【2026年版】ANA燃油サーチャージ完全回避。アビアンカ航空「LifeMiles」でこじ開ける、裏口ヨーロッパへの招待状

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「ヨーロッパに行きたいが、燃油サーチャージが高すぎる」
「マイルは貯まったが、特典航空券の空席がない」

2026年、我々日本人トラベラーは、かつてない「壁」に直面しています。
円安、原油高、そしてロシア上空通過禁止による飛行時間の延長。これらが重なり、ANAやJALで欧州への直行便を予約しようとすれば、チケット代とは別に往復20万円近い「燃油特別付加運賃(サーチャージ)」を請求される異常事態が続いています。

しかし、絶望する必要はありません。
スターアライアンスの加盟航空会社の中に、一つだけ、この「サーチャージ」という概念を完全に無視する異端児が存在します。

南米コロンビアのフラッグキャリア、アビアンカ航空(Avianca)
そのマイレージプログラム「LifeMiles(ライフマイルズ)」です。

この記事は、単なるマイルの解説ではありません。
マイルを「貯める」のではなく、安値で「買い」、高値で「行使する」。
「金融商品としてのマイル戦略」の提案です。


1. 【絶望】なぜ我々は「20万円」も払わされているのか

まずは現状認識から始めましょう。
2025年現在、日本からロンドンやパリへ、ANAの特典航空券(往復)を発券する場合のコストを見てみます。

  • 必要マイル数:約90,000〜110,000マイル(シーズンによる)
  • 諸税・サーチャージ約180,000円〜220,000円

ここに最大の罠があります。「無料の特典航空券」を手に入れたはずが、実際にはエコノミークラスの格安チケットが買えてしまうほどの現金を追加で支払わなければならないのです。これでは何のためにマイルを貯めたのか分かりません。

なぜこうなるのか?
それは、ANAマイレージクラブが「航空会社が設定したサーチャージを、そのまま乗客に請求する」ルールを採用しているからです。

しかし、世の中には「サーチャージを乗客に請求しない」というポリシーを貫くマイレージプログラムが存在します。
その代表格が、ユナイテッド航空の「MileagePlus」と、今回紹介するアビアンカ航空の「LifeMiles」です。


2. 【錬金術】LifeMilesなら、なぜ「Yq=0」になるのか

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南米の翼、アビアンカ航空。日本には就航していないこの航空会社が、我々の救世主となります。

アビアンカ航空は、スターアライアンスに加盟しています。
つまり、LifeMilesを使って、ANAやルフトハンザ航空の特典航空券を発券できるということです。

そして重要なのが、LifeMilesのシステム仕様です。
航空券の運賃構成要素には、運賃(Fare)の他に、税金(Tax)や空港使用料、そして燃油サーチャージ(Yq/Yr)が含まれます。
LifeMilesのシステムは、他社便(パートナー航空会社)の特典航空券を発券する際、この「Yq/Yr(サーチャージ)」の項目を技術的に(あるいはポリシーとして)計上しません。

コスト比較:東京〜ロンドン(往復・ビジネスクラス)

プログラム 必要マイル数 支払う現金 (諸税)
ANA (AMC) 110,000マイル 約 210,000円 (地獄)
United (UA) 200,000マイル〜 約 8,000円 (マイル数が多すぎ)
LifeMiles 170,000マイル 約 8,000円 (最適解)

ユナイテッド航空もサーチャージ無料ですが、必要マイル数がインフレしており、実用的ではありません。
LifeMilesは、ANAよりは多いものの、許容範囲のマイル数で、現金の持ち出しを「ほぼゼロ」にできるのです。

「でも、そんな大量のマイル、貯められないよ」

そう思った方。思考を切り替えてください。
LifeMilesは、フライトやカード決済で「貯める」ものではありません。
セール時期に、クレジットカード決済で「仕入れる」ものです。


3. 【投資】バイマイルの経済学 (Buy Low, Fly High)

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ANAカード
ANAカード 旅の時間も、マイルも、あなたらしく積み重ねていく。ANAと歩む毎日を、今から始めませんか? A...

LifeMilesが「マイラー界のビットコイン」と呼ばれる所以(ゆえん)。
それは、頻繁に行われる「バイマイル(マイル購入)キャンペーン」の爆発力にあります。

「145%ボーナス」の法則

アビアンカ航空は、一年のうち半分くらいの期間、何かしらのセールを行っています。
特に狙い目なのが、「145%ボーナス」以上の表記が出た時です。

  • 通常時:1,000マイル = PD 33.00(約5,000円)→ 単価
    5円/マイル(論外)
  • セール時(145% Bonus)
    • 購入:100,000マイル
    • ボーナス:+145,000マイル
    • 合計獲得:245,000マイル
    • 価格:USD 3,300(約48万円)
    • 実質単価:約 1.95円 / マイル

1マイル=約1.9円。
この数字を覚えてください。これが我々の「仕入れ値」です。

利益確定のシミュレーション(ANA
THE Room)

