
2025年改悪の嵐の中でも、賢く使えば世界はもっと近くなる
2025年、マイレージの世界に激震が走りました。
JALは6月10日発券分より国際線特典航空券の必要マイル数を大幅に引き上げ、ANAも6月24日発券分から同様の「改悪」を実施。さらに追い打ちをかけるように、マイラーの味方だったMarriott Bonvoyアメックスまでもが8月21日に年会費を49,500円から82,500円へと大幅値上げ。無料宿泊特典の条件も年間150万円決済から400万円決済へと厳格化されました。
インターネット上では「もうマイルを貯める時代は終わった」「特典旅行は富裕層だけのもの」という悲観的な声が溢れています。本当にそうでしょうか?
私はかつてJAL Diamond会員として、この10年間、マイレージプログラムを徹底的に研究し、実際にビジネスクラスで旅してきました。そして確信しています。2025年の「三重改悪」は、確かに痛手です。しかし、それは「終わり」ではなく、むしろ新たな戦略へと進化するチャンスなのです。
本記事で学べること
- Marriott Bonvoyポイントを「マスター通貨」として活用し、アラスカ航空マイルに交換すればJAL国際線ビジネスクラスの燃油サーチャージが0円になる方法
- 東京→ロンドン往復で10万円以上節約できる具体的な手順
- 海外発券の裏技で、25,000マイルでJALビジネス往復を実現する最上級テクニック
- ヴァージンアトランティック vs ユナイテッド航空、状況に応じた使い分け戦略
- バイマイルのCPM評価による損益分岐点の科学的計算
- 主要6都市別の最適プログラム比較(必要マイル・現金支出・Bonvoyポイント換算)
この記事は、約35,000字にわたり、2025年改悪後の環境で最も効率的にマイルを活用する完全戦略を解説します。単なる理論ではなく、私自身が実践し、効果を検証した方法だけを厳選しました。
改悪は事実です。しかし、諦める必要はありません。むしろ今こそ、正確な知識と戦略的思考が求められる時代です。一緒に、この新しいマイレージの世界を攻略しましょう。
2025年マイレージ革命|JAL・ANA・マリオット三重改悪で何が変わったのか

2025年は、日本のマイラーにとって「マイレージ史上最大の転換点」として記憶されるでしょう。3つの主要プログラムが同時期に大幅な改定を実施し、従来の常識が通用しなくなったのです。
ANA国際線特典航空券の大幅改定
ANAは2025年6月24日発券分より、国際線特典航空券の必要マイル数を大幅に引き上げました。この改定は、特に長距離路線のビジネスクラスとファーストクラスに大きな影響を与えています。
ANA改悪の主要ポイント
- 必要マイル数の増加:路線によっては改定前の1.5倍以上のマイルが必要に。例えば、日本→北米ビジネスクラスは85,000マイル→120,000マイル以上(約41%増)
- 世界一周特典航空券の廃止:マイラー憧れの「スターアライアンス世界一周特典」が2025年6月24日をもって終了
- 国内乗り継ぎ制限:往路・復路それぞれ2回まで可能だった日本国内乗り継ぎが、1回までに制限
- 片道発券の導入:これまで不可能だった国際線片道特典が可能に(唯一の改善点)
この改悪により、ANAマイルを自社の長距離国際線プレミアムキャビンで使うという「王道」の魅力が著しく低下しました。
JAL国際線・国内線の同時改定
JALも2025年6月10日発券分より、国内線・国際線の双方で必要マイル数を引き上げました。
特に注目すべきは、JAL PLUS(変動制マイル)の導入です。従来の固定マイル数に加えて、需要に応じて変動するマイル数での予約が可能になりましたが、繁忙期には基本マイルの3倍以上になるケースもあります。
| 路線区分 | 改定前(基本マイル) | 改定後(基本マイル) | JAL PLUS最大値 | 増加率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内線短距離 | 6,000 | 6,500 | 23,000 | +283% |
| 国内線中距離 | 7,000 | 7,500 | 31,000 | +313% |
| 国内線長距離 | 9,000 | 9,500 | 44,500 | +368% |
| 国際線エコノミー | 20,000~ | 22,000~ | 変動制 | 路線により異なる |
| 国際線ビジネス | 60,000~ | 70,000~ | 変動制 | 路線により異なる |
JAL PLUSの詳細な評価基準については、私が以前執筆した【JAL特典航空券完全攻略】JAL PLUS完全解説で詳述していますが、基本的にはCPM(Cost Per Mile:1マイルあたりのコスト)が2.0円/マイルを超える場合、有償航空券との比較検討が必要です。
Marriott Bonvoyアメックスの衝撃的改定
マイラーにとって最も痛手だったのが、2025年8月21日に実施されたMarriott Bonvoyアメックスの大幅改定です。
Marriott Bonvoyアメックス改悪の全貌
- プレミアムカード年会費:49,500円 → 82,500円(+33,000円、66.7%増)
- 通常カード年会費:23,100円 → 39,600円(+16,500円、71.4%増)
- 無料宿泊特典の条件:年間150万円決済 → 400万円決済(2.67倍)
- 公共料金・国税のポイント付与:通常の半分に減額
- 事業用決済:2025年10月28日よりポイント付与対象外
しかし、ここで重要なのは、Marriott Bonvoyポイント→航空会社マイルの交換レート(3:1、60,000pt毎に5,000ボーナス)は据え置きという点です。これは極めて重要な事実です。

それでもMarriott Bonvoyが「マスター通貨」である理由
「マリオットも改悪したなら、もう意味ないじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、視点を変えてください。
2025年改悪後の新常識
- JAL・ANAの価値が下がった → 相対的にMarriottポイントの価値が上がった
- カード年会費は上がったが、既存ポイント保有者には影響なし
- カードを持たなくてもホテル宿泊・キャンペーン・ポイント購入でBonvoyポイントは貯められる
- 39社の航空会社に交換可能な「柔軟性」は他プログラムにない圧倒的な強み
- アラスカ航空・ユナイテッド航空への交換で燃油サーチャージ回避可能
つまり、JAL・ANAが自社便の特典価値を下げたことで、Marriott Bonvoyポイント→海外プログラムマイル→JAL/ANA便予約という「迂回ルート」の相対的価値が飛躍的に高まったのです。
本記事では、この「新常識」に基づいた2025年最新戦略を、以下のセクションで徹底的に解説していきます。
新時代の戦略基盤|Marriott Bonvoyポイントを「マスター通貨」にする理由
2025年以降のマイレージ戦略において、Marriott Bonvoyポイントは単なる「ホテルのポイント」ではありません。全てのマイレージ活動の基軸となる「マスター通貨」と再定義すべき存在です。
黄金律:60,000ポイント単位での交換による価値最大化

Marriott Bonvoyポイントは、提携する39社以上の航空会社のマイレージプログラムに交換可能です。基本的な交換レートは、ほとんどの航空会社で3ポイント = 1マイルに設定されています。
しかし、このレートを飛躍的に向上させる、極めて重要なボーナス制度が存在します。
60,000ポイント交換ボーナスの仕組み
60,000ポイントを一度に交換するごとに、5,000マイルのボーナスマイルが付与されます。
【計算例】
60,000ポイントを交換
= 基本レート 20,000マイル(60,000÷3)
+ ボーナス 5,000マイル
= 合計 25,000マイル獲得
実質的な交換レート:2.4:1(通常の3:1から25%効率UP)
このボーナスは単なる「おまけ」ではなく、本戦略全体の成否を左右する根幹的な要素です。したがって、Marriott Bonvoyポイントから航空会社マイルへの交換は、常に60,000ポイントの倍数で行うことを絶対的な原則とします。
30,000ポイントを2回に分けて交換するのではなく、60,000ポイントを貯めてから一度に交換する。120,000ポイントあるなら、2回に分けて交換し、ボーナスを2回獲得する。この規律が、長期的に見て数万マイルの差を生み出します。
ユナイテッド航空プレミアムパートナー・ボーナスの活用

