SBI証券 vs マネックス vs 楽天|エンジニアが検証する「マイル還元率」の損益分岐点【2026年版】

new nisa crefit カード マイル戦略
※筆者撮影

【本記事の取り扱いについて】
本記事は、クレジットカード積立によるポイント獲得およびマイル交換効率を最大化するための検証ログです。各証券会社のサービス内容や還元率は頻繁に変更されるため、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。

「新NISA、どこでやるのが正解ですか?」

最近、職場の若手エンジニアから最も頻繁に受ける質問がこれです。2024年の新NISA開始時、答えはシンプルでした。「SBI証券×三井住友カード一択だ」と。当時のこの組み合わせは、バグレベルの還元率を誇っていたからです。

しかし、2025年。状況はカオスと化しました。
SBI証券は「改悪」とも取れる複雑な条件分岐を導入し、一方でマネックス証券はドコモと組んで強力な「1.1%還元」を打ち出してきました。

本記事では、これら金融機関の仕様変更をすべてデバッグ(検証)し、「最終的に何マイル手元に残るのか」という一点のみに絞って、エンジニア視点で比較・格付けを行います。

この記事で検証する3つのシステム

  • SBI証券(Vポイント):かつての絶対王者。現在は複雑な条件分岐(If文)が存在。
  • マネックス証券(dポイント):dカード積立解禁で急浮上したダークホース。
  • 楽天証券(楽天ポイント):圧倒的シェアを持つが、マイル効率はどうか。

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比較の前提:エンジニアは「実質マイル還元率」しか見ない

The Illusion of Rate:表面的な数字に騙されてはいけない。重要なのは「交換後」の質量だ。

多くの人が騙される「最大還元率」の罠

証券会社のランディングページ(LP)には、大きく「最大還元率 5.0%!」といった数字が踊っています。しかし、エンジニアなら「最大(Max)」という言葉に警戒すべきです。

  • 年会費33,000円のプラチナカードが必要ではないか?
  • 年間利用額などの前提条件(Dependency)があるのではないか?

多くのライトユーザーにとって、年会費無料〜数千円のカードで実現できる還元率こそが重要です。本記事では、「年会費無料カード」および「ゴールドカード(条件付き無料)」という、最も利用者が多い層(ボリュームゾーン)に絞って検証します。

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定義:「実質マイル還元率(MCY)」の計算式

ポイントがいくら貯まっても、マイルに交換できなければ意味がありません。そこで、独自の指標「実質マイル還元率(MCY: Mile Conversion Yield)」を定義します。

MCY算出のアルゴリズム

実質マイル還元率 = クレカ積立還元率(%) × ポイント→マイル交換レート(%)

例:1.0%還元のポイントを、0.5倍でマイルにする場合
→ 1.0% × 0.5 = 0.5%(これが真の実力値)

このMCYが高ければ高いほど、「少ない投資額で多くの航空券を生み出す優秀なシステム」ということになります。

SBI証券 × 三井住友カード|王者陥落?「100万円の壁」の真実

Access Denied:年間10万円の利用実績がないユーザーは、ポイント付与対象外となる。

まずは、最大手SBI証券です。三井住友カード(NL)やOliveフレキシブルペイを使うことで、Vポイントが貯まります。

改悪仕様のデバッグ:年間10万円使わないと還元率0%

2024年11月買付分(9月設定分)より、衝撃的な仕様変更(Breaking Change)が実装されました。

これまで、三井住友カード(NL)などの一般カードは「無条件で0.5%還元」でした。しかし新ルールでは、「カードの年間利用額が10万円未満の場合、還元率は0%」となります。

【Data】SBI証券の還元率マトリクス(2025年版)

カードランク年間カード利用額クレカ積立還元率
一般(NL等)
年会費永年無料
10万円未満0% (改悪)
10万円以上0.5%
ゴールド(NL等)
条件付無料
10万円未満0% (改悪)
10万円以上0.75% (低下)
100万円以上1.0%
プラチナプリファード
年会費33,000円
300万円未満1.0%〜2.0% (大幅低下)
500万円以上3.0%

