JCB・Amexの逆襲と「噂」の真偽|2026年にメインで持つべきカードの最終結論【ファクトチェック】

main カード 2026 01 アイキャッチ JCB アメックス shields クレジットカード
※筆者撮影

【本記事の取り扱いについて】
本記事は、クレジットカードの特典・手数料・付帯保険に関する独自検証レポートです。カードのスペックや規約は予告なく変更される場合があります。契約の際は必ず公式サイトの最新規約(Terms of Service)をご確認ください。

「JCBザ・クラスなんて、ただの自己満足だろ?」
「アメックスの年会費で、株を買ったほうがマシだ」

ネットの掲示板やSNSでは、こうした「ステータスカード不要論」が飛び交っています。合理的なエンジニアとして、私もかつてはそう思っていました。「見栄(Vanity Metrics)」に金を払うのは、最も非効率なリソース配分だと。

しかし、2025年から2026年にかけての環境激変で、そのロジックは崩壊しました。
Visa/Mastercardの海外手数料爆上げ、プライオリティパスの改悪。これら「外敵」から身を守るために、かつて「不要」と断じたJCBやAmexが、実は「最強の防壁(Firewall)」として機能し始めたのです。

本記事は、2026年のシステム構築シリーズ最終章です。
記事1の「全体戦略」、記事2の「証券口座(エンジン)」に続き、今回はそれらを駆動する「メインカード(インターフェース)」の最終結論を出します。

検証する3つの「噂」と真実

  • 噂1:「海外ではVisa一択」は本当か? → 嘘。コストが激増している。
  • 噂2:「マリオットAmexは改悪でオワコン」 → 一部真実。条件分岐がシビアになった。
  • 噂3:「JCBザ・クラスは取得する価値なし」 → 大間違い。今こそ輝く「聖域」がある。

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2026年の「3大リスク」をファクトチェック(噂の検証)

Hidden Cost:あなたが「便利だ」と思ってVisaで決済するたびに、見えない税金が徴収されている。

【Visa/Mastercard】手数料3.85%の衝撃|「海外ではVisa一択」は過去の話

Story:明細を見て青ざめた日

先月、海外出張の経費精算をしていた時のことです。何気なくカード明細の「換算レート」を電卓で叩いてみて、私は目を疑いました。
「あれ? 為替市場のレートより、4%近く高く請求されていないか?」

バグではありません。これが2025年の新しい仕様(Specification)です。かつて「海外決済の手数料は1.6%〜2.0%程度」が常識でしたが、楽天カードや三井住友カードなどが相次いで手数料を引き上げ、現在は3.63%〜3.85%という水準に達しています。

Data:ブランド別・海外事務手数料の比較表

各社の公式データを基に、海外で10万円利用した際の手数料コストを比較しました。

カードブランド海外事務手数料10万円利用時のコスト判定
Visa / Mastercard
(多くの発行会社)
3.63% 〜 3.85%約3,850円High Cost
American Express
(プロパー)
2.00%2,000円Average
JCB
(オリジナルシリーズ)
1.60%1,600円Best Value

Logic:JCBが「実利」で勝つ逆転現象

その差、2,250円。家族旅行で50万円使えば、1万円以上の差が出ます。
「JCBは海外で使えない」という古い固定観念を捨ててください。ハワイ、台湾、韓国、タイ。日本人がよく行く国ではJCBは普通に使えます。

エンジニアとして最適解を述べるなら、「海外旅行にはJCBを持っていく。JCBが通らない店のためだけに、サブとしてVisaを持つ」。これが2026年の正しい運用プロトコルです。

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【マリオットAmex】年会費82,500円|「損益分岐点」を超えられるのは誰か?