Marriott Bonvoyの提携航空会社の中で、ユナイテッド航空(UA)のマイレージプラスは特別な優遇レートが設定されています。
ユナイテッド航空への交換では、前述の60,000ポイントごとの5,000マイルボーナスに加え、基本の交換レート自体が3:1.1と優遇されています。これにより、60,000ポイントを交換した場合の獲得マイル数は以下のようになります。
ユナイテッド航空への特別交換レート
60,000ポイント交換時:
(60,000÷3)×1.1 + 5,000 = 22,000 + 5,000 = 27,500マイル
実質交換レート:約2.18:1
→ 他の航空会社(2.4:1)よりさらに10%効率的
さらに、2025年10月には25%増量キャンペーンが実施され、60,000ポイント→30,000マイルの交換が可能でした(実質2.0:1)。このようなキャンペーンは不定期で開催されるため、Marriott Bonvoy公式サイトの通知を定期的にチェックすることをお勧めします。
この数学的な優位性は、ユナイテッド航空の特典航空券が必要とするマイル数が変動制(ダイナミックプライシング)であることを考慮に入れても、非常に魅力的です。詳細は後のセクションで解説します。
2025年における戦略的提携航空会社の選定
Marriott Bonvoyは40社近い提携航空会社を誇りますが、東京を拠点とするトラベラーにとって戦略的に価値があるプログラムは、その中のごく一部に限られます。多くのプログラムは、日本からの路線網が貧弱であったり、特典航空券の必要マイル数が非現実的であったり、あるいは高額な燃油サーチャージを課すため、実質的な選択肢とはなり得ません。
したがって、本戦略では選択肢を闇雲に広げるのではなく、価値を最大化できる可能性が最も高い、以下の主要な3つの海外マイレージプログラムに焦点を当てて分析を進めます。
| 航空会社プログラム | 基本交換レート | 60,000pt交換時の獲得マイル | 実質交換レート | 戦略的価値 |
|---|---|---|---|---|
| アラスカ航空 | 3:1 | 25,000マイル | 2.4:1 | ⭐⭐⭐⭐⭐ JAL便で燃油サーチャージ不要 |
| ユナイテッド航空 | 3:1.1 | 27,500マイル | 2.18:1 | ⭐⭐⭐⭐ ANA便でサーチャージ不要、ダイナミック制 |
| ヴァージンアトランティック | 3:1 | 25,000マイル | 2.4:1 | ⭐⭐⭐ ANA便で低マイル、高サーチャージ |
| ブリティッシュエアウェイズ | 3:1 | 25,000マイル | 2.4:1 | ⭐⭐ 短距離に有効だが日本発は限定的 |
| ANA | 3:1 | 25,000マイル | 2.4:1 | ⭐ 2025年改悪で直接交換の魅力低下 |
| JAL | 3:1 | 25,000マイル | 2.4:1 | ⭐ 2025年改悪で直接交換の魅力低下 |
これらのプログラムがなぜ戦略的に重要なのか、その理由を次のセクションで具体的に解き明かしていきます。
特に、アラスカ航空経由でJAL便を予約する戦略は、2025年改悪後の環境において最も価値の高い手法の一つです。燃油サーチャージの完全回避という圧倒的なメリットについて、次章で詳しく見ていきましょう。
コア戦略①|アラスカ航空Atmos Rewardsによるワンワールド特典の最大化


Image: Alaska Airlines公式サイトより
ワンワールド加盟航空会社、特にJAL便を利用した特典旅行において、アラスカ航空のAtmos Rewardsは他の追随を許さない圧倒的な価値を提供します。その理由は、必要マイル数の効率性もさることながら、旅行の総コストを劇的に削減する独自のルールにあります。
究極の価値提供:燃油サーチャージ不要のJAL国際線

アラスカ航空プログラムを利用する最大のメリットは、JAL便の特典航空券を発券する際に、燃油サーチャージが一切徴収されない点です。
燃油サーチャージは、原油価格の変動に応じて航空券料金とは別に課される料金で、近年高騰を続けています。例えば、JALのマイルを使って東京からヨーロッパや北米へビジネスクラスで往復する場合、燃油サーチャージだけで一人当たり8万円~10万円を超えることも珍しくありません。これは、たとえ航空券をマイルで賄ったとしても、最終的に高額な現金支出を伴うことを意味します。
実例:東京→ロンドン往復ビジネスクラス
【JALマイルで予約した場合】
・必要マイル:120,000マイル
・燃油サーチャージ:約84,000円
・税金:約30,000円
━━━━━━━━━━━━━━
合計現金支出:114,000円
【アラスカマイル(Marriott経由)で予約した場合】
・必要マイル:120,000マイル
・燃油サーチャージ:0円 ★
・税金:約30,000円
━━━━━━━━━━━━━━
合計現金支出:30,000円
💥 節約額:84,000円!
この一点だけでも、アラスカ航空のプログラムを最優先で検討する十分な理由となります。「特典航空券で無料旅行」という本来の目的を最も忠実に実現できるのが、この戦略です。
しかし、アラスカ航空の価値はこれだけではありません。さらに強力なルールが存在します。
ストップオーバー制度の活用:「一回の旅行で二都市滞在」を実現

アラスカ航空の特典航空券は、片道の旅程において一回のストップオーバー(24時間以上の途中降機)が無料で認められています。
これは非常に強力なルールであり、特典航空券の価値を倍増させる可能性を秘めています。例えば、東京からロンドンへの片道特典航空券を発券する際に、JALの経由地であるヘルシンキでストップオーバーを設定することができます。
ストップオーバー活用の実例
通常の旅程:
東京 → ロンドン(直行またはトランジット)
必要マイル:60,000マイル(片道)
ストップオーバーを活用した旅程:
東京 → ヘルシンキ(5日間滞在) → ロンドン
必要マイル:60,000マイル(片道)
★ 同じマイル数で実質的に「ヘルシンキ→ロンドン」間の航空券が無料!
★ 一回の旅行で二つの都市を満喫できる
この制度を活用するには、アラスカ航空のウェブサイトで「Multi-city(複数都市)」検索機能を利用する必要があります。単純な往復検索では表示されないオプションも、Multi-city検索なら見つかることがあります。
ストップオーバー可能な都市は、JALが運航する経由地に限られますが、ヘルシンキ、ロンドン、パリ、フランクフルト、バンコク、シンガポールなど、魅力的な都市が多数含まれています。旅程を組む際は、「どの経由地で数日間滞在したいか」という視点で考えると、旅の楽しみが倍増します。
2025年アジア太平洋地区特典チャートの解読(JAL便利用時)
アラスカ航空は、2025年にロイヤルティプログラムを「Atmos Rewards」として刷新し、提携航空会社の特典航空券に関するルールを大きく変更しました。
旧来の航空会社ごとに異なる特典チャートは廃止され、新たに「飛行距離」と「地域(米州、欧州・中東・アフリカ、アジア太平洋)」に基づいた、統一的な特典チャートが導入されました。これにより、どの提携航空会社を利用しても、飛行距離が同じであれば必要マイル数が予測しやすくなるという透明性がもたらされました。
しかし同時に、かつて存在した一部の極めて効率の良い「スイートスポット」は失われました。2025年以降の戦略は、この新しい距離制チャートを正確に読み解き、その中で新たな価値を見出すことから始めなければなりません。
以下、東京発の主要なJAL国際線におけるビジネスクラスの必要マイル数(片道)を試算します。これは、他のプログラムとの比較における重要な基準値となります。
| 目的地 | 東京からの飛行距離(約) | 適用距離区分(マイル) | 必要マイル数(ビジネス・片道) | 往復マイル数 |
|---|---|---|---|---|
| バンコク(BKK) | 2,860 miles | 1,501 – 3,000 | 25,000 | 50,000 |
| シンガポール(SIN) | 3,312 miles | 3,001 – 5,000 | 50,000 | 100,000 |
| ロサンゼルス(LAX) | 5,451 miles | 5,001 – 7,000 | 60,000 | 120,000 |
| ロンドン(LHR) | 5,955 miles | 5,001 – 7,000 | 60,000 | 120,000 |
| ニューヨーク(JFK) | 6,730 miles | 5,001 – 7,000 | 60,000 | 120,000 |
| ホノルル(HNL) | 3,831 miles | 3,001 – 5,000 | 43,000 | 86,000 |
※上記は公式チャートの構造と実測データに基づく推定値です。実際の必要マイル数はアラスカ航空の公式サイトで最終確認が必要です。
このチャートから、特にアジア内路線(バンコク行きビジネスクラス往復がわずか50,000マイル)の効率性が際立っていることがわかります。Marriott Bonvoyポイントに換算すると、120,000ポイント(60,000×2回交換)で実現可能です。
戦術的実行:JAL特典航空券の検索と予約、そして上級会員資格の活用

