なぁ、SFC取りたいんだけど……やっぱ週末に那覇を10往復すればいいのかな?
2025年の忘年会。
友人であるタカシ(35歳・メーカー営業職)からの相談に、私は思わずハイボールを吹き出しそうになった。
彼は東京在住、妻と4歳の娘がいる「ごく普通のサラリーマン」だ。
仕事は忙しく、月1〜2回は北海道(新千歳)や福岡への出張があるという。
絶対にやめておけ。離婚されるぞ。
かつて、SFC修行といえば「沖縄単純往復(通称:単純沖縄)」が王道だった。
しかし、2026年の今、それは「思考停止の選択」になり果てている。
運賃の高騰、予約の激戦化、そして何より「時間の無駄」。
貴重な週末を潰して、エコノミーの狭い席で苦行に耐える?
そんなことをして手に入れたステータスで、本当に「優雅な旅」ができるのか?
いいかタカシ。俺たちが目指しているのは『カードの色を変えること』じゃない。
え、ラウンジでビール……
違う。映画のロケ地に行くことだ。
俺たちの最終目的は、映画『ラ・ラ・ランド』のグリフィス天文台で夕日を見ることだ。
『インセプション』のパリのカフェでエスプレッソを飲むことだ。
その「移動」を、苦痛ではなく快楽に変えるための手段がSFCなんだ。
手段のために目的(家族との時間や、旅を楽しむ心)を犠牲にしてどうする。
彼のような「東京発・出張族」には、今の時代に合った「スマートな抜け道」がある。
- Target: 30-40代の東京在住・出張族(既婚・子持ち)
- Goal: 映画のロケ地へビジネスクラスで優雅に聖地巡礼するために、SFC(ステータス)を取得する
- Method: 精神論(根性)ではなく、出張経費と金融ハック(ポイント)を掛け合わせた「ロジカルな抜け道」を通る
「お前の出張スケジュールを見せてみろ。俺が『最適解』を計算してやる」
これは、私が友人のために本気で計算し、シミュレーションした「2026年版・サラリーマンSFC獲得計画書」の全貌である。
ここからは、タカシ君へのアドバイスをベースに、全てのサラリーマンに応用可能な「一般解」として論理を展開していく。
- 第1章:【戦略】出張頻度別「3×3マトリクス」診断
- 第2章:【時間短縮】週末解脱!KULループ&プレミアムクラス出張 (モデルA)
- 第3章:【費用削減】持ち出し0円!JQみずほルート&ソウル発券 (モデルB)
- 第4章:【体験重視】新ビジネスTHE Room FXで世界一周卒業旅行 (モデルC)
- 第5章:【裏ワザ】ライフソリューションサービスで修行を半分にする
- コラム:私がこのルートを「却下」した理由
- 第6章:【徹底攻略】モデルA2「KULループ」の完全攻略マニュアル
- 第7章:【徹底攻略】モデルB1「JQみずほルート」の交換タイムライン
- コラム:敗北の歴史 〜我々は何を失い、何を学んだか〜
- 第8章:【完全旅程表】モデルB2「ソウル発券」シミュレーション
- 第9章:【徹底攻略】モデルC3「世界一周(RTW)」の落とし穴と勝ちパターン
- 第10章:【実践編】ライフソリューション達成へ!「7つの神器」と「400万の壁」突破術
- コラム:SFCの「先」にある世界 〜ステータスマッチとホテル修行〜
- エピローグ:タカシ、準備はいいか?