見ての通り、非常に複雑な条件分岐(If-Else)が組まれています。
特に痛いのが、ゴールドカードユーザーです。これまで「一度100万円修行をして年会費永年無料」にしたユーザーでも、「毎年100万円使い続けないと、積立還元率1.0%は維持できない」という仕様になりました。

エンジニアの警告
「クレカ積立専用」として三井住友カードを死蔵させていたユーザーは、直ちに設定を見直してください。今のままでは、1ポイントも入らないまま積立だけが実行される「空転(Idle)」状態になっています。

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ANAマイル交換ルートの現状(みずほルートの生存確認)

SBI証券で貯まるVポイントの強みは、ANAマイルへの交換レートの高さにありました。

  • 通常交換:1ポイント → 0.5マイル(レート50%)
  • みずほルート:1ポイント → 0.7マイル(レート70%)

この「みずほルート(旧・東急ルートの後継)」を使うには、以下の複雑な中継サーバー(カード)が必要です。

  1. 三井住友カード(Vポイント)
  2. JRキューポ(JQカードセゾン等が必要)
  3. 永久不滅ポイント(みずほマイレージクラブカード/ANAが必要)
  4. ANAマイル

非常に手間がかかりますが、2025年時点ではまだルートは開通しています。しかし、このルートの面倒くささと、SBI側の還元率低下を合わせると、MCY(実質マイル還元率)は以下のように計算されます。

【Logic】SBI証券のMCY計算結果

条件:ゴールドカード(NL)使用、年間100万円決済達成済み(還元率1.0%)
ルート:みずほルート(70%)使用

1.0% × 70% = 0.7%

これがSBI証券の現在の理論上の最大値(一般層向け)です。
「年間100万円の決済」という重いタスク(CPU負荷)を背負って、ようやく0.7%のマイル還元。これを「効率的」と呼ぶかどうかは、意見が分かれるところでしょう。

結論:SFC修行僧以外には「高コストなシステム」になった

私の結論はこうです。
「すでに三井住友カードで年間100万円以上決済するライフスタイルが確立している人」にとっては、SBI証券は依然として有力です。

しかし、積立のために無理やり100万円を使おうとしているなら、それは本末転倒(Over Engineering)です。システム運用コストが高すぎます。

では、もっと「低負荷・高効率」なシステムはないのか?
そこで浮上するのが、次の章で解説するマネックス証券です。

マネックス証券 × dカード|2026年のダークホース

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ANAカード
ANAカード 旅の時間も、マイルも、あなたらしく積み重ねていく。ANAと歩む毎日を、今から始めませんか? A...
The Dark Horse:ノーマークだった「dカード」が、メインストリームを抜き去る瞬間。

2024年夏、ついにマネックス証券が「dカード積立」に対応しました。これを単なる「選択肢が増えた」と捉えるのは早計です。スペックを精査すると、これは「ライトユーザー(年間100万円使わない層)にとっての救世主」であることが判明しました。

dカード積立のバグ級スペック:一般カードでも「1.1%」還元の衝撃

他社が「ゴールドカードなら1.0%」「年間利用額に応じて変動」と条件を厳しくする中、マネックス証券は逆を行きました。

dカード積立の基本仕様(一般カード)

  • カード年会費:永年無料
  • ポイント還元率:最大1.1%
  • 年間利用額縛りなし(0円でもOK)

「年会費無料で1.1%」は、現時点で業界最高水準です。ただし、エンジニアとして細かい仕様(Exceptions)も見逃してはいけません。1.1%が適用されるのは「月5万円まで」です。

【Data】積立額による還元率の変動ロジック

一般のdカードを使用した場合、積立額のレンジによって還元率が変わります。

月間積立額還元率獲得ポイント
1円 〜 5万円1.1%550pt(満額時)
5万円超 〜 7万円0.6%+120pt
7万円超 〜 10万円0.2%+60pt
合計(10万円積立時)0.73%730pt

ここから導き出される最適解はシンプルです。
「無理して10万円積み立てるな。5万円で止めておけ」
月5万円(新NISAつみたて投資枠の半分)までの効率は圧倒的です。10万円枠を使い切りたい場合は、残りの5万円を他の証券会社(楽天など)で回す「分散処理」が最も効率的になります。