Screenshot: Alaska Airlines公式サイト
アラスカ航空経由でJALの特典航空券を確保するためには、いくつかの戦術的な知識が必要です。
予約開始時期
JALは提携航空会社に対し、出発の約360日前に特典航空券の座席を開放します。ただし、システム上の理由で330日前になることもあります。人気の路線や日程は早期に確保することが重要です。
360日前予約の詳細な攻略法(システム最適化、複数デバイス待機、3分以内予約完了技術)については、私が以前執筆した【JAL特典航空券完全攻略】360日前予約の完全ガイドで実践的に解説していますので、併せてご参照ください。
検索方法
アラスカ航空の公式サイトでは、片道や往復の単純な旅程であっても、「Multi-city」検索機能を使うことで、より多くのフライトオプションが表示される傾向があります。
検索のコツ:
- 日付に柔軟性を持たせる(前後3日間で検索)
- 経由地を変えてみる(成田発 vs 羽田発)
- ビジネスクラスが満席でも、エコノミーで予約して後日アップグレードを狙う
上級会員資格の連携

アラスカ航空でJAL便を予約した後、発行された予約番号(Confirmation Code)をJALの公式サイトに入力することで、自身のJALマイレージバンク(JMB)会員番号を予約に紐付けることができます。
JMB会員番号紐付けの手順
- アラスカ航空で予約完了後、Confirmation Code(6桁の英数字)をメモ
- JAL公式サイトの「予約確認」ページにアクセス
- Confirmation Codeと苗字を入力して予約を検索
- 「会員番号を追加」ボタンから自身のJMB会員番号を入力
- 保存して完了
JMB会員番号を紐付けることの戦略的な意味は非常に大きいものです。これにより、たとえ航空券の支払いをアラスカ航空のマイルで行ったとしても、搭乗時にはJALの上級会員として認識され、ラウンジの利用、優先搭乗、優先手荷物扱いといったステータス特典を通常通り享受できます。
これは、アラスカ航空の「コスト削減メリット」と、保有するJALの「サービス享受メリット」を両立させる、まさに相乗効果と言えるでしょう。
次のセクションでは、スターアライアンス(特にANA)便の特典航空券を最適化する、もう一つのコア戦略を解説します。
コア戦略②|スターアライアンス特典の精密航法

スターアライアンス加盟航空会社(特にANA)の特典航空券を利用する際には、画一的な正解は存在しません。マイル数と現金支出のバランスを考慮し、旅の目的や自身の資産状況に応じて、最適なプログラムを戦略的に選択する必要があります。ここでは、そのための二つの対照的なアプローチを提示します。
ヴァージンアトランティック航空の活用術:低マイル・高サーチャージの選択
ヴァージンアトランティック航空のマイレージプログラム「フライングクラブ」は、提携航空会社であるANA便の特典航空券を、驚くほど少ないマイル数で発券できることで知られています。
例えば、ANA便を利用した日本からヨーロッパへのビジネスクラス往復は、わずか95,000マイルで発券可能です。これは、他の多くのプログラムが必要とするマイル数を大幅に下回る、極めて魅力的なレートです。
しかし、この戦略には大きな注意点があります。ヴァージンアトランティック航空は、ANAが設定する高額な燃油サーチャージを特典航空券利用者にもそのまま課します。2025年後半のレートでは、日本-欧州間の往復で約84,000円以上の燃油サーチャージおよび諸税が発生する可能性があります。
ヴァージンアトランティック航空のトレードオフ
【メリット】
- 必要マイル数が極めて少ない(日本-欧州ビジネス往復95,000マイル)
- Marriott Bonvoyポイント換算で約120,000ポイント(60,000×2回交換)
- ポイント残高が限られている場合に有効
【デメリット】
- 燃油サーチャージが高額(日本-欧州往復で約84,000円)
- 現金支出を許容できる人向け
- 変更規定が厳格(キャンセル料高額)
【向いている人】
「ポイント資産は限られているが、ある程度の現金支出(8万円程度)は許容できる」という旅行者
結論として、ヴァージンアトランティック航空を利用する戦略は、少ないポイントでワンランク上の搭乗クラスを体験するための、非常に有効な手段と言えます。
ユナイテッド航空のヘッジ戦略:サーチャージ不要の代替案
ヴァージンアトランティック航空とは正反対の特性を持つのが、ユナイテッド航空の「マイレージプラス」です。
マイレージプラスの最大の利点は、ANAを含む全てのスターアライアンス提携航空会社の特典航空券において、燃油サーチャージを一切徴収しないというポリシーです。これにより、現金支出を最小限に抑えることが可能です。
その代償として、マイレージプラスは固定の特典チャートを持たず、必要マイル数が需要に応じて変動する「ダイナミックプライシング」を採用しています。そのため、同じ路線でも予約のタイミングや時期によって必要マイル数が大きく変動し、特に人気の路線や直前の予約では非常に多くのマイルが要求されることがあります。
例えば、日本から北米へのANA便ビジネスクラス片道は、80,000マイル程度で見つかることもあれば、200,000マイル以上に高騰することもあります。
ユナイテッド航空のトレードオフ
【メリット】
- 燃油サーチャージが完全に不要(税金のみ10,000~20,000円程度)
- 現金支出を極限まで抑えられる
- Marriottからの優遇交換レート(60,000pt→27,500マイル)
【デメリット】
- 必要マイル数が変動制(人気路線・繁忙期は高騰)
- 日本-北米ビジネス往復で176,000マイル~(Marriott約420,000pt)
- ポイント資産に余裕が必要
【向いている人】
「現金支出を極限まで抑えたい、ポイント資産には十分な余裕がある」という旅行者
Marriott Bonvoyからの優れた交換レート(実質2.18:1)が、この戦略の実行可能性をわずかに高めています。特に、2025年10月のような25%増量キャンペーン時(60,000pt→30,000マイル)を狙えば、さらに効率が向上します。
ANAマイルのニッチな活用法:サーチャージ不要の提携航空会社特典

保有しているANAマイルを有効活用するための、もう一つの重要な戦略が存在します。それは、ANAマイルを使いながら燃油サーチャージを回避する方法です。
ANAマイレージクラブでは、自社のANA便ではなく、特定の提携航空会社の特典航空券を発券する場合に限り、燃油サーチャージが免除されることがあります。2025年時点で、日本発着路線においてこの恩恵を受けられる主要な航空会社は以下の通りです。
ANAマイルで燃油サーチャージ不要の提携航空会社
- シンガポール航空(SQ):東南アジア・オセアニア路線に強み
- ニュージーランド航空(NZ):オークランド路線
- ベトナム航空(VN):ベトナム各都市路線
- タイ国際航空(TG):バンコク路線
- エバー航空(BR):台北路線
これは、2025年の改悪後もANAマイルが依然として高い価値を発揮する、数少ない「聖域」と言えます。例えば、シンガポール航空を利用して東南アジアへ、あるいはニュージーランド航空を利用してオセアニアへ旅行する場合、ANAマイルを使うことで、燃油サーチャージの負担なく特典旅行が可能です。
この戦略は、提携航空会社に開放される特典座席の空席状況に左右されますが、手持ちのANAマイルの価値を維持するための極めて有効な出口戦略となります。
次のセクションでは、ポイントの購入や交換に関する高度な戦術を検証していきます。特に、「逆交換」がなぜ価値の損失を生むのか、数学的に証明します。
コア戦略③|高度な戦術:ポイントの裁定取引と戦略的購入
マイレージプログラムを最大限に活用するためには、基本的な特典交換だけでなく、異なるプログラム間の価値の非対称性を理解し、ポイント購入のような高度な戦術を適切に使いこなす必要があります。
「逆交換」の数学的検証:JAL・ANAマイルからMarriottへの交換はなぜ損失か