- 付録1:SFC修行・一問一答【よくある懸念と対策】
- 付録2:2026年 SFC修行用語大全・リソース集
- 付録3:実行チェックリスト(タカシ君用)
- コラム:修行僧の「三種の神器」
第1章:【戦略】出張頻度別「3×3マトリクス」診断
SFC取得戦略は、個人の「資産状況(金・時間)」によって最適解が異なる。
今回のモデルケース(タカシ君)のスペックは以下の通りだが、これを読者に置き換えて考えてみてほしい。
モデルケース:30代営業職
- 職業: 中堅メーカー営業職(東京本社)
- 年収: 800万円前後
- 出張: 月1〜2回、札幌または福岡へ(会社規定:普通席)
- 家族: 既婚、子供あり。週末の不在は家庭不和のリスク。
- 性格: 合理的。「苦行」は回避したい。
2026年版「3×3 SFC攻略マトリクス」
戦略を「頻度(出張)」と「価値観(優先事項)」で分類すると、以下のマトリクスが導き出される。

| 軸 | ①頻度・多(出張メイン) | ②頻度・中(出張+修行) | ③頻度・少(休暇メイン) |
|---|---|---|---|
| A. 早く (時短・効率) |
【モデルA1】プレミアム全振り PP単価: 16円 会社経費をレバレッジする王道 |
【モデルA2】KULループ速攻 PP単価: 11円 週末だけで1万PP稼ぐ外科手術 |
【モデルA3】カイロ発券RTW PP単価: 20円 連休一撃3万PPの短期集中 |
| B. 安く (コスパ・裏技) |
【モデルB1】JQみずほ錬金術 PP単価: 0円(実質) ポイント還元の出口戦略 |
【モデルB2】ソウル発券エコ PP単価: 10円 福岡の地の利を活かす |
【モデルB3】USクレカ技 PP単価: 9円 マイルを購入して充てる |
| C. 快適に (体験・質) |
【モデルC1】Value Premium PP単価: 18円 自腹UGで確実に座る |
【モデルC2】Biz Class Hopping PP単価: 22円 アジア各社ビジネス乗り比べ |
【モデルC3】THE Room FX狩り PP単価: 26円 世界一周卒業旅行 |
出張があるビジネスパーソンは、基本的に「頻度・中」以上に該当する。
この中から、性格(ラクしたい、安くしたい)に合わせて3つの最適ルートを提案する。
- 時間がないなら:週末だけで終わらせる「モデルA2(KULループ)」
- 金がないなら:福岡出張ついでに飛ぶ「モデルB2(ソウル発券)」
- どうせなら思い出にしたいなら:新ビジネスクラスに乗る「モデルC3(世界一周)」
そして、これらを実行する前に、絶対に知っておくべき「ライフソリューション(裏口入学)」についても後述する。
まずは、それぞれのルートがなぜ「沖縄往復」より優れているのか、ロジックで説明しよう。
- 50,000 PP(うちANAグループ運航便で25,000 PP以上)
- ここが重要だ。後述するが、安いからといって「他社便(スターアライアンス)」ばかりに乗っていると、いつまで経ってもSFCは取れない。
さあ、電卓の準備はいいか。
第2章:【時間短縮】週末解脱!KULループ&プレミアムクラス出張 (モデルA)
「時は金なり」。
この言葉の意味を最も理解しているのは、多忙なビジネスパーソンだろう。
週末を潰して那覇を往復する? そんな時間は家族との団欒や自己投資に使いたい。
そんな人が取るべき戦略は、「金の力で時間を捻じ曲げる」ことだ。
【モデルA1】プレミアムクラス全振り:会社の経費をPPに変える錬金術
もし、「出張旅費は実費精算」ではなく「役職規定で一律支給」あるいは「ある程度裁量がある」立場なら、これ以上の説明は不要だ。
国内出張(羽田-新千歳/福岡)の全フライトを「プレミアムクラス」にする。ただそれだけだ。
なぜプレミアムクラスなのか?