JALマイル交換の最適解:dポイント増量キャンペーンを狙え

マネックスで貯まるのは「dポイント」です。dポイントは通常、JALマイルへの交換レートが50%(2pt=1マイル)ですが、年に数回開催される「レートアップキャンペーン」を利用することで、効率が跳ね上がります。

【Logic】実質マイル還元率(MCY)の計算

  • 通常時:1.1% × 50% = 0.55%
  • キャンペーン時(実質60%レート):1.1% × 60% = 0.66%

「たった0.66%?」と思うなかれ。SBI証券で0.7%(みずほルート)を出すには、「ゴールドカード+年間100万円決済+面倒なルート」が必要です。
対してこちらは、「完全無料のカード+ただ待つだけ」で0.66%が出ます。コストパフォーマンス(ROI)の観点では、マネックス証券の圧勝と言えるでしょう。

ドコモ経済圏じゃなくてもマネックスを選ぶべき理由

「ドコモユーザーじゃないから…」と敬遠するのは損です。私はauユーザーですが、dアカウントは作れますし、dカードも発行できます。

マネックス証券自体も、エンジニア目線で評価すると非常に優秀です。

  • 「ワン株(単元未満株)」:買付手数料無料。配当金再投資のテストに最適。
  • 「銘柄スカウター」:企業分析ツールとしてプロ級の機能。これを使うためだけに口座を持ってもいいレベル。

楽天証券・auカブコム|安定稼働のサブシステム

次に、シェアNo.1の楽天証券と、Ponta経済圏のauカブコム証券を「マイル製造機」として評価します。

楽天証券:0.5%〜1.0%の安定感と「楽天キャッシュ」の併用技

楽天証券は、システムとしての安定性(Availability)が抜群です。改悪につぐ改悪がありましたが、現在は落ち着いています。

楽天マイル還元の仕様

  • 楽天カード(一般):0.5%還元
  • 楽天ゴールドカード:0.75%還元
  • 楽天プレミアムカード:1.0%還元
  • ANAマイル交換レート:50%(2pt=1マイル)

MCY(実質マイル還元率)は、一般カードで0.25%。正直、マイル目的としては弱いです。

ただし、楽天には「楽天キャッシュ積立」という独自APIがあります。これとクレカ積立を併用することで、月10万円(5万+5万)までポイント付与対象にできるのが強みです。
「マイルは貯まらないが、楽天ポイントとして消化するなら最強」。これが楽天証券の立ち位置です。

auカブコム証券:Pontaポイントの「JALマイル即時交換」

auカブコム証券は、au PAY カードで1.0%還元の積立が可能です(※今後0.5%への改定リスクあり、要監視)。

ここの最大の特徴は、Pontaポイントの流動性です。

  • Pontaポイント → JALマイル(50%)
  • 交換日数:約1週間(他社より早い)
  • 不定期で「20%レートアップキャンペーン」あり(実質60%)

JAL派で、かつ「すぐにマイルが欲しい」という緊急時には、Pontaポイントルートが最速のパス(Low Latency Path)となります。

最終比較:あなたのタイプ別「最適解」判定フロー

Optimization Logic:あなたの生活スタイル(変数)によって、出力すべき答えは異なる。

ここまで各社の仕様をデバッグしてきました。情報が多すぎてオーバーフローしそうな方のために、エンジニア式の「判定フローチャート」を用意しました。

以下の条件分岐(If文)に従って、自分に最適な証券会社を選んでください。

Type A: 年間100万円決済できる「ガチ勢」→ SBI証券

条件annual_spending >= 1,000,000 AND target_mile == 'ANA'

年間100万円を「自然に」使えるなら、三井住友カード ゴールド(NL)×SBI証券が最強です。1.0%のポイント還元を受けつつ、年会費無料でゴールドカードを維持できます。みずほルートを使えば、理論値0.7%のマイル還元を実現できます。

Type B: 年会費無料で放置したい「効率勢」→ マネックス証券

条件annual_spending < 1,000,000 AND cost_sensitivity == 'High'

「ポイ活のために無駄遣いしたくない」「年会費は払いたくない」。そんな賢明なあなたには、マネックス証券×dカード(一般)がベストアンサーです。月5万円積立で、確実に1.1%(マイル換算0.55%〜0.66%)を確保できます。年間コストゼロでこの性能はバグレベルです。

