私は旅の計画において、無駄を徹底的に排除し、効率を最優先します。特に、日本から遠く離れたヨーロッパ、スペイン・セビリアへのフライトを特典航空券で設計する場合、その計画の精度が旅の成否を分けます。
セビリアは、単なる観光地ではありません。『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』で惑星ナブーの首都の舞台となったプラサ・デ・エスパーニャ、そして『ゲーム・オブ・スローンズ（GOT）』でドーン地方のウォーター・ガーデンとして使用されたレアル・アルカサル宮殿という、二大ファンタジー世界の聖地が共存する特異点です。
本記事では、この二重の聖地巡礼を実現するために、いかにJALマイル、ANAマイル、デルタマイルといった資産を最適化し、最小のコスト（マイルと時間）でセビリアに到達するかを、徹底した戦略で解説します。これは、単なる旅行記ではなく、マイル戦略の究極ガイドです。
この記事で解決できる課題
- セビリア（SVQ）までの特典航空券に必要なJAL/ANA/デルタの正確なマイル数と発券戦略
- 『スター・ウォーズ』と『GOT』のロケ地を半日で効率よく回る無駄のない巡礼ルート
- 東京からセビリアへの最安・最短アクセス（リスボン、マドリッド、フランクフルト経由の比較分析）
- マリオットボンヴォイポイントを活用したセビリア宿泊費用の最適化手法
『SW』聖地プラサ・デ・エスパーニャ攻略と巡礼ルート
セビリアのプラサ・デ・エスパーニャ（Plaza de España）は、『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』において、惑星ナブーの首都シードの街角として使用されました。アナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラが、パルパティーン最高議長暗殺未遂事件後、避難先のナブーを歩くシーンに登場します。このロケ地の最大の魅力は、その巨大なスケール感と開放性です。
建築物は1929年のイベロアメリカ博覧会のために建てられ、イスラム様式（ムデハル様式）とルネサンス様式が融合した独特の美しさを持っています。この荘厳さが、SFファンタジーであるナブーの都市景観に完璧にフィットしました。
巡礼の最適なタイミングと効率的な撮影テクニック
徹底的な準備に基づきこのロケ地を攻略する上で重要なのは、「いつ」「どこを」「どのように」撮影するかという重要な時間軸です。
プラサ・デ・エスパーニャ巡礼チェックリスト
- ベストタイム: 午前中（9:00〜11:00）。午後になると西日（夏場は特に強烈）が差し込み、コントラストが強すぎて撮影が難しくなります。また、観光客が急増する前の静寂な時間が、ナブーの幻想的な雰囲気を捉えるのに最適です。
- 撮影角度: 劇中に登場するのは、湾曲した建築群の中央付近にある「運河にかかる橋」と、広場の中心にある「噴水」周辺です。超広角レンズ（16mm〜24mm相当）で、湾曲した建物全体をフレームに収めることで、ナブーのスケール感を再現できます。
- 周辺施設: 広場内にはセビリアの各県を示すタイルベンチ（アズレージョ）があり、視覚的にも美しい休憩ポイントとなります。休憩時の費用対効果も高い場所です。
ロケ地を効率よく回る動線設計
プラサ・デ・エスパーニャはセビリアの中心地からやや南東に位置し、マリア・ルイサ公園内にあります。中心街（レアル・アルカサル周辺）からは徒歩で約20分、またはトラム（T1線）のPrado San Sebastián駅からアクセス可能です。タクシーも安価ですが、徒歩移動の経路をGoogle Mapで事前に最適化することで、時間をロスすることなく効率的に次のロケ地へ移動できます。
『GOT』聖地レアル・アルカサル宮殿（ドーン）巡礼ガイド
『ゲーム・オブ・スローンズ』ファンにとって、セビリアのレアル・アルカサル宮殿（Real Alcázar de Sevilla）は、ウェスタロス大陸の南端、暖かいドーン地方にあるウォーター・ガーデンそのものです。特にシーズン5でハイメ・ラニスターがミアセラを奪還するために訪れるシーンで多用されました。ここは、単なる宮殿ではなく、ムーア文化とキリスト教文化が融合した芸術です。