- 路線倍率の暴力: 国内線はPP計算式において「路線倍率2倍」という優遇措置がある。これは国際線(1倍〜1.5倍)にはない特権だ。
- 搭乗ポイント: 1回乗るごとに400PPがボーナスで付く。

具体的な数字で見よう。
- 羽田-新千歳(普通席・運賃7相当): 765 PP(片道)
- 羽田-新千歳(プレミアムクラス・運賃2相当): 1,675 PP(片道)
2倍以上だ。費用は(株主優待やバリュープレミアムを使えば)+1万円〜1.5万円程度。
これで、往復 3,350 PP。
月2回出張があれば、6,700 PP/月。
年間(12ヶ月)で 80,400 PP。
解脱どころか、ダイヤモンドステータス(10万PP)すら視野に入ってくる。
懸念されている「プレミアムクラス→First Class名称変更」が行われた場合、アップグレード料金が変動制になり高騰するリスクがある。
そのため、この戦略を取るなら「上半期(1月〜6月)」に集中して予約を入れるのが定石だ。
【モデルA2】KULループ:週末だけで1万PP稼ぐ「エクストリーム出社」
「出張だけでは少し足りない」「会社の規定で普通席しか乗れない」
そんなケースにおすすめなのが、これだ。
修行僧の聖地、マレーシア・クアラルンプール(KUL)。
ここを起点とした「海外発券」を組み込むことで、驚異的なPP単価と時間効率を叩き出す。
なぜKUL(クアラルンプール)なのか?
- 路線倍率1.5倍: アジア・オセアニア路線は倍率が高い。欧米(1倍)に行くより効率が良い。
- チケットが安い: エアアジアとの競合により、ANAでもエコノミー/プレエコが激安で出る。
- 海外発券: 「日本発KUL行き」を買うのではなく、「KUL発日本行き」を買うことで、予約クラスが高い(=積算率が高い)のに安いチケットが手に入る。
実践!KULループの全貌(1セット)
これは「日本発の旅行」の中に「KUL発の旅行」を入れ子(サンドイッチ)にする高等テクニックだ。

【準備】ポジショニング(日本→KULへの移動)
まず、何らかの方法でKULへ行く必要がある。
ここはマイル(特典航空券)を使うか、LCC(エアアジア)で片道チケットを買うのが賢い。
【本編】KUL発券(KUL-東京往復)
ANAのサイトで「出発地:クアラルンプール」「到着地:東京」にして検索する。
狙うは「プレミアムエコノミー(Eクラス)」だ。
- PP積算率: 100%
- 路線倍率: 1.5倍
- 搭乗ポイント: 400 PP
片道獲得PP: 3,338マイル × 1.0 × 1.5 + 400 = 5,407 PP
往復獲得PP: 10,814 PP
費用目安: 約12万円〜14万円
PP単価: 11円〜13円
週末1回で1万PPオーバー。出張で2万PP貯まっていれば、これを3回やるだけで解脱だ。
エクストリーム・スケジュール(例)
- 金曜 23:30: 羽田発(NH885)でKULへ(睡眠時間)
- 土曜 06:00: KUL着。
(ここからKUL発券スタート) - 土曜 14:15: KUL発(NH816)で成田へ(プレエコ快適フライト)
- 土曜 22:15: 成田着。自宅へ帰宅して就寝。
- 日曜: 【日本で過ごす】(家族サービス!)
- 月曜 09:30: 成田発(NH815)でKULへ… と言いたいところだが、
ここは日程を柔軟に組めるのが海外発券の強み。
復路(東京→KUL)は、翌月の連休などに設定すれば良い。
つまり、「土曜日の朝にKULに着いて、その日の午後に帰ってくる」というタッチ(滞在0泊)が可能だ。
これなら、日曜日は丸一日家族と過ごせる。
「パパちょっとマレーシア行ってくるわ」と言って、近所のスタバに行く感覚で1万PPを持ち帰る。
これが、時間のないサラリーマンの戦い方だ。
第3章:【費用削減】持ち出し0円!JQみずほルート&ソウル発券 (モデルB)

「12万円? 無理無理、そんな金どこにあるの」
そう思った方もいるだろう。正常な金銭感覚だ。
SFC修行のために50万円を捻出できるサラリーマンなど、そう多くはない。
50万円あったら、家族でLAのユニバーサル・スタジオに行けるからな。
ならば、「知恵」を使ってコストを下げるしかない。
【モデルB1】JQみずほ錬金術:「持ち出し0円」への挑戦
マイルを貯めるルートとして、かつての「ソラチカ」や「東急」はもう使えない。
2026年、唯一にして最強のルートが「JQみずほルート」だ。
これを徹底して使い倒せば、財布からは1円も出ていかない。
錬金術の仕組み(還元率70%)
通常、ポイントサイト(モッピーやハピタス)で貯めたポイントをANAマイルにすると、直接交換では50%(半分)に減る。
しかし、以下のルートを通すことで、70%の価値を維持できる。
- ポイントサイト → Vポイント (等価)
- Vポイント → JRキューポ (等価・要JQカード)
- JRキューポ → 永久不滅ポイント (等価・要JQセゾン)
- 永久不滅 → ANAマイル (70%レート・みずほマイレージクラブカード)

どうやって修行に使うのか?
