、ガイドブックにはない特別な体験ができるかもしれません。
旅の先にあるもの
ロシア・東欧の映画ロケ地巡りは、単に「映画の舞台を訪れる」だけではありません。それは、歴史を学び、文化を理解し、人々と交流する、深い旅行体験です。クラクフのシンドラーの琺瑯工場やアウシュヴィッツを訪れることで、ホロコーストの歴史を直接学び、平和の大切さを再認識します。ワルシャワの蜂起博物館では、ポーランド人の勇気と不屈の精神に触れ、人間の尊厳について考えさせられます。
また、映画を通じて世界中の人々とつながることができます。ドゥブロヴニクで『ゲーム・オブ・スローンズ』ファンと出会い、プラハで007談義に花を咲かせ、ゲルリッツでウェス・アンダーソンの世界観について語り合う──映画は、国境を越えた共通言語です。
さあ、映画の世界へ踏み出そう
この記事で紹介した10箇所のロケ地は、映画ファンにとって一度は訪れたい聖地です。007の世界観に浸りたい方は、プラハとカルロヴィ・ヴァリへ。歴史映画の舞台を訪れたい方は、クラクフとワルシャワへ。ファンタジーとゴシックの世界を体験したい方は、ゲルリッツとブラン城へ。壮大なドラマの舞台を歩きたい方は、ドゥブロヴニクへ。
マイルを貯め、特典航空券を取得し、映画を視聴して予習する──準備を整えたら、あとは勇気を持って一歩を踏み出すだけです。映画の世界は、スクリーンの中だけではありません。実際に訪れることができる、リアルな場所なのです。
ロシア・東欧の映画ロケ地巡りは、あなたの人生に新しい視点をもたらし、映画への愛をさらに深めてくれるでしょう。カメラを持って、お気に入りの映画のサウンドトラックをイヤホンで聴きながら、映画の舞台となった街を歩く──これ以上に贅沢な旅行体験があるでしょうか。
さあ、今すぐマイルを貯め始めて、ロシア・東欧の映画ロケ地巡りの計画を立てましょう。映画の世界があなたを待っています。

映画の感動を、実際の旅で体験する──それがロシア・東欧映画ロケ地巡りの真髄です。
関連記事
- 南米の映画ロケ地巡り完全ガイド|マチュピチュからイグアスの滝まで
- ロード・オブ・ザ・リング ニュージーランド映画ロケ地巡り
- マイルで世界一周|映画ロケ地を巡る究極の旅
- ヨーロッパ映画ロケ地ベスト50|一度は訪れたい名作の舞台
この記事を読んだ方へのおすすめ
Cinemile(シネマイル)では、世界中の映画ロケ地情報や、マイルを活用した旅行術を発信しています。ニュースレターに登録すると、最新のロケ地情報や特典航空券の空席情報をいち早く受け取ることができます。
免責事項:本記事の情報は2025年11月時点のものです。旅行計画の際は、最新の情報を各公式サイトや外務省の海外安全ホームページで確認してください。特にロシアへの旅行は、国際情勢により制限される可能性がありますので、十分に注意してください。また、ビザ要件、入場料、営業時間などは変更される場合があります。


コメント