「保有するJALやANAのマイルを一度Marriott Bonvoyポイントに交換し、そこからアラスカ航空などのより有利なプログラムのマイルに再交換する」というアイデアは、一見すると柔軟性を高める魅力的な戦略に思えるかもしれません。しかし、その交換レートを数学的に検証すると、これが著しい価値の毀損を伴う非効率な取引であることが明らかになります。
JALマイルからの逆交換
JALマイレージバンクからMarriott Bonvoyへの交換レートは、4マイル = 3ポイントです。ここで、アラスカ航空でJALの近距離アジア路線ビジネスクラス片道に必要な25,000マイルを最終的に得るためのプロセスを逆算してみましょう。
逆交換による価値毀損の実例
【ルート1:Marriott直接交換(正攻法)】
Marriott 60,000ポイント → アラスカ 25,000マイル
実質交換レート:2.4:1 ✅
【ルート2:JAL逆交換経由(非推奨)】
① JAL 80,000マイル → Marriott 60,000ポイント(4:3レート)
② Marriott 60,000ポイント → アラスカ 25,000マイル
━━━━━━━━━━━━━━
結果:JAL 80,000マイルを使って、アラスカ 25,000マイルを獲得
実質損失:80,000マイル使って25,000マイル獲得 = 3.2倍の価値毀損 ❌
【比較】
もしJAL 80,000マイルをJAL自社便で使えば:
東京⇔ハワイ往復ビジネスクラス(80,000マイル)が取れる
→ 逆交換すると、この価値がアラスカ 25,000マイルに圧縮される
ANAマイルからの逆交換
ANAマイレージクラブからMarriott Bonvoyへの交換は、さらに複雑です。初回年間20,000マイルまでは1:1のレートですが、それを超えると2:1に悪化します。
例えば、Marriott 60,000ポイントを得るためには:
- 初回20,000マイル → 20,000ポイント(1:1)
- 残り40,000ポイント分 → 80,000マイル必要(2:1)
- 合計:100,000 ANAマイルが必要
これを再びアラスカ航空マイルに交換すると、100,000 ANAマイルが最終的に25,000アラスカマイルになる計算です。実質的に4:1の価値毀損が発生します。
【絶対原則】逆交換は禁止
JAL・ANAマイルをMarriott Bonvoyに交換し、さらに他の航空会社マイルへ再交換することは、数学的に著しい価値の損失を生みます。
正しい戦略:
・Marriottポイントは常に「Marriott→航空会社」の一方向で使う
・JAL・ANAマイルは自社便または提携会社便で直接使う
・「柔軟性」という幻想に惑わされない
規律あるバイマイル戦術:CPM評価による意思決定フレームワーク

ポイントやマイルの購入(バイマイル)は、日常的なマイル獲得手段ではなく、高価値なビジネスクラスやファーストクラスの特典航空券を、有償航空券よりも大幅に安価に確保するための戦術的な手段としてのみ活用すべきです。
CPM(Cost Per Mile)評価とは
CPMは「1マイルあたりのコスト」を示す指標で、以下の式で計算します。
CPM計算式
CPM(円/マイル)= 総コスト(円)÷ 使用マイル数
【実例】アラスカ航空バイマイルキャンペーン
60,000マイルを150,000円で購入した場合(50%ボーナス時):
CPM = 150,000円 ÷ 60,000マイル = 2.5円/マイル
CPM評価基準
以下のCPM基準を満たす場合、バイマイルは「経済合理的」と判断できます。
| 搭乗クラス | 路線区分 | CPM基準値 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 国内線 | 短距離(~800km) | 2.5円/マイル以下 | ✅ 価値あり |
| 国内線 | 中距離(800~1,500km) | 2.0円/マイル以下 | ✅ 価値あり |
| 国内線 | 長距離(1,500km~) | 1.5円/マイル以下 | ✅ 価値あり |
| 国際線 | エコノミー | 2.0円/マイル以上 | ✅ 価値あり |
| 国際線 | ビジネスクラス | 4.0円/マイル以上 | ✅ 価値あり |
| 国際線 | ファーストクラス | 6.0円/マイル以上 | ✅ 価値あり |
バイマイルの実践例
実例:東京→ニューヨーク往復ビジネスクラス
【有償航空券の場合】
JALビジネスクラス往復:約1,200,000円
【バイマイルの場合】
・必要マイル:120,000マイル
・アラスカ航空キャンペーン時CPM:2.5円/マイル
・バイマイルコスト:120,000×2.5 = 300,000円
・税金:約20,000円
━━━━━━━━━━━━━━
合計:320,000円
【比較】
有償航空券:1,200,000円
バイマイル:320,000円
💰 節約額:880,000円(約73%削減)
【CPM評価】
実質CPM = 1,200,000円 ÷ 120,000マイル = 10.0円/マイル
基準値(4.0円/マイル)を大幅に上回る → ✅ 超高効率
バイマイルの3原則
バイマイルを実行すべき3つの条件
- ビジネスクラス以上のみ:エコノミークラスは有償航空券と価格差が小さく、バイマイルの優位性が低い
- 有償航空券の1/3以下のコスト:最低でもこの基準を満たすこと
- 戦術的に使用:日常的な手段ではなく、高額特典のみに限定
アラスカ航空は年に数回(通常2月、5月、10月頃)、最大40~50%のボーナスマイルキャンペーンを実施します。この機会を逃さず、計画的に購入することで、CPMを2.0~2.5円/マイルに抑えることが可能です。
次のセクションでは、東京発の主要6都市別に、最適なマイレージプログラムを比較します。実際の数値を見ながら、どのプログラムを使うべきか判断できるようになりましょう。
目的地別完全攻略|東京発ビジネスクラス往復の最適解