GOT聖地 ウォーター・ガーデンの最短動線
アルカサル宮殿は広大で、主要なロケ地を効率よく回るためには明確な動線が必要です。我々の目的は「GOTの再現」であり、無駄な情報（観光客の群れ）はノイズです。
GOTウォーター・ガーデン巡礼の最短ルート
- バジェスタ宮殿 (Patio de la Montería)：ドラマ開始時に登場する主要なパティオ。
- 乙女のパティオ (Patio de las Doncellas)：最も象徴的なロケ地。GOTでは中央の池がCGで覆われていましたが、実際には美しい反射池があります。
- 大使の間 (Salón de Embajadores)：ドーンの王子ドーラン・マーテルが座っていた場所。
- 水と庭園 (Los Jardines del Alcázar)：最も重要なロケ地。サンディーク・スネークスが訓練していた噴水や、ミアセラとトメンが散歩していた小道を探しましょう。
アルカサル宮殿のチケットは事前オンライン予約が必須です。現地で並ぶことは、許容できない時間的コストのロスとなります。公式サイトで希望日時のチケットを事前に確保し、入場時の待ち時間を最小化しましょう。特に午前9時の開場直後を狙うことで、観光客が少ない時間帯に「ウォーター・ガーデン」を独占できる可能性が高まります。
聖地巡礼の費用対効果（ROI）を徹底評価
セビリアのロケ地巡礼は、非常に費用対効果が高いと言えます。なぜなら、プラサ・デ・エスパーニャは入場無料であり、レアル・アルカサル宮殿も約14.50ユーロ（約2,400円）の入場料で、世界トップクラスの二つのファンタジー聖地を体験できるからです。これは、他の大規模ロケ地（例：ニュージーランドのホビトン）と比較しても、時間と費用の相対的効率が非常に高いことを意味します。
私たちは、マイル戦略によってフライトコストをゼロに近づけることで、旅全体の経済的効率を最大化します。セビリアでの現地費用は最小限に抑えられ、マイルの価値を最大限に引き出すことができます。
特典航空券戦略：東京⇆セビリアの最適アクセス設計
セビリア（Seville: SVQ）へは、日本からの直行便が存在しません。必ずヨーロッパの主要ハブ空港を経由する必要があります。この経由地の選定こそが、特典航空券戦略の肝であり、時間的コストと必要マイル数のトレードオフを決定します。
経由地選定で失敗しないための重要要素
セビリアへのフライトルートを設計する際、考慮すべき重要な要素は以下の3つです。
特典航空券ルート設計の3大要素
- 要素1：接続性（Connectivity）：東京（NRT/HND）からの便数とSVQへの便数の多さ。
- 要素2：燃油サーチャージ（Fuel Surcharges）：キャッシュコスト（税金・サーチャージ）の最小化。
- 要素3：必要マイル数（Mileage Cost）：JAL/ANA/デルタそれぞれの提携プログラムにおける必要マイル数。
主要ハブ空港の比較分析と推奨ルート
以下の表は、主要なハブ空港を経由した場合の、マイル戦略上の評価を比較したものです。
| 経由地 | 接続性（SVQ便数） | 推奨航空会社 | 推奨マイルプログラム | 燃油サーチャージ傾向 | 評価 |
|---|---|---|---|---|---|
| マドリッド (MAD) | ◎（イベリア航空便多数） | JAL (ワンワールド) | JAL提携/ブリティッシュ・エアウェイズ | 中（BA利用時） | 最短ルートだが、JAL/BAはサーチャージが高め。 |
| フランクフルト (FRA) | 〇（ルフトハンザ航空） | ANA (スターアライアンス) | ANA提携/アシアナ航空 | 低〜中 | ANAマイルでルフトハンザを利用する場合、空席があれば燃油サーチャージを抑えやすい。 |
| アムステルダム (AMS) | 〇（KLMオランダ航空） | デルタ (スカイチーム) | デルタ/アラスカ航空 | 低 | デルタマイル発券は変動制だが、KLMは比較的安定。 |
| リスボン (LIS) | 〇（TAPポルトガル） | ANA (スターアライアンス) | ANA提携/ターキッシュエアラインズ | 低 | TAP利用は空席が少なく、やや難易度が高い上級者向け戦略。 |