- マイルを貯める: 日々の決済、出張のホテル予約(ポイントサイト経由)、高額な買い物などを全てこのルートに集約する。
- SKYコインに交換: 貯まったANAマイルを、特典航空券ではなく「ANA SKYコイン」に交換する。
SFCやゴールドカードを持っていれば、交換率は最大1.6倍〜1.7倍になる。
例:5万マイル → 8.5万コイン(85,000円相当) - 航空券購入: このSKYコインを使って、有償の航空券(プレミアムクラスやKUL発券)を購入する。
重要:特典航空券(マイル利用)ではPPは貯まらないが、SKYコインで買った航空券は現金と同じ扱いなのでPPが貯まる!
つまり、
生活費決済・出張立替 → ポイント → マイル → コイン → 航空券 → PP
というサイクルを回すことで、銀行口座を傷つけずに解脱が可能になる。
これこそが「実質0円」の正体だ。
【モデルB2】ソウル発券:チケットロンダリングの魔法
福岡出張が多い人、あるいは福岡在住者には、東京の人間が羨む「地の利」がある。
「ソウル(インチョン/金浦)が近すぎる」ことだ。
そのチケット、日本で買う必要ある?
北米(ニューヨークやロサンゼルス)行きの航空券。
日本発で買うと、平気で20万、30万する。円安だからだ。
しかし、出発地を「ソウル」に変えてみてほしい。
- 東京発 ニューヨーク行き: 30万円(予約クラス低・PP積算率50%)
- ソウル発 東京経由 ニューヨーク行き: 20万円(予約クラス高・PP積算率70-100%)
同じ飛行機(東京-NY間は同じ便)に乗るのに、値段が下がり、貰えるポイントが増える。
これが通貨価値の歪み(アービトラージ)を利用した「チケットロンダリング」だ。

福岡ユーザーの勝利の方程式
- 福岡 → ソウル: LCC(チェジュ航空など)や高速船で数千円〜1万円で移動。東京に行くより近い。
- ソウル → 東京 → 北米: ここからANA修行スタート。
- PP単価: 長距離区間を安く、高い積算率で乗れるため、単価10円切りも狙える。
わざわざ羽田まで行って高いチケットを買うのは、もはや情弱のすることだ。
まずはANA公式サイトの国設定(Country)を「Korea」に変えて、検索してみることだ。そこに広がる「適正価格」の世界に驚くだろう。
第4章:【体験重視】新ビジネスTHE Room FXで世界一周卒業旅行 (モデルC)
「どうせ50万円使うなら、那覇往復なんかしたくない。夢を買いたい」
そんなロマン派には、スターアライアンス世界一周航空券(RTW)しかありません。
【モデルC3】THE Room FX狩り:世界一周卒業旅行
2026年、ANAは待望の新国際線ビジネスクラスシート「THE Room FX」をボーイング787-9型機に順次導入する。
個室型、4Kモニター、広大な居住空間。
これを体験せずして、何がANAの上級会員か。

なぜ「世界一周」なのか?