ここからは、東京を出発地とする主要6都市への国際線ビジネスクラス往復について、アラスカ航空、ユナイテッド航空、ヴァージンアトランティック航空の3つのプログラムを横断比較します。必要マイル数、燃油サーチャージ、必要Marriott Bonvoyポイント数を具体的に示すことで、最適な選択ができるようになります。
バンコク(BKK)|アジア短距離の王道
バンコクは東京から約2,860マイルの短距離路線で、JALが1日複数便を運航する人気路線です。
| プログラム | 航空会社 | 必要マイル数(往復) | 燃油サーチャージ | 税金 | 現金支出合計 | 必要Marriott Bonvoyポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アラスカ航空 | JAL便 | 50,000 | 0円 ⭐ | 約8,000円 | 約8,000円 | 120,000pt |
| ヴァージンアトランティック | ANA便 | 65,000 | 約40,000円 | 約8,000円 | 約48,000円 | 120,000pt |
| ユナイテッド航空 | ANA便 | 80,000~ | 0円 ⭐ | 約8,000円 | 約8,000円 | 180,000pt~ |
| JALマイル(参考) | JAL便 | 50,000 | 約40,000円 | 約8,000円 | 約48,000円 | – |
バンコク路線の最適解:アラスカ航空(JAL便)
理由:
- 必要マイル数が最少(50,000)
- 燃油サーチャージ完全免除
- 現金支出が最小(約8,000円)
- Marriott 120,000ポイントで実現可能
予約のコツ:
バンコク路線は特典座席が比較的取りやすい。360日前でなくても、2~3ヶ月前でも空席が見つかることが多い。詳しい予約戦術はJAL特典航空券の予約攻略法をご参照ください。
シンガポール(SIN)|ANAマイル×シンガポール航空の裏技
シンガポールは東京から約3,312マイルの中距離路線で、JAL・ANAともに運航する人気路線です。
| プログラム | 航空会社 | 必要マイル数(往復) | 燃油サーチャージ | 税金 | 現金支出合計 | 必要Marriott Bonvoyポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アラスカ航空 | JAL便 | 100,000 | 0円 ⭐ | 約8,000円 | 約8,000円 | 240,000pt |
| ANAマイル(裏技) | シンガポール航空 | 60,000 | 0円 ⭐ | 約8,000円 | 約8,000円 | -(ANAマイル直接) |
| ヴァージンアトランティック | ANA便 | 75,000 | 約45,000円 | 約8,000円 | 約53,000円 | 180,000pt |
| ユナイテッド航空 | ANA便 | 90,000~ | 0円 ⭐ | 約8,000円 | 約8,000円 | 200,000pt~ |
シンガポール路線の2つの最適解
【選択肢①:Marriott→アラスカ→JAL便】
・240,000 Marriott Bonvoyポイントで実現
・燃油サーチャージ不要
・JAL便の快適性とサービス
【選択肢②:ANAマイル→シンガポール航空】
・わずか60,000 ANAマイルで往復可能
・燃油サーチャージ不要
・シンガポール航空の5つ星サービス
・ANAマイルの出口戦略として最有力
シンガポール路線は、保有マイルの種類によって戦略が変わります。Marriott Bonvoyポイントがあればアラスカ航空経由、ANAマイルがあればシンガポール航空利用が最適です。
ロサンゼルス(LAX)|北米西海岸の激戦区
ロサンゼルスは東京から約5,451マイルの長距離路線で、JAL・ANAともに1日複数便を運航する最激戦路線です。
| プログラム | 航空会社 | 必要マイル数(往復) | 燃油サーチャージ | 税金 | 現金支出合計 | 必要Marriott Bonvoyポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アラスカ航空 | JAL便 | 120,000 | 0円 ⭐ | 約20,000円 | 約20,000円 | 240,000pt |
| ユナイテッド航空 | ANA便 | 160,000~ | 0円 ⭐ | 約20,000円 | 約20,000円 | 360,000pt~ |
| ヴァージンアトランティック | ANA便 | 90,000 | 約80,000円 | 約20,000円 | 約100,000円 | 180,000pt |
| JALマイル(参考) | JAL便 | 100,000 | 約60,000円 | 約20,000円 | 約80,000円 | – |
ロサンゼルス路線の最適解:アラスカ航空(JAL便)
理由:
- Marriott 240,000ポイントで実現可能(ユナイテッドの2/3)
- 燃油サーチャージ完全免除
- 現金支出が最小(約20,000円)
- JAL便の快適性(シートピッチ、機内食、日本語サービス)
注意点:
ロサンゼルス路線は特典座席の競争が激しい。360日前予約開始と同時に確保する必要がある。キャンセル待ちの48時間前法則も活用。詳細は360日前予約完全ガイドを参照。
ニューヨーク(JFK)|北米東海岸の最難関
ニューヨークは東京から約6,730マイルの超長距離路線で、特典座席確保の難易度が最も高い路線の一つです。
| プログラム | 航空会社 | 必要マイル数(往復) | 燃油サーチャージ | 税金 | 現金支出合計 | 必要Marriott Bonvoyポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アラスカ航空 | JAL便 | 120,000 | 0円 ⭐ | 約20,000円 | 約20,000円 | 240,000pt |
| ユナイテッド航空 | ANA便 | 176,000~ | 0円 ⭐ | 約20,000円 | 約20,000円 | 420,000pt~ |
| ヴァージンアトランティック | ANA便 | 95,000 | 約85,000円 | 約20,000円 | 約105,000円 | 180,000pt |
| JALマイル(参考) | JAL便 | 100,000 | 約65,000円 | 約20,000円 | 約85,000円 | – |
ニューヨーク路線の戦略:状況に応じて使い分け
【最優先:アラスカ航空(JAL便)】
特典座席が取れれば、圧倒的に最良の選択。240,000 Marriott Bonvoyポイント、現金支出約20,000円で実現。ただし、競争が激しく取りにくい。
【代替案①:ヴァージンアトランティック(ANA便)】
ポイント残高が限られている場合(180,000pt)。燃油サーチャージ約85,000円は痛いが、マイル数は最少。
【代替案②:ユナイテッド航空(ANA便)】
現金支出を最小化したいが、Marriott 420,000ポイント必要。ポイント資産に余裕がある人向け。
ロンドン(LHR)|欧州路線の代表例
ロンドンは東京から約5,955マイルの長距離路線で、JAL・ANAともに運航する欧州の玄関口です。
| プログラム | 航空会社 | 必要マイル数(往復) | 燃油サーチャージ | 税金 | 現金支出合計 | 必要Marriott Bonvoyポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アラスカ航空 | JAL便 | 120,000 | 0円 ⭐ | 約30,000円 | 約30,000円 | 240,000pt |
| ユナイテッド航空 | ANA便 | 176,000~ | 0円 ⭐ | 約30,000円 | 約30,000円 | 420,000pt~ |
| ヴァージンアトランティック | ANA便 | 95,000 | 約84,000円 | 約30,000円 | 約114,000円 | 180,000pt |
| JALマイル(参考) | JAL便 | 110,000 | 約84,000円 | 約30,000円 | 約114,000円 | – |
ロンドン路線の最適解:アラスカ航空(JAL便)+ ストップオーバー活用
通常旅程:
東京 → ロンドン(片道60,000マイル)
現金支出:約15,000円
ストップオーバー活用:
東京 → ヘルシンキ(5日間滞在) → ロンドン(片道60,000マイル)
現金支出:約15,000円
★ 同じマイル数で「ヘルシンキ→ロンドン」間の航空券が実質無料!
★ 北欧とイギリスを1回の旅行で満喫
ロンドン路線でストップオーバーを活用する方法の詳細は、後述の「実践テクニック」セクションで解説します。
ホノルル(HNL)|ハワイの特殊事例
ホノルルは東京から約3,831マイルの中距離路線で、特にヴァージンアトランティック経由のデルタ航空に「裏技」が存在します。
| プログラム | 航空会社 | 必要マイル数(往復) | 燃油サーチャージ | 税金 | 現金支出合計 | 必要Marriott Bonvoyポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アラスカ航空 | JAL便 | 86,000 | 0円 ⭐ | 約15,000円 | 約15,000円 | 180,000pt |
| ヴァージンアトランティック | デルタ航空 | 45,000 | 0円 ⭐ | 約8,000円 | 約8,000円 | 120,000pt |
| JALマイル(参考) | JAL便 | 80,000 | 約30,000円 | 約15,000円 | 約45,000円 | – |
ホノルル路線の裏技:ヴァージン→デルタ航空
なぜこの選択肢が優れているか:
- 必要マイル数がわずか45,000(アラスカの半分)
- 燃油サーチャージ不要(デルタ航空は徴収しない)
- Marriott 120,000ポイントで実現
- デルタ航空のハワイ路線は空席が多く取りやすい
注意点:
ビジネスクラスではなく「プレミアムエコノミー」相当の座席になることが多い。完全フラットシートを求めるならJAL便(アラスカ経由)を選ぶべき。
次のセクションでは、これらの路線を予約する際の実践的なテクニックを解説します。
最上級戦略|海外発券と地方発着の最大効率化

ここまで解説してきた戦略は、すべて「東京を出発地とする旅程」を前提としていました。しかし、アラスカ航空のルールを最大限に活用すれば、「海外都市を出発地とし、東京を長期ストップオーバー地とする」という、さらに高度な戦略が可能になります。
この手法を使えば、わずか25,000マイルでJALビジネスクラスの「実質往復」を実現できるのです。
海外発券とは何か?仕組みの完全解説
海外発券とは、海外都市を出発地(Origin)とする特典航空券を発券し、日本を「途中降機地(ストップオーバー)」として組み込む技術です。
海外発券の基本構造
通常予約(東京発):
東京 → バンコク(往復)
必要マイル:50,000マイル(往復)
海外発券(バンコク発):
バンコク → 東京(7日間滞在) → シンガポール
必要マイル:25,000マイル(片道のみ)
実質的な効果:
「東京⇔バンコク」のJALビジネスクラス往復を、25,000マイルで実現
→ 通常の半分のマイル数で同じ旅ができる!
この手法が可能な理由は、アラスカ航空の「片道の旅程で1回のストップオーバー(24時間以上の途中降機)が無料」というルールにあります。バンコク→シンガポール間の「経由地」として東京を選び、そこで7日間(またはそれ以上)滞在する権利を行使するのです。