では、この仕入れたマイルを使って、ANAのロンドン行き最新ビジネスクラス「THE
Room」を発券したとしましょう。

  • 必要マイル(片道):85,000
    LifeMiles(※変動あり、欧州ゾーン設定による)
  • 仕入れコスト:85,000 × 1.9円 =
    161,500円
  • 諸税:約 5,000円
  • 【LifeMiles総額】:約 166,500円

一方、ANA公式サイトで同じチケットを現金購入しようとすると、どうなるか?
「THE Room」搭載機のロンドン行き片道(Flex運賃などの高額設定が多いですが)は、平気で100万円を超えます。安く見積もっても80万円。

  • 市場価格(現金):800,000円
  • LifeMiles原価:166,500円
  • 【利益幅】:633,500円(割引率 約79%)

これが、LifeMilesにおける「アービトラージ(裁定取引)」です。
市場の歪みを利用して、圧倒的な安値でラグジュアリーなリターンを得る。まさに投資家の発想です。


4. 【錬金術・応用】Mixed Cabin(キャビン混載)の魔法

LifeMilesには、もう一つ、システム上のバグめいた仕様が存在します。
それが「Mixed Cabin(異クラス混載)による必要マイル減額」です。

通常、乗り継ぎ便の一部がエコノミークラスであっても、全区間がビジネスクラスの必要マイル数を請求されるのが一般的です(ANAなど)。
しかし、LifeMilesは「搭乗クラスの加重平均」のような計算ロジック(実際はもっと複雑かつ謎ですが)をしており、
「長距離ビジネス + 短距離エコノミー」
を組み合わせると、なぜか「直行便ビジネス単体」よりも必要マイル数が減るという現象が起きます。

実際の検索例(妄想)

例:バンコク(BKK) → ミュンヘン(MUC) →
ロンドン(LHR)

  1. BKK-MUC(タイ航空ファーストクラス) 単体
    • 必要マイル:102,000マイル
  2. BKK-MUC(ファースト) +
    MUC-LHR(ルフトハンザ・エコノミー)

    • 必要マイル:96,000マイル(!?)

なぜか減ります。
「最高のファーストクラスを楽しんだ後は、エコノミーで粛々と移動する」。
この謙虚さが、マイルの神様に評価されるのでしょう(システム上の欠陥ですが)。

この仕様を利用して、あえて目的地の手前や奥に短いエコノミー区間をくっつけることで、必要マイル数を圧縮するテクニック。
これができるのも、LifeMilesの「Maniac」な魅力です。


5. 【リスク】南米の洗礼(The Dark Side)

ここまで良いことばかり書いてきましたが、最後に「警告(Disclaimer)」を記さねばなりません。
LifeMilesは、「ハイリスク・ハイリターン」の代名詞です。素人が安易に手を出すと火傷します。

リスク①:キャンセル料が高い

LifeMilesで発券した特典航空券をキャンセルする場合、最大200米ドルの手数料がかかります。
ANAの「3,000マイル」とはわけが違います。往復で二人分キャンセルしたら、それだけで結構な出費です。「とりあえず押さえておく」という予約には向きません。

リスク②:Webサイトが不安定

アビアンカ航空のシステムは、南米気質なのか、よく落ちます。検索結果が出ない、決済画面でエラーが出る、ログインできない。日常茶飯事です。
ブラウザを変えたり、クッキーを削除したり、スペイン語サイトに切り替えたりといった「ITスキル」と「根気」が試されます。

リスク③:コールセンターが地獄

万が一、トラブルが起きてコールセンターに電話することになった場合、そこは地獄です。
英語は通じますが、訛りが強く、かつ手続きが非常に遅いことが多いです。メールの返信も気まぐれです。
「Web完結」が大原則。電話が必要になる事態(複雑な変更など)は、最初から避けるべきです。


6. パートナー戦略:どの翼を狙うか

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フランクフルトのルフトハンザ・ファーストクラス・ターミナル。ここへの入場券も、LifeMilesなら「買える」のです。

最後に、LifeMilesで狙うべきスターアライアンスの「優良物件」リストを共有します。

  1. ANA(NH):言わずと知れた本命。サーチャージ無料化の恩恵が最大。
  2. ルフトハンザ(LH)「出発の14日前」になると、ファーストクラスの特典枠がパートナーに開放されます。ここが狙い目です。LifeMilesなら、燃油代の高いルフトハンザFも、手数料のみで発券可能。
  3. エバー航空(BR):台湾経由の欧州・北米ルート。サービス品質が高く、空席も比較的見つけやすい。
  4. タイ国際航空(TG):アジア経由で欧州へ。ファーストクラスの設定がある路線が多く、スパイスの効いた旅になります。

結論:リスクを愛する、旅の投資家へ

アビアンカ航空のLifeMiles。
それは、誰にでも勧められるプログラムではありません。
しかし、「リスクを取ってでも、圧倒的なリターン(サーチャージ回避とラグジュアリー体験)を得たい」と願う、旅の投資家にとっては、これ以上ない強力な武器となります。

現在、円安の荒波の中で、真正面から海外旅行に挑むのは無謀です。
裏口から、こっそりと、しかし優雅に。
南米のマイルをポケットに忍ばせ、フランクフルトのファーストクラス・ターミナルで祝杯をあげましょう。

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