- コスパが異常:
日本-ロンドンを普通にビジネスクラスで往復すると100万円を超える。しかし、世界一周なら3〜4区間のビジネスに乗って総額80万円〜で収まることもある。 - 一撃解脱: 距離にもよるが、一度の世界一周で25,000〜30,000 PPが貯まる。残りを国内出張で補えば終了だ。
- モチベーション: 「修行」ではなく「冒険」になる。家族への言い訳も「世界一周してくる」なら(逆に呆れられて)通るかもしれない。
カイロ発券の魔力
ここでも「海外発券」の出番だ。
日本発の世界一周は高い。しかし物価の安い国、例えばエジプト(カイロ)発券にすると、値段が劇的に下がる。
ポジショニング(日本〜カイロ)の手間はかかるが、それを補って余りあるラグジュアリー体験が待っている。
第5章:【裏ワザ】ライフソリューションサービスで修行を半分にする
ここまで、3つのモデルを見てきた。
最後に、電卓を叩いて現実を見よう。
「結局、いくらかかるの?」
そして、「本当にやる価値があるの?」
最後の切り札:「ライフソリューションサービス」
実は、SFC取得には「裏ルート」がある。
通常、50,000 PPが必要だが、以下の条件を満たせばノルマが30,000 PPに下がる。
- ANAカード決済額: 年間400万円以上
- 対象サービス利用: 7サービス以上(ANA Mall、ふるさと納税、電気、ポケットなど)

もし、家の家賃や生活費、全ての決済をANAカードに集約できるなら。
必要なフライトは30,000 PP。
出張で20,000 PP稼げているなら、残る修行はたったの10,000 PPだ。
KULループなら、週末1回行けば終わる。
これこそが、多忙なエグゼクティブ(出張族)にとっての真の最適解だ。
実質負担額(Net Cost)計算書
最後に、各モデルの「実質負担」を計算した。
(※出張経費で浮いた分や、ポイント錬金術を加味した最終的な持ち出し額)

| モデル | 表面上の総費用 | 出張経費/LS効果 | 実質負担 (Net Cost) |
|---|---|---|---|
| A1 プレミアム | 90万円 | ▲50万円 | 40万円 |
| A2 KULループ | 60万円 | ▲20万円(LS効果) | 40万円 |
| B1 JQみずほ | マイル払い | 全額ポイント | 実質 0円 |
| C3 世界一周 | 130万円 | なし | 130万円 |
モデルB1(JQみずほ)なら、財布は痛まない。
モデルA/Cなら、多少の出費で一生涯のステータスが手に入る。
2026年、SFCの扉はまだ開いている。
しかし、その扉は年々重く、狭くなっている。
ソラチカが消え、海外発券の旨味もいつまで続くかわからない。
確実なことは一つだけ。
「やるなら、今しかない」
来月の北海道出張、そのチケットを「プレミアムクラス」に変更する。
そのワンクリックが、空の旅を永遠に変える最初の一歩になる。
良きフライトを。
コラム:私がこのルートを「却下」した理由

世の中には「お得なSFC修行ルート」という情報が溢れている。
しかし、その多くは「独身・暇人・航空マニア」向けだ。
「忙しい家庭持ちサラリーマン」が手を出すと火傷するルートを、あらかじめブラックリストに入れておいた。
- ❌ 却下1:沖縄(那覇・石垣)単純往復
-
理由:「苦行度」が高すぎる。
かつてはPP単価6円台で、週末に那覇を2往復する猛者もいた。
しかし2026年、航空券は高騰している。スーパーバリューセール(75日前予約)でなんとか単価10円を切れるかどうかのレベルだ。
しかも、キャンセル不可のリスクが高い。「子供が熱を出した」。この一言で、数万円のチケットと数千PPが藻屑と消える。
何より、エコノミーの狭い席で、泣き叫ぶ子供(他人の子)の横で数時間耐える週末を、10回も繰り返せるか?多くのビジネスマンには推奨できない。 - ❌ 却下2:エアチャイナ(北京経由)ビジネスクラス
-
理由:「時間」が読めない。
確かに安い。ビジネスクラスでシンガポール往復が10万円を切ることもある。