The Threshold:この景色を見るために、あなたは8万円のコストを許容できるか。

次に、陸マイラー界隈を震撼させた『マリオットボンヴォイ・アメックス・プレミアム』の年会費値上げ問題です。49,500円から82,500円へ。実に1.6倍のインフレです。

Data:維持すべきか解約すべきかの判定ロジック

感情論で「高い」と嘆く前に、ROI(投資対効果)を計算しましょう。このカードの価値は、以下の関数で決まります。

価値算出アルゴリズム

Value = (無料宿泊特典の価値) + (マイル還元価値) + (ステータス特典価値) - 82,500

私が算出した具体的な分岐点は以下の通りです。

  • Level 1:年間150万円未満(解約推奨)

    無料宿泊特典すら付きません。単なる高額なポイントカードです。即刻解約し、マリオットの一般会員に戻るべきです。
  • Level 2:年間150万円〜399万円(維持は微妙)

    無料宿泊(50,000pt)でリッツ・カールトン大阪などのオフピークを狙えば、一撃で5〜6万円の価値は出せます。しかし、年会費との差額を埋めるには至りません。「どうしても泊まりたいホテルがある」という明確な目的がない限り、ダウングレードを検討すべき領域です。
  • Level 3:年間400万円以上(維持推奨)

    ここで世界が変わります。「プラチナエリート」が付与されるからです。

    • 朝食無料(2名で約8,000円〜10,000円相当)

    • ラウンジアクセス(夕食代わりのカクテルタイム)

    • 16時までのレイトチェックアウト


    年3回家族旅行に行けば、ステータス特典だけで10万円以上の価値が生まれます。年会費82,500円は十分にペイできる計算になります。


Logic:ステータスを買うのではない、時間を買うのだ

400万円決済できるユーザーにとって、このカードは「高い」ものではありません。空港やホテルでの待ち時間をゼロにし、快適な空間を確保するための「時間短縮ツール」です。

逆に言えば、そこまで使い倒せないなら、無理をして持つ必要はありません。見栄のために持つには、8万円は重すぎるランニングコストです。

【プライオリティパス】レストラン利用不可の波|「タダ飯」終了の現実

2024年から2025年にかけて、楽天プレミアムカードを皮切りに、セゾンプラチナ・ビジネス・アメックス、三菱UFJカード・プラチナなど、主要なカード付帯のプライオリティパスから「レストラン特典」が次々と削除されました。

Story:ぼてぢゅうの行列が消えた日

かつて、成田空港や関空の「ぼてぢゅう」は、プライオリティパスを持った旅人で溢れかえっていました。3,400円分のお好み焼きセットが無料になる。これは旅の前のささやかな祝祭でした。
しかし、その宴は終わりました。「ラウンジ(休憩所)は使えるが、レストラン(食事処)は使えない」。これが新しいスタンダードです。

Data:レストラン特典の生存状況(2026年版)

現在、まだレストラン特典が使えるカードは絶滅危惧種です。

主なカードの対応状況

  • 楽天プレミアムカード利用不可(年間回数制限もあり)
  • セゾンプラチナ・ビジネス利用不可
  • 三菱UFJプラチナ利用不可
  • JCBザ・クラス利用可能(同伴者1名無料) ※2025年現在

ここで特筆すべきは、JCBザ・クラス(およびプラチナ)の「JCBラウンジ・キー/プライオリティパス」の強さです。今のところ改悪のアナウンスはなく、しかも「同伴者1名無料」という強力なスペックを維持しています。
(※ただし、JCBもいつ追随するかは不明です。ここは「聖域」として監視が必要です)

JCBザ・クラスの再評価|「オワコン説」を論破する

The Sanctuary:他社が3.85%の手数料を取る中、1.60%を維持する唯一の聖域。

「JCBザ・クラスなんて、ディズニーに行かないなら持つ意味ない」
そう言われていたのは過去の話です。Visa/Mastercardが手数料を値上げした今、この国産ブラックカードは「実利の塊」へと変貌しました。

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唯一の聖域「手数料1.60%」|海外通販とハワイで輝く意外な実利

先ほどの章で触れた通り、Visaの手数料は約3.85%です。対して、JCB(プロパー)は1.60%に据え置かれています。

Logic:2.25%の差がもたらすもの

例えば、海外のECサイトや現地のブランドショップで「50万円の時計」を買うとします。

  • Visaで決済:手数料 19,250円
  • JCBで決済:手数料 8,000円
  • 差額:11,250円

この差額だけで、ちょっとしたランチ代が出ます。
「JCBは海外で使えない」というのは、欧米の田舎町の話です。ハワイ、グアム、台湾、韓国、タイ。日本人がよく行く観光地では、JCBはほぼ確実に通じます。むしろ、現地の優待割引(JCBプラザなど)を含めれば、Visaより圧倒的にお得なのです。