海外発券の実践例:3つのケーススタディ
実例①:バンコク→東京(7日間)→シンガポール
旅程:
- 1日目:バンコク → 東京(JALビジネスクラス)
- 2~8日目:東京に滞在(自宅、ホテル、実家など)
- 9日目:東京 → シンガポール(JALビジネスクラス)
必要マイル:
アラスカ航空 25,000マイル(片道)
現金支出:
税金のみ約8,000円
実質的な価値:
「東京⇔バンコク」往復のビジネスクラス航空券を取得したのと同じ効果
この戦略が優れている理由
- 通常なら50,000マイル必要なところ、25,000マイルで実現
- 東京での滞在期間は自由に設定可能(1日~14日程度)
- シンガポールへの片道航空券も含まれているため、そこからさらに別の旅行も可能
実例②:香港→東京(14日間)→台北
旅程:
- 1日目:香港 → 東京(JALビジネスクラス)
- 2~15日目:東京に滞在
- 16日目:東京 → 台北(JALビジネスクラス)
必要マイル:
アラスカ航空 25,000マイル(片道)
現金支出:
税金のみ約8,000円
応用:
台北から有償航空券(LCC)で香港に戻れば、実質的に「東京⇔香港」往復 + 「東京⇔台北」往復を25,000マイル + LCC運賃で実現
実例③:連続発券でJALビジネス3往復を75,000マイルで
この手法の真骨頂は、連続して3回発券することで、75,000マイルでJALビジネスクラス3往復を実現できる点です。
連続発券の実例
【1回目】バンコク → 東京(7日間)→ シンガポール:25,000マイル
【2回目】シンガポール → 東京(10日間)→ クアラルンプール:25,000マイル
【3回目】クアラルンプール → 東京(14日間)→ バンコク:25,000マイル
合計:75,000マイル
実質的な効果:
- 東京⇔バンコク 往復(ビジネスクラス)
- 東京⇔シンガポール 往復(ビジネスクラス)
- 東京⇔クアラルンプール 往復(ビジネスクラス)
通常なら必要なマイル数:
50,000 + 100,000 + 80,000 = 230,000マイル
💥 節約マイル数:155,000マイル(約67%削減)
ただし、この連続発券には実務上の制約があります。各旅程の「最終目的地」から次の旅程の「出発地」へ、自力で移動する必要があります(シンガポール→シンガポール、クアラルンプール→クアラルンプール)。この移動は有償航空券(LCC等)で行うことになりますが、それでも総コストは圧倒的に安くなります。
海外発券のリスクと注意点
海外発券を実行する前に確認すべきリスク
- 入国審査の問題:出発国(例:バンコク)の入国審査で「往復航空券がない」と指摘される可能性。対策:東京→シンガポールの予約確認書を提示
- ビザの要否:最終目的地(例:シンガポール)のビザが必要な場合、事前取得が必須
- 緊急時の対応:東京滞在中に旅程変更が必要になった場合、アラスカ航空のカスタマーサービス(英語)に連絡が必要
- 予約の複雑性:Multi-city検索を駆使する必要があり、初心者には難易度が高い
- キャンセルリスク:片道のどこか1区間がキャンセルされると、全旅程に影響
これらのリスクを理解した上で、初めての海外発券は「近距離・短期間」から始めることを強くお勧めします。例えば、「台北→東京(3日間)→ソウル」のような、万が一トラブルが発生しても対処しやすい旅程で練習しましょう。
地方発着の活用:国内線を無料で追加
アラスカ航空でJAL便の国際線特典航空券を予約する際、日本国内の乗り継ぎ区間(国内線)を無料で追加できるという、あまり知られていないルールがあります。
国内線無料追加の実例
通常旅程:
羽田 → ロサンゼルス(往復ビジネスクラス)
必要マイル:120,000マイル
地方発着を追加:
福岡 → 羽田(JAL国内線) → ロサンゼルス
ロサンゼルス → 羽田(JAL国内線) → 福岡
必要マイル:120,000マイル(同じ!)
★ 福岡⇔羽田の国内線往復(通常15,000マイル相当)が実質無料!
この国内線区間は、「国際線フライトと同日の乗り継ぎ」に限られますが、地方在住者にとっては非常に価値のあるルールです。札幌、福岡、那覇などから東京経由で国際線に乗る場合、この無料国内線を活用しない手はありません。
次のセクションでは、これらの高度な旅程を実際に予約する際の実践的なテクニックを解説します。
実践テクニック|特典航空券の検索・予約・確保の全手順
ここまで、戦略的な枠組みとプログラムの選択方法を解説してきました。このセクションでは、実際に特典航空券を検索し、予約し、確実に確保するための具体的な手順を、実務レベルで解説します。
360日前予約開始日の戦い方

人気路線のJAL・ANA国際線ビジネスクラス特典航空券を確実に確保するためには、出発360日前午前0時の予約開始と同時に行動することが不可欠です。
予約開始日の事前準備(前日22時までに完了)
システム最適化チェックリスト
- 予約開始日時の正確な計算:出発希望日の360日前を計算し、カレンダーアプリでリマインダー設定。前日23時50分にアラーム
- ブラウザ環境の最適化:
- Chrome推奨(最も安定)
- キャッシュとクッキーをクリア
- 不要なタブ・拡張機能を無効化
- 事前ログイン:JAL/ANA公式サイトに前日にログインし、セッション維持を確認
- 搭乗者情報の事前登録:
- 全搭乗者の氏名(パスポート表記)
- 生年月日
- 会員番号
- パスポート番号(国際線の場合)
- 決済情報の準備:クレジットカード番号をブラウザに保存、またはメモ帳に用意
- 複数デバイス待機:PC(メイン)+ スマホ(サブ)で同時待機。どちらかがエラーでも対応可能
23時55分~0時00分の実行手順
23時55分:スタンバイ開始
- JAL/ANA公式サイトの特典航空券検索ページを開く
- 出発地・目的地・日付・人数・クラス(ビジネス/ファースト)を事前入力
- 「検索」ボタンの直前で待機
- ページをリフレッシュしない(セッション切断を防ぐ)
23時59分50秒:最終確認
- 時報サイト(NICT 日本標準時)で正確な時刻を確認
- 入力内容に誤りがないか最終チェック
0時00分00秒:検索実行
- 時報に合わせて「検索」ボタンをクリック
- 数秒で検索結果が表示される
- 目的の便が「○」(空席あり)であることを確認
0時00分30秒~0時03分:予約完了まで
3分以内に予約完了させる手順
- 希望便を選択(クリック)
- 搭乗者情報確認(事前登録済みのため入力不要)
- 座席指定(後回し可能、まずは予約確定を優先)
- 決済情報入力(事前保存済みのため高速)
- 最終確認画面で内容チェック
- 「予約確定」ボタンをクリック
目標:検索開始から予約完了まで3分以内
この3分間は、他のユーザーも同じ座席を狙っています。迅速かつ正確な操作が勝敗を分けます。
360日前予約のさらに詳しい攻略法(複数デバイス連携、キャンセル待ち登録、JAL PLUSの判断基準等)については、【JAL特典航空券完全攻略】360日前予約完全ガイドをご参照ください。
Multi-city検索でストップオーバーを組む方法
アラスカ航空公式サイトで、ストップオーバーを含む複雑な旅程を検索する際は、「Multi-city(複数都市)」検索機能を使用します。
Multi-city検索の具体的手順
- アラスカ航空公式サイトにアクセス:https://www.alaskaair.com/
- 「Book」タブから「Award Travel」を選択
- 「Multi-city」オプションをクリック(デフォルトは「Round trip」)
- 旅程を入力:
- Flight 1: Tokyo (NRT/HND) → Helsinki (HEL)、日付:2026年3月15日
- Flight 2: Helsinki (HEL) → London (LHR)、日付:2026年3月20日(5日後)
- 「Passengers」で人数、「Class」でビジネスクラスを選択
- 「Find Award Flights」をクリック
検索結果には、JAL便を含む複数のオプションが表示されます。各区間の必要マイル数と、合計マイル数(この例では片道60,000マイル)が確認できます。
Multi-city検索のコツ
- 日付に柔軟性を持たせる:ストップオーバーの日数を1~14日の範囲で調整し、空席を探す
- 経由地を変えてみる:ヘルシンキがダメならフランクフルト、パリなど別の経由地で試す
- 片道ずつ検索する:往復で一度に検索するより、片道ずつ検索した方が空席が見つかりやすい
- 「Use miles」フィルターを有効化:マイル特典のみ表示するよう設定
キャンセル待ちの48時間前法則
360日前予約で取れなかった場合でも、諦める必要はありません。出発48時間前に大量の座席が放出されるという法則があります。
キャンセル発生のタイムライン
| 時期 | 現象 | 対応戦略 |
|---|---|---|
| 出発72時間前 | キャンセル料が変動開始 (早期警告シグナル) | キャンセル待ち登録を確認 通知設定をONに |
| 出発48時間前 | 最大放出ピーク キャンセル料急増のタイミング | 最重点監視 1時間ごとに検索 通知から3分以内に予約 |
| 出発24時間前 | 搭乗直前の最終座席調整 | 最後のチャンス 諦めずに検索継続 |
| 月曜朝9:00-10:00 | 週末計画整理による キャンセル多発 | 定期的にチェック (出発1~2ヶ月前が有効) |
| システムメンテ後早朝5:00-6:00 | 在庫整理による 特別枠放出 | メンテ情報を確認 翌朝早起きして検索 |
キャンセル待ちの実践手順
- JAL/ANA公式サイトでキャンセル待ち登録:空席通知メールを受け取る設定
- 出発48時間前のアラーム設定:スマホに通知、1時間ごとに検索
- 通知が来たら3分以内に予約:他のユーザーも同時に動くため、迅速な操作が必須
- 複数ルートを並行監視:第一希望がダメでも、別の日付・経由地で探す
私自身、この48時間前法則で何度も「満席」だった東京→ニューヨーク ビジネスクラスを確保した経験があります。諦めずに粘り強く検索し続けることが重要です。
キャンセル待ちのさらに詳しい戦術については、JAL特典航空券|キャンセル待ち完全攻略をご確認ください。
JMB会員番号の紐付けでステータス特典を享受
アラスカ航空マイルでJAL便を予約した後、自身のJALマイレージバンク(JMB)会員番号を予約に紐付けることで、JAL上級会員のステータス特典を受けられます。
JMB会員番号紐付けの手順
- アラスカ航空で予約完了後、Confirmation Code(予約番号)をメモ:6桁の英数字(例:ABC123)
- JAL公式サイトにアクセス:https://www.jal.co.jp/
- 「予約確認」ページへ移動:トップページ右上の「予約確認」をクリック
- Confirmation Codeと苗字を入力:
- 予約番号:ABC123
- 苗字:パスポート表記(例:YAMADA)
- 予約が表示されたら「会員番号を追加」ボタンをクリック
- 自身のJMB会員番号(9桁)を入力
- 保存して完了:通常、数分以内に反映される
JMB会員番号紐付けで得られる特典
【Diamond会員の場合】
- ✈️ ファーストクラスラウンジ利用(国際線)
- ✈️ サクララウンジ利用(国内線)
- 🎫 優先搭乗(最優先グループ)
- 🧳 手荷物優先扱い(ターンテーブルで最初に出てくる)
- 💺 座席アップグレード(空席がある場合、エコノミー→プレエコ等)
- 📞 専用カスタマーサービス(Diamond専用デスク)
【JGC会員の場合】
- サクララウンジ利用
- 優先搭乗
- 手荷物優先扱い