しかし、遅延リスクが高い。月曜日の朝イチで重要な会議があるビジネスマンに、「北京の管制制限で飛びません」というリスクは負わせられない。 - ❌ 却下3:ユナイテッド航空など「他社便」オンリー戦略
-
理由:「致命的なルール」がある。
「ユナイテッド航空の方がマイル貯まるし安いじゃん!」
その通りだ。しかしSFC取得条件の最初の一行を思い出してほしい。
「50,000 PPのうち、25,000 PPはANAグループ運航便であること」
どんなに安くても、どんなに快適でも、他社便(スターアライアンス便)だけで50,000 PP貯めても、SFCへの申し込み資格は得られない。
結局、半分はANAに乗らなきゃいけないんだ。 - ❌ 却下4:国内アイランドホッピング
-
理由:普通の人はマニアじゃない。
「羽田-伊丹-福岡-宮崎-那覇-羽田」のように、1日5回離着陸するツアーがある。
PP効率は良い。しかし、これは「飛行機に乗ること自体がエクスタシー」と感じるごく一部の愛好家向けのプランだ。
三半規管が強くない人がこれをやると、二度と飛行機に乗りたくなくなるだろう。
第6章:【徹底攻略】モデルA2「KULループ」の完全攻略マニュアル
ここでは、モデルA2(クアラルンプール海外発券)を実行するにあたって、初心者が躓きやすいポイントや、実際の旅程における細かいノウハウを「攻略マニュアル」としてマニュアル化する。
1. 予約クラスの壁:「E」を探せ
KUL発券の最大のメリットは、「Eクラス」が安く出ることだ。
ANAのプレミアムエコノミーには、主にR(対象外)、E(対象)、N(安い)がある。
Eクラスであれば、なんとビジネスクラスへのアップグレード(マイルまたはアップグレードポイント利用)が可能になる。
深夜便(NH886/885)でビジネスクラスに上がれるかどうかは、翌日の仕事のパフォーマンスに直結する。
予約画面で必ず「詳細運賃規則」を開き、「予約クラス:E」であることを確認してから決済ボタンを押すこと。
2. ラウンジ問題:SFC取得前はどうする?
ANAラウンジは使えないが、クアラルンプールには**「プライオリティ・パス」**で入れる優秀なラウンジがある。
その代表格が「Sama-Sama Express」や「Plaza Premium Lounge」だ。
SFC修行僧にとって、「楽天プレミアムカード」(年会費11,000円)などに付帯するプライオリティ・パスは、シャワーを浴びて人間らしさを保つための「必要経費」だ。
3. 実践的ホテル戦略:Sama-Sama Hotel
もし「0泊タッチ」ではなく、一晩泊まるなら、絶対に「Sama-Sama Hotel KLIA」をお勧めする。
空港直結(バギーで送迎あり)。
クアラルンプール市内まで出るには、特急KLIAエクスプレスで30分かかる。往復1時間と運賃がもったいない。
修行僧にとって、空港は「実家」であり、ホテルは「寝室」だ。
第7章:【徹底攻略】モデルB1「JQみずほルート」の交換タイムライン
「70%還元」は魅力的だが、最大のデメリットがある。
それは「時間がかかる」ことだ。
2026年1月に修行を開始したいなら、2025年10月には動き出さなければならない。
交換リレーの所要時間(リアル)
- ポイントサイト → Vポイント(即時〜3日)
- Vポイント → JRキューポ(1〜2日・JQ CARDセゾン必須)
※ここでカードを持っていないとルートが詰む。 - JRキューポ → 永久不滅ポイント(1〜2日・JQ CARDセゾン必須)
- 永久不滅ポイント → ANAマイル(2週間〜3週間・みずほマイレージクラブカード/ANA必須)
※ここが最大のボトルネック。毎月15日頃までに申請が必要。
【結論】: ポイントサイトからANAマイルに着金するまで、「約1ヶ月」を見ておく必要がある。
必須カードの「2枚持ち」
このルートには、以下の2枚が絶対に必要になる。
1. JQ CARD セゾン
2. みずほマイレージクラブカード/ANA
この2枚は「決済用」ではなく「交換用ツール」として、机の引き出しにしまっておくだけでいい。
コラム:敗北の歴史 〜我々は何を失い、何を学んだか〜