結論として、ANAマイルによるフランクフルト（FRA）経由のルフトハンザ航空便か、JALマイルによるマドリッド（MAD）経由のイベリア航空便が、空席の確保しやすさと利便性のバランスが優れています。
JAL vs ANA：必要マイル数の「真の価値」比較
セビリアを含むヨーロッパへの必要マイル数は、以下の通りです。ただし、重要なのは表示マイル数ではなく、「空席の検索難易度とサーチャージ」を含めた真の価値です。
| マイルプログラム | 往復エコノミー | 往復ビジネス | 真の価値の評価 |
|---|---|---|---|
| ANA提携航空会社 | 55,000マイル～ | 90,000マイル～ | 〇：サーチャージが比較的低く、空席確保がしやすい。 |
| JAL提携航空会社 | 55,000マイル～ | 90,000マイル～ | △：BA経由はサーチャージが極めて高いが、JAL自社便の空席は確保しやすい。 |
| デルタ（スカイマイル） | 変動制（60,000マイル～） | 変動制（150,000マイル～） | ◎：燃油サーチャージが原則ゼロ。空席が発見できれば最強のコスパ。 |
結論として、マイル単価の最大化を目指すのであれば、燃油サーチャージが原則かからないデルタマイルが理論上は優位です。しかし、デルタマイルは変動制のため、安定した発券を目指すならANAマイルが最もバランスの取れた選択肢となります。どちらのマイルを集中して貯めるべきかについては、こちらの記事で詳細な比較分析を行っていますので、参考にしてください。→ 【2025年6月改定完全対応】ANAマイルとJALマイルどっちを貯めるべき？70万マイル貯めた私が実体験で徹底比較
発券戦略：JAL/ANA/デルタ マイル集中攻略法
セビリアへの特典航空券の具体的な発券戦略は、保有するマイルの種類によって、その攻略法が全く異なります。ここでは、各マイルプログラムにおける「空席発見」と「費用最小化」の戦略を解説します。
JALマイル：ブリティッシュ・エアウェイズを避ける戦略
JAL（ワンワールド）マイルでセビリアを目指す場合、ヨーロッパ域内をカバーする提携航空会社としては、イベリア航空（IB）とブリティッシュ・エアウェイズ（BA）が主軸となります。しかし、BAは長距離路線で巨額の燃油サーチャージを請求するため、極力利用を避けるのが鉄則です。
JALマイル発券の黄金律：BA回避
JALマイルでロンドン（LHR）経由のBA便を利用すると、エコノミーでもサーチャージが数万円～10万円を超えるケースがあります。特典航空券の価値（ペイオフ）が著しく低下するため、イベリア航空（IB）またはフィンエアー（AY）を利用し、マドリッド（MAD）やヘルシンキ（HEL）を経由するルートを優先検索してください。
ANAマイル：ターキッシュ・エアラインズを狙う
ANA（スターアライアンス）マイルは、その提携航空会社の多様性において、ヨーロッパ路線で最も戦略の幅が広いと言えます。ANAマイルのヨーロッパ特典枠は往復55,000マイルからと低く設定されていますが、ルフトハンザ、オーストリア航空、ターキッシュ・エアラインズ（TK）などの空席を的確に狙う必要があります。
特にターキッシュ・エアラインズ（TK）は、イスタンブール（IST）経由となりますが、燃油サーチャージが比較的低く、長距離便の座席品質も高いため、高コスパなルートとして人気です。空席は9ヶ月前に放出されることが多いため、発券開始直後の早期チェックが重要になります。
デルタマイル：燃油ゼロの「バリュー」を最大化
デルタ航空（スカイマイル）は、提携するスカイチーム便（エールフランス-KLM、大韓航空）の特典航空券に燃油サーチャージを課さないという、マイル単価最適化における最強の優位性を持っています。セビリアへは、パリ（CDG）やアムステルダム（AMS）を経由するKLMオランダ航空やエールフランス航空が主要なターゲットです。