エンジニアのハック術
私は海外旅行時、メイン決済をJCBに設定します。そして「JCBが使えなかった時」のバックアップとしてのみ、Revolutや少額のVisaカードを使います。これが最も手数料(Loss)を抑えるアルゴリズムです。

「コンシェルジュが繋がらない」は本当か?|2025年の実測テスト結果

ネット上の噂で多いのが「ザ・クラスのコンシェルジュは電話が繋がらない」というもの。これも検証しました。

Data:金曜夜の実測ログ

  • テスト日時:2025年某日 金曜日 19:30(繁忙帯)
  • コール回数:3回
  • 平均待ち時間約15秒〜30秒

かつてのような「数分待ち」は解消されています。さらに特筆すべきは「メール依頼機能」の実装です。
「来月の京都旅行、予算3万円で雰囲気の良い和食店を3つ探して」とメールで投げておけば、翌日には完璧なリストが返ってきます。電話嫌いのエンジニアにとって、この非同期通信(Asynchronous Communication)は神機能です。

ディズニー「クラブ33」の幻影と、実在する「JCBラウンジ」の価値

JCBザ・クラスといえば、秘密の会員制レストラン「クラブ33」に入れる特典が有名でした。しかし、現在は抽選制も終了し、実質的に利用不可となっています。「これがオワコンの理由だ」と言う人もいます。

しかし、私は「パーク内ラウンジ」こそが真の価値だと考えます。

JCBラウンジ(ディズニーランド/シー)のスペック

  • 場所:人気アトラクション(スター・ツアーズ等)の中
  • 機能:休憩(ドリンク無料)、優先搭乗
  • 価値:人混みと行列からの「完全な隔離」

真夏の炎天下、2時間待ちの行列を横目に、エアコンの効いたラウンジで冷たいジュースを飲み、時間になったら並ばずにアトラクションに乗る。
これは、単なるアトラクション利用ではありません。「疲労というコストの削減」です。子連れ旅行において、このシェルターの存在はプライスレスです。

American Expressの逆襲|「高い」ではなく「強い」

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デルタカード
デルタ スカイマイル アメックス 世界を軽やかに飛び回る人の、スマートな選択。デルタの空へ、一歩近づく準備を。 ...
The Experience:年会費165,000円。それは「安心」を買うための保険料。

続いて、年会費165,000円の『アメリカン・エキスプレス・プラチナ・カード』です。「高すぎる」という声が大多数ですが、エンジニア視点で見ると、これは「最強のデバイス保証&ホテルサブスク」として機能します。

フリー・ステイ・ギフトの拡充|16万円の年会費を「体験」で回収するロジック

更新時にもらえる「フリー・ステイ・ギフト(無料宿泊券)」。以前はビジネスホテルレベルも混じっていましたが、2025年現在はラインナップが強化されています。

土日の「ホテルニューオータニ」や「ヒルトン」に泊まれば、それだけで5〜8万円の価値があります。さらに「ファイン・ホテル・アンド・リゾート(FHR)」を使えば、1泊から朝食無料・100ドル分クレジット・16時チェックアウトが付帯します。

「年に1回、妻と最高級ホテルで記念日を過ごす」。このタスクを強制的にスケジュールに組み込むためのコストと考えれば、16万円は決して高くありません(奥様の機嫌を取るコストよりは安いはずです)。

「スマートフォン・プロテクション」と「家電保証」|隠れたエンジニア向け特典

私がアメプラを手放せない最大の理由がこれです。

ホームウェア・プロテクション(家電総合補償制度)

  • PC、カメラ、家電製品が破損・故障した際に補償
  • 特長アメックスで買っていなくても補償対象

この「他社カードで買ったPCも補償する」という仕様は、バグではありません。アメックスプラチナだけの特権です。高価なMacBookやカメラ機材を多数所有するエンジニアにとって、これは最強の保険です。

さらに「スマートフォン・プロテクション」も画面割れで最大15万円まで補償されます。AppleCare+に入る必要がなくなるため、その分のコストカット(年間数万円)も計算に入れられます。