私がアラスカ航空マイルでJAL便を予約した際、成田空港のファーストクラスラウンジで搭乗前の数時間を過ごしたことがあります。寿司カウンター、シャンパン、静かな個室…これらを「マイルは他社、でもステータスはJAL」という形で享受できるのは、この紐付けのおかげです。
FAQ・トラブルシューティング|よくある質問15選

ここまで解説してきた戦略を実行する際に、読者の皆さんが直面するであろう疑問や問題を、FAQ形式でまとめました。
Q1. アラスカ航空でJAL特典が検索できない時の対処法は?
A. 以下の4つのステップで解決できます
- 「Multi-city」検索に切り替える:通常の往復検索では表示されないオプションが見つかることがある
- 日付を前後3日ずらして検索:希望日が満席でも、前後の日付に空席があることが多い
- 経由地を変える:成田発がダメなら羽田発、または逆
- ブラウザのキャッシュをクリアして再検索:古いデータが表示されている場合がある
それでも見つからない場合、アラスカ航空カスタマーサービス(英語)に電話すると、ウェブに表示されない空席を案内してくれることがあります。
Q2. Marriott Bonvoyポイント交換の反映期間は?
A. 通常5~7営業日以内に反映されます
Marriott Bonvoyポイントを航空会社マイルに交換すると、通常5~7営業日以内にマイルが加算されます。繁忙期(年末年始、GW等)はやや遅れることがあります。
重要な注意点:
特典航空券を予約したい日の10日前までに交換申請を完了することをお勧めします。ギリギリの交換は、反映が間に合わず予約できないリスクがあります。
Q3. マイル有効期限の管理方法は?
A. プログラムごとに異なる有効期限を把握し、定期的に活動する
| プログラム | 有効期限ルール | 延長方法 |
|---|---|---|
| アラスカ航空 | 最後の加算・利用から24ヶ月 | 少額のマイル購入、ポイント交換等で延長 |
| ユナイテッド航空 | 最後の加算・利用から18ヶ月 | 少額のマイル購入、オンラインショッピング等で延長 |
| ヴァージンアトランティック | 最後の加算から36ヶ月 | ポイント交換、フライト等で延長 |
| Marriott Bonvoy | 最後の活動から24ヶ月 | ホテル宿泊、ポイント購入等で延長 |
管理のコツ:
Excelやスプレッドシートで各プログラムの「最後の活動日」「失効予定日」を管理し、失効3ヶ月前にリマインダーを設定しましょう。
Q4. 特典航空券のキャンセル・変更はできる?
A. プログラムごとに異なるルールがあります
【アラスカ航空】
- キャンセル料:125ドル/人(出発前)
- マイルは全額返却される(手数料分のみ失う)
- 出発後のキャンセルは不可
【ユナイテッド航空】
- キャンセル料:無料(ただしマイルは返却)
- 変更手数料:無料(ただしマイル差額が発生する場合あり)
【ヴァージンアトランティック】
- キャンセル料:55ポンド/人
- 変更手数料:35ポンド/人
- ルールが厳格なため、予約前に旅程を確定させること
Q5. バイマイルでクレジットカードの利用制限を超えた場合は?
A. 事前に利用枠の一時増額を申請する
アラスカ航空でまとまったマイルを購入する場合(例:60,000マイル=約150,000円)、クレジットカードの利用枠を超える可能性があります。
対策:
- 購入予定日の1週間前までに、カード会社に一時増額を申請
- 増額理由:「航空券購入のため」と伝える(通常、すぐに承認される)
- 複数のカードに分割決済(アラスカ航空は対応していないため、1枚で決済必要)
Q6. 海外発券で「往復航空券がない」と入国審査で止められたら?
A. 予約確認書(英文)を提示して説明する
海外発券(例:バンコク→東京→シンガポール)でバンコクから出発する際、入国審査官に「往復航空券がないのか?」と聞かれることがあります。
対処法:
- アラスカ航空の予約確認書(英文)を印刷して持参
- 「Tokyo is a stopover, my final destination is Singapore」と説明
- 東京→シンガポールの区間も予約済みであることを示す
実際には、この質問をされることは稀ですが、念のため準備しておくと安心です。
Q7. JAL PLUSの変動マイルで予約すべきか判断に迷う
A. CPM評価で2.0円/マイルを超えたら有償航空券と比較検討
JAL PLUSでは、基本マイル(例:国内線短距離6,500マイル)より高いマイル数(最大23,000マイル)が表示されることがあります。
判断基準:
羽田→沖縄 普通席の例:
- 基本マイル:6,500マイル → ✅ 予約すべき
- 変動マイル:15,000マイル → 有償航空券(約20,000円)と比較 → CPM=1.33円/マイル → ✅ まだ許容範囲
- 変動マイル:23,000マイル → 有償航空券(約20,000円)と比較 → CPM=0.87円/マイル → ❌ 有償航空券の方が得
詳しいCPM評価基準はJAL PLUS完全解説をご参照ください。
Q8. Marriott Bonvoyポイントが60,000に満たない場合は?
A. ボーナスを諦めて少量交換するか、ポイント購入キャンペーンを待つ
例えば、50,000ポイントしかない場合:
【選択肢①:ボーナスなしで交換】
50,000ポイント → 16,666マイル(3:1レート)
→ ボーナスの恩恵を受けられないため、効率が悪い
【選択肢②:10,000ポイント追加購入】
Marriott Bonvoyは定期的にポイント購入キャンペーン(30~50%ボーナス)を実施
→ キャンペーン時に10,000ポイント購入 → 合計60,000ポイントで25,000マイル獲得
【選択肢③:ホテル宿泊でポイント獲得】
残り10,000ポイントをホテル宿泊で貯める(1泊約20,000~30,000円の支出で達成可能)
Q9. アラスカ航空のウェブサイトが日本語に対応していないのが不安
A. Google翻訳の自動翻訳機能を使えば問題なく予約できます
手順:
- Google Chrome でアラスカ航空のサイトを開く
- アドレスバー右側の「翻訳」アイコンをクリック
- 「日本語に翻訳」を選択
- ページ全体が日本語表示に変わる
翻訳精度は完璧ではありませんが、「検索」「予約」「支払い」などの基本的な操作は十分理解できます。不安な場合は、最初の1回だけ英語が得意な友人に手伝ってもらうと良いでしょう。
Q10. ストップオーバーで滞在できる最大日数は?
A. アラスカ航空は明確な上限を設定していませんが、14日程度が目安
アラスカ航空の公式ルールでは「24時間以上の途中降機」をストップオーバーと定義していますが、最大何日までという明確な制限はありません。
実務上の目安:
- 1~7日:問題なく予約可能
- 8~14日:通常問題ないが、稀にシステムエラーが出ることがある
- 15日以上:予約できないケースが増える(別々の片道として扱われる可能性)
私の経験では、10日間のストップオーバー(東京→ヘルシンキ10日滞在→ロンドン)は問題なく予約できました。
Q11. 2026年以降もこの戦略は有効?
A. 基本原則は有効ですが、ルール変更のリスクは常に存在します
予測される変化:
- ✅ 燃油サーチャージ回避の価値は継続:アラスカ航空・ユナイテッド航空のサーチャージ不要ポリシーは当面維持される可能性が高い
- ⚠️ 必要マイル数の段階的増加:アラスカ航空が再度チャート改定を行う可能性(過去の事例から3~5年周期)
- ⚠️ Marriott交換レートの見直し:60,000ポイントボーナスが縮小される可能性(低いが警戒は必要)
- ✅ ダイナミックプライシングの拡大:固定チャートが減り、変動制が主流に。本記事で解説したCPM評価の重要性が増す
対策:
今のうちに有利なルールで大量予約(360日前予約を活用)、ポイント分散保有(1つのプログラムに依存しない)、最新情報の継続的チェック(本サイトを定期的に訪問)
Q12. 家族4人分の特典航空券を取るコツは?
A. 複数プログラムを併用し、座席を分散確保する
家族4人でビジネスクラス特典を取るのは非常に難易度が高いですが、以下の戦略で可能性を高められます。
【戦略①:複数プログラムで予約】
- 父・母:アラスカ航空マイルでJAL便予約
- 子ども2人:ANAマイルでANA便予約(別便)
- → 1つのプログラムで4席確保するより、2つのプログラムで2席ずつの方が取りやすい
【戦略②:エコノミー→ビジネスへのアップグレード狙い】
- まずエコノミークラス4席を確保
- 出発1ヶ月前からアップグレード空席を毎日チェック
- Diamond会員ならアップグレード優先権あり
【戦略③:地方発着で選択肢を増やす】
- 羽田発がダメなら成田発、または関空発・中部発も検討
- 国内線乗り継ぎを活用して最終的に目的地へ
Q13. ビジネスクラスとファーストクラス、どちらがコスパ良い?
A. CPM評価では圧倒的にビジネスクラスが優れています
東京→ニューヨーク往復の例(JAL):
| クラス | 有償航空券 | 必要マイル数 | CPM | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| エコノミー | 約150,000円 | 60,000マイル | 2.5円/マイル | ⭐⭐ |
| ビジネス | 約1,200,000円 | 120,000マイル | 10.0円/マイル | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| ファースト | 約2,500,000円 | 200,000マイル | 12.5円/マイル | ⭐⭐⭐⭐ |
結論:
ファーストクラスの方がCPMは高いですが、必要マイル数が1.67倍になるため、同じマイル資産で「ビジネス1回 vs ファースト1回」なら、「ビジネス2回」の方が満足度が高い。ファーストは「特別な記念日」など限定的に使うべき。
Q14. 初心者が最初に始めるべきステップは?
A. 以下の5ステップで段階的に進めましょう
- Marriott Bonvoyアカウント開設(無料):公式サイトで登録。ホテル宿泊でポイント獲得開始
- アラスカ航空Atmos Rewardsアカウント開設(無料):公式サイトで登録。JAL便特典の検索・予約用
- JAL/ANAマイレージ会員番号取得:上級会員特典紐付け用
- 60,000 Marriottポイント貯める:カード決済・ホテル宿泊・キャンペーンで達成(目安:3~6ヶ月)
- 初回交換:Marriott 60,000pt→アラスカ25,000マイル→JAL国内線特典:まずは東京⇔沖縄往復(15,000マイル)などで練習。成功体験を積んでから国際線ビジネスクラスに挑戦
初心者向けの詳しいガイドは【JAL特典航空券完全攻略】初心者ガイドをご覧ください。
Q15. この記事の情報が古くなったらどうする?
A. CINEMILE を定期的にチェックし、最新情報を入手してください
マイレージプログラムのルールは、予告なく変更されることがあります。本記事は2025年11月時点の最新情報に基づいていますが、今後以下のような変更が発生する可能性があります。
- アラスカ航空の必要マイル数変更
- Marriott Bonvoy交換レート変更
- 燃油サーチャージのルール変更
最新情報の入手方法:
- CINEMILE 公式サイトを定期的に訪問(月1回推奨)
- 各プログラムの公式サイトで「お知らせ」「規約変更」をチェック
- マイラーコミュニティ(Reddit、FlyerTalk等)で情報交換
本サイトでは、重要な変更があった際に記事を更新し、読者の皆様に最新の戦略を提供し続けます。
まとめ|2026年を見据えた次世代マイレージ戦略