デルタマイルの弱点は、必要マイル数が変動制である点です。空席状況や需要によって突然高騰することがあります。そのため、継続的なマイル数のチェックが必要です。デルタアメックスゴールドカードを活用した具体的なマイル獲得戦略は、こちらの完全版レビューを参照してください。→ デルタアメックスゴールド徹底攻略（完全版）｜3年間で16万マイル獲得した全記録【2025年最新】
トータルコスト最小化：宿泊と現地費用の最適化
フライトの費用をマイルでカバーした後は、現地での宿泊費を最小化し、旅全体のコスト効率を極限まで高める必要があります。ここでは、マリオットボンヴォイプログラムを活用した、戦略的視点のホテル戦略を解説します。
宿泊費最適化：マリオットポイント戦略
セビリアには、マリオットボンヴォイ系列のホテルが複数存在します。宿泊をポイントで賄うことで、現金支出をゼロにできます。重要なのは、ポイントの「マイル換算価値」を理解することです。
ポイント交換のトレードオフ
マリオットボンヴォイポイントは、マイルに交換することも、ホテル宿泊に使うこともできます。一般的に、ホテル宿泊に使用する方がマイルに交換するよりもポイント単価（$価値）が高くなる傾向があります。セビリアでの3泊分（約90,000〜120,000ポイント）の宿泊費をポイントでカバーすることで、約30,000〜40,000円相当の現金支出を節約できます。
これにより、マイルをフライトに集中させ、ポイントを宿泊に集中させるという資産分散投資戦略が成立し、トータルコストの最小化が実現します。特に、マリオットポイントは、デルタマイルを含むスカイチームのマイルへの交換ルートとしても利用できます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。→ Marriott Bonvoyポイントでスカイチーム特典航空券を最適化｜デルタ直発券は「最悪」、大韓航空経由が「最強の戦略」
現地での時間効率最大化プラン
セビリアでの滞在時間は有限です。映画聖地巡礼の満足度（ペイオフ）を最大化するため、以下のスケジュールで動線設計を最適化しました。
| 時間帯 | 目的地 | 目的 | 備考（費用対効果） |
|---|---|---|---|
| 9:00 – 11:30 | レアル・アルカサル宮殿 | GOTウォーター・ガーデン巡礼 | 最大効果: 早朝の予約で観光客ノイズを最小化。 |
| 11:30 – 13:00 | プラサ・デ・エスパーニャ | SWナブーのスケール感体験 | 高効果: 入場無料のため、移動コストのみ。 |
| 13:00 – 14:30 | 昼食（タパス） | セビリア中心街（サンタ・クルス地区） | 移動コストゼロで食事の質を担保。 |
| 15:00 – 17:00 | セビリア大聖堂 or メトロポール・パラソル | 一般観光・歴史建築の視察 | オプション：時間の余裕がある場合にのみ実行。 |
次の旅への戦略的マイル資産運用チェックリスト
セビリアへの「スター・ウォーズ」と「GOT」の聖地巡礼は、マイルを活用することで、移動コストを大幅に抑制し、旅全体の費用対効果を極限まで高めることが可能です。これは、単なる夢の実現ではなく、戦略と準備に基づく旅の成功と言えます。
今回の成功体験を基に、次回以降の旅の計画に活かすためのチェックリストを最後に提示します。
マイル資産運用チェックリスト
- 特典航空券の予約: 出発の9ヶ月前（ANAは355日前）に空席を検索・予約。
- サーチャージの最小化: 可能な限りデルタ、ANA提携、JALならIB/AY便を選択。BAは避ける。
- 宿泊のポイント化: マリオットボンヴォイポイントをセビリア宿泊に投下し、現金支出を抑える。
- 巡礼ルートの最適化: アルカサル宮殿のチケットは事前オンライン予約。プラサ・デ・エスパーニャは無料のため動線後半に組み込む。
- マイル獲得戦略の継続: 日々の決済をマイルの貯まりやすいクレジットカードに集約し、マイル資産を維持・拡大する。（私自身のマイル獲得実績はこちらで公開しています。→ 【平凡なサラリーマンが70万マイル】出張でJALダイヤモンド達成→転職→SFC修行→映画ロケ地を目指す私のマイル人生）
この徹底した戦略こそが、平凡な会社員が憧れの映画ロケ地へ飛び立つための最強の旅の鍵です。次の旅のロケ地検索でお会いしましょう。
コメント