エンジニアの最終結論(Solution):2026年の最適解セットアップ

The Perfect Pair:攻め(マイル)と守り(手数料)を両立する、無駄のない装備。

ここまで、Visa/Mastercardの手数料値上げ、マリオットAmexの損益分岐点、そしてJCBとAmexの隠れたメリットを検証してきました。

これらを踏まえ、エンジニアとして推奨する「2026年の最強デッキ構成」を2つのパターンで提案します。

構成案A:実利特化型(コストパフォーマンス最強)

「年会費は極力払いたくない。でも海外で損はしたくないし、マイルも貯めたい」という、合理性を突き詰める方向けの構成です。

実利特化デッキ(年間維持費:ほぼ無料)

  • メイン:マネックスカード or dカード(一般)

    役割:国内決済&クレカ積立(1.1%還元)。年会費無料で高還元を維持。
  • サブ(海外用):JCB CARD W

    役割:海外決済(手数料1.60%防御)。39歳以下なら入会可能、年会費永年無料。海外旅行保険も利用付帯。
  • 補完:楽天カード(Mastercard)

    役割:JCBが使えない時のみ発動する緊急用サブサブ。

この構成の美しさは、ランニングコストがゼロに近いことです。浮いた固定費をすべて投資や旅行の現地費用に回せます。海外旅行時はJCB CARD Wをメインで切り、手数料を1.60%に抑える運用を徹底してください。

構成案B:ステータス×マイル型(私の採用モデル)

「旅の質を上げたい。ラウンジ、保険、コンシェルジュで時間を節約したい」という、エクスペリエンス重視の方向けの構成です。

CINEMILE管理人の2026年デッキ(年間維持費:約13万円)

  • メイン:マリオットボンヴォイ・アメックス・プレミアム

    役割:国内決済の主力(年間400万決済目標)。

    報酬:ホテル無料宿泊、プラチナエリート、JAL/ANAマイル還元率1.25%。
  • サブ(聖域):JCBザ・クラス(またはプラチナ)

    役割:海外決済(手数料1.60%)、コンシェルジュ、ディズニーラウンジ、プライオリティパス(レストラン特典)。

    報酬:どんな場所でも通用する信頼と、家族を守る補償。

一見、年会費が高いですが、マリオットの特典とJCBの実利(手数料削減・レストラン特典)で、十分にペイできます。
何より、Visa/Mastercardという「手数料の高いインフラ」に依存せず、独自網を持つAmexとJCBでシステムを冗長化(Redundancy)している点が、エンジニアとしてのこだわりです。

私が「JCBザ・クラス」を目指し続ける理由

最後に、少しエモーショナルな話をさせてください。

スペックだけで見れば、還元率1.0%のJCBカードは「平凡」かもしれません。しかし、私がこのカード(あるいはそのインビテーション)を追い続ける理由は、それが「日本発の国際ブランドの最高峰」だからです。

海外のホテルで、分厚い黒いカードを出す。現地のスタッフが「Oh, Samurai Card?」と少し驚く。
そして帰国後、コンシェルジュに電話一本で、妻の誕生日のレストラン手配を完了させる。

このスマートな体験(UX)こそが、私が求めている「大人のマイル旅」なのです。2026年、外資系ブランドがコストカットに走る中、日本のJCBだけが「おもてなし」の品質を維持している。その心意気に、私は投資したいと考えています。

まとめ:2026年の装備は整った

全3回にわたってお届けした「2026年ポイ活・マイル戦略シリーズ」、いかがでしたでしょうか。

  • 第1回(戦略編):インフレと改悪の嵐を知り、「100万円の壁」を超える覚悟を決める。
  • 第2回(証券編):SBIの複雑怪奇なルールをハックするか、マネックスのシンプルさに乗るかを選ぶ。
  • 第3回(カード編):Visaの手数料地獄から脱出し、JCBとAmexで武装する。

これが、私が導き出した2026年の生存戦略(Survival Strategy)です。

「改悪」は怖いものではありません。それはシステムが「次のフェーズ」へ移行した合図です。
古い装備を捨て、新しいルールに適応した者だけが、次のバケーションで最高の景色を見ることができます。

さあ、不要なカードの解約手続きから始めましょう。
そして浮いたコストで、次の旅の航空券を予約するのです。

Good Luck on your journey.

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