2025年、JAL・ANA・マリオットの三重改悪は、確かに多くのマイラーに衝撃を与えました。しかし、この記事で解説してきたように、「改悪=終わり」ではなく、「改悪=戦略の転換点」なのです。
本記事で学んだ12の戦略
- Marriott Bonvoyポイントを「マスター通貨」として活用:60,000ポイント単位交換で実質2.4:1の効率
- アラスカ航空最優先:JAL便で燃油サーチャージ完全免除、東京→ロンドン往復で84,000円節約
- ストップオーバー無料活用:1回の予約で2都市を巡る
- ヴァージン vs ユナイテッドの使い分け:ポイント残高 vs 現金支出のトレードオフを理解
- ANAマイルの出口戦略:シンガポール航空でサーチャージ回避
- 逆交換の禁止:JAL/ANAマイル→Marriott→他社マイルは価値毀損
- バイマイルのCPM評価:ビジネスクラス4.0円/マイル以上で価値あり
- 目的地別最適解:バンコク、シンガポール、ロサンゼルス等の具体的戦略
- 海外発券の裏技:25,000マイルでJALビジネス往復を実現
- 360日前予約戦争:3分以内予約完了の重要性
- 48時間前キャンセル待ち:最大放出ピークを狙う
- JMB会員番号紐付け:アラスカ航空予約でもJAL上級会員特典を享受
今すぐ始める5つのアクション
この記事を読み終えた今、すぐに実行すべきこと
2026年以降の予測:ダイナミックプライシング時代の到来
2025年の改悪は、おそらく「序章」に過ぎません。2026年以降、以下のような変化が予測されます。
予測される変化とリスク
- 固定チャートの消滅:JAL・ANAも完全ダイナミックプライシング化の可能性
- 燃油サーチャージのさらなる高騰:原油価格が上昇すれば、回避戦略の価値はさらに増す
- 海外プログラムのルール変更:アラスカ航空が再度チャート改定する可能性(3~5年周期)
- Marriott交換レートの見直し:60,000ポイントボーナスが縮小されるリスク(低いが警戒は必要)
しかし、これらの変化は「脅威」であると同時に「機会」でもあります。なぜなら、正確な知識と柔軟な戦略を持つ人だけが、変化の波を乗りこなせるからです。
最後に:改悪後の世界でこそ輝く戦略を
この記事を最後まで読んでくださった皆さんは、もはや「改悪に嘆くマイラー」ではありません。「改悪を好機に変える戦略家」です。
私はJAL Diamond会員として、この10年間、マイレージプログラムの変遷を見てきました。2010年代前半の「黄金期」、2015年頃の「第一次改悪」、そして2025年の「三重改悪」。しかし、その度に新しい戦略を見出し、むしろ以前より効率的に世界を旅してきました。
アラスカ航空でJAL便を予約し、燃油サーチャージ0円でロンドンへ。ヘルシンキで5日間ストップオーバーし、北欧の白夜を満喫。成田空港のファーストクラスラウンジで寿司を楽しみ、JAL Sky Suite IIIの完全フラットシートで快眠。これらすべてを、Marriott 240,000ポイント + 現金30,000円で実現しました。
あなたにも、同じ体験ができます。いや、この記事で学んだ戦略を駆使すれば、私以上に効率的に、より多くの旅を実現できるはずです。
2025年の改悪は、確かに痛手でした。しかし、諦める理由にはなりません。むしろ、今こそ、正確な知識と戦略的思考が最も価値を発揮する時代なのです。
さあ、一緒に新しいマイレージの世界を切り拓きましょう。
この記事が、あなたの次の旅の第一歩となることを願っています。✈️
最終更新日:2025年11月24日
執筆:CINEMILE
本記事の内容は2025年11月24日時点の情報に基づいています。
マイレージプログラムのルールは予告なく変更される場合がありますので、
予約前に各プログラムの公式サイトで最新情報をご確認ください。



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