なぜ私がここまで「危機感」を煽るのか。
それは私が、数々の「改悪」の歴史を目の当たりにしてきたからだ。
- 1. ソラチカルートの崩壊: 90%還元の黄金時代は終わった。
- 2. スカイコイン交換率の改悪: いつレートが下がるかわからない。
- 3. デルタ航空ニッポン500マイル終了: FAXを送るだけの日々は帰ってこない。
歴史から学ぶべき教訓は一つ。
「美味しい話は、広まった瞬間から腐り始める」
だからこそ、「今」なのだ。
第8章:【完全旅程表】モデルB2「ソウル発券」シミュレーション
ここでは、福岡出張族に向けた「ソウル発券(北米行き)」の具体的な旅程例を示す。
ケース:福岡発、ニューヨーク(JFK)行き
| 日程 | 行程 | 詳細 |
|---|---|---|
| 金曜 | 福岡 → ソウル(ICN) | LCC/高速船で移動。ソウル泊(焼肉)。 |
| 土曜 | ソウル(ICN/GMP) → 羽田 | ここからANA修行開始。 |
| 土曜 | 羽田 → NY(JFK) | 同日着。 |
| 火曜 | NY(JFK) → 羽田 | 現地発。 |
| 水曜 | 羽田 → ソウル(GMP/ICN) | 修行完了。 |
| 水曜 | ソウル → 福岡 | 自力で帰宅。 |
注意点:空港間の移動(MCT)
ソウル(仁川ICN/金浦GMP)と東京(成田NRT/羽田HND)。
チケットによっては「金浦着・仁川発」という悪魔のような乗り継ぎが含まれる。
予約コードを血眼になって確認すること。自信がなければ「羽田発着」「金浦発着」に統一せよ。
第9章:【徹底攻略】モデルC3「世界一周(RTW)」の落とし穴と勝ちパターン
1. 「16区間」の制約と「サーフィス」の活用
RTWの上限は16回。
欧州内などは鉄道(サーフィス)で移動して区間を節約するのが鉄則だ。
2. Book & Flyツールの「嘘」を見抜く
スターアライアンス公式サイトのツールには「ゴーストインベントリ(幽霊在庫)」がある。
画面上で空いていても、いざ決済するとエラーになる。
面倒でもANAサイトで1区間ずつ空席確認を行うのが確実だ。
3. 「THE Room FX」を狙い撃つ路線選定
2026年の目玉、THE Room FX(B787-9)。
投入されるのは「羽田-ロンドン」「羽田-NY」などの旗艦路線だ。
世界一周の「最初」か「最後」にこの路線を組み込み、有終の美を飾ろう。
第10章:【実践編】ライフソリューション達成へ!「7つの神器」と「400万の壁」突破術

1. 簡単にクリアできる「7サービス」選定
手間も金もかからない7つを選べ。
- ANA Mall: 水を1ケース買う。
- ANAふるさと納税: 年末の節税。
- ANA Pocket: 月額550円アプリ。
- ANAでんき: 契約切り替え。
- マイルが貯まる「保険」: 数百円のミニ保険。
- ANAショッピング A-style: 旅行用品などを購入。
- 空港駐車場: 羽田/成田利用時。
2. 「年間決済400万円」の壁を越えるハック
【解決策A:Amazonギフトカード チャージ】
有効期限は10年。不足分を一気にチャージして「未来の消費」を前払いする。
【解決策B:国税のスマホ決済】
所得税、固定資産税をAmazon Pay(ANAカードチャージ済み)で払う。
コラム:SFCの「先」にある世界 〜ステータスマッチとホテル修行〜
1. デルタ航空への挑戦状(スカイマイル)
SFC(スタアラ)を取ったら、デルタ航空(スカイチーム)へ「ステータスマッチ・チャレンジ」を仕掛けろ。
期間限定でゴールドメダリオンになれる。羽田の「デルタスカイクラブ」はANAラウンジを凌駕する。
2. 空港ホテルという「補給基地」
- KUL: Sama-Sama Express (Airside)でシャワー。
- HND: ヴィラフォンテーヌ グランド 羽田空港で温泉&エクストリーム出社。
3. 通信の最適解:eSIM一択
Wi-Fiルーターは捨てろ。「Airalo」や「Ubigi」で、着陸と同時に繋がる身軽さを手に入れろ。
エピローグ:タカシ、準備はいいか?
SFC修行は、確かに金も時間もかかる。
50万円あれば、家族でハワイに行けるかもしれない。
でも、SFCがあれば、そのハワイ旅行が一生涯「特別」なものになる。
想像してくれ。
数年後、娘さんが大きくなって「パパ、私、LAの『ラ・ラ・ランド』の聖地に行きたい」と言った時を。
その時、お前は涼しい顔でこう言うんだ。

「よし行こう。パパはスターアライアンスゴールドだから、ラウンジでパンケーキを食べてから乗ろうな」
俺たちが目指しているのは、ステータスカードそのものじゃない。
そのカードがもたらしてくれる、「映画のような旅のワンシーン」だ。
来月の北海道出張、そのチケットを「プレミアムクラス」に変更する。
そのワンクリックが、お前の、そしてお前の家族の旅を永遠に変える最初の一歩になる。
解脱したら、まずはLAに行こうぜ。
『トップガン』のロケ地で、冷えたビールで乾杯しよう。
お前は「男二人でLAかよ」って嫌がるかもしれないけどな。
俺はチケットを取って待ってるぞ。
Good Luck on your journey.
Cinemile
付録1:SFC修行・一問一答【よくある懸念と対策】
A. 逆です。家族を味方につけるための「家族カード」です。
SFCを取得すれば、家族カードを発行することで配偶者もSFC会員相当の恩恵を受けられる。
「泥のように働いてKUL(クアラルンプール)へ行くのは、このカードを家族に渡すためだ」。そうプレゼンすべきだ。
A. 中学英語とスマホがあれば問題ありません。
「Transit(乗り継ぎ)」「Shower(シャワー)」「Chicken or Beef?」。これだけ分かれば生きていける。あとはGoogle翻訳だ。
A. 扉は毎年、確実に重くなっています。
海外発券の封じ込め、ラウンジ改悪、プレミアムクラス高騰。「いつか」はない。「今」がラストチャンスかもしれない。
A. スターアライアンスの規模は正義です。
加盟数最多のスタアラは海外旅行に強い。一生に一つならSFCだ。
A. Amazonギフトカードチャージです。
有効期限10年。50万円チャージしても10年で使い切ればいい。
A. キツいです。だから「プレエコ」なんです。
エコノミーでKULタッチをやると、体力のある若者でも疲弊する。
SFC修行は「座席への投資」をケチると、ただの苦行になる。
付録2:2026年 SFC修行用語大全・リソース集
- SFC: スーパーフライヤーズカード。ゴール。
- PP: プレミアムポイント。5万PPで解脱。
- 解脱: 修行完了のこと。
- 陸マイラー: 飛行機に乗らずマイルを貯める人。
【応用編・航空券】
- KUL: クアラルンプール。聖地。
- RTW: 世界一周航空券。
- MCT: 最低乗り継ぎ時間。
- ストップオーバー: 24時間以上の滞在。
【ツール・機材】
- SeatAlerts: 空席通知アプリ。
- 789/78M: B787-9。THE Room FX搭載機か確認せよ。
- UG: アップグレード。
付録3:実行チェックリスト(タカシ君用)
- ANAカード(ワイドゴールド以上)の発行: VISA/Masterブランドで作っておく。
- JQ CARDセゾン / みずほANAカードの作成: モデルB1用。
- 家族会議: 予算と時間の承認を得る。
- 1月の出張予約: 全て「プレミアムクラス」で予約する。
- GWの予定確保: KULループまたはRTWの日程ブロック。
- Amazonギフトカードチャージ: 決済額調整。
- 50,000PP到達: アプリの画面が「Platinum」に変わる瞬間をスクショ。
- SFC申し込み: ステータスが反映されたら即申請。
- 祝杯: プレミアムモルツを開ける。
コラム:修行僧の「三種の神器」
- ノイズキャンセリングヘッドホン: 「義務」だ。静寂を買え。
- 万能変換プラグ: 全世界対応を一つ持っておけ。思考停止で充電できる。
- 着圧ソックス: 男も履け。翌日の足の軽さが違う。


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