Type C: 楽天経済圏の住人 → 楽天証券(移行コストが無駄)

条件ecosystem == 'Rakuten'

すでに楽天カード、楽天銀行、楽天モバイルを使っているなら、無理に他社へ移管する必要はありません。移行コスト(スイッチングコスト)がメリットを上回るからです。マイル効率は劣りますが、SPU(ポイントアップ)の恩恵でシステム全体のスループットは高くなります。

比較サマリー:エンジニア用スペックシート(2026年版)

jal カード
JALカード
JALカード あなたの旅に、JALならではの上質な時間を。小さな一枚が、あなたの選択を変えます。 JAL紹介...

ここまで検証してきた各社の仕様を、一つのデータベースに統合しました。ご自身の「年間決済能力(Spending Power)」と照らし合わせてご覧ください。

表の見方

  • MCY(実質マイル還元率):マイル交換後の最終効率
  • 推奨属性:その証券会社を選ぶべきユーザー層
証券会社 × カード積立還元率
(最大値)
マイル交換レート
(ルート依存)
MCY
(実質マイル還元率)
推奨属性
SBI証券
× 三井住友Gold
1.0%
※年100万利用必須
50% 〜 70%
(みずほルート)
0.5% 〜 0.7%年間100万円
決済ガチ勢
マネックス
× dカード(一般)
1.1%
※月5万まで
50% 〜 60%
(JAL増量CP)
0.55% 〜 0.66%コスト重視
効率化勢
楽天証券
× 楽天カード
0.5%50%0.25%楽天経済圏
住人
auカブコム
× au PAYカード
1.0%50% 〜 60%
(JAL増量CP)
0.5% 〜 0.6%Ponta派
JAL派

データは嘘をつきません。
「無料で手間なく高還元」を求めるならマネックス「条件をクリアして最大値を叩き出す」ならSBIです。

CINEMILE管理人の実装ログ(2026年稼働環境)

Production Environment:私が実際に運用している本番環境の構成。

最後に、私が2026年に実際に運用する「証券口座ポートフォリオ」を公開します。
私はSFC(ANA上級会員)ホルダーですが、リスク分散のためにJALマイルも貯める「ハイブリッド構成」を採用しています。

もちろん毎月こんなに捻出できないので、貯蓄のボーナス併用です。これも全てポイントやマイルの為です!

管理人(エンジニア)の構成案

  • メイン口座:SBI証券(新NISAつみたて枠:月10万円)
    • 使用カード:三井住友カード プラチナプリファード
    • 理由:年間利用額300万円を達成済みのため、還元率2.0%〜3.0%を維持可能。Vポイントは全てANAマイルへ(みずほルート使用)。
  • サブ口座:マネックス証券(特定口座:月5万円)
    • 使用カード:dカード(一般)
    • 理由:完全放置で1.1%還元(550pt/月)を確保。貯まったdポイントは、JALのレートアップキャンペーン時にまとめてマイルへ交換。

このように、「メイン(ANA)とサブ(JAL)」で証券会社を分けるのが、私の生存戦略です。ひとつのカゴに全ての卵を盛るのは、システム運用において推奨されないからです。

まとめ:証券口座は「推し」で選ぶな、「API」で選べ

2026年の新NISA・クレカ積立戦争において、重要なのはブランドイメージではありません。「自分のメインカード(決済システム)と、最も相性が良いAPIを持つ証券会社はどこか」という視点です。

本記事の結論

  • SBI証券:すでに「三井住友カード」で経済圏を固めている人向け。100万円の壁を超えられるなら最強。
  • マネックス証券:これから始める人、あるいは「面倒な条件なし」で高還元を得たい全ての陸マイラー向け。

口座開設は無料です。
もし今、SBI証券で「還元率0%」のまま積み立てているなら、今週末にでもマネックス証券の口座を開き、設定(Config)を書き換えることを強く推奨します。その小さな修正が、10年後に数十万マイルの差となって現れます。

最強のメインカードはどれだ?

証券口座(エンジン)が決まりました。次は、それを回すための「クレジットカード(燃料)」選びです。

「JCBザ・クラスの招待が来ない」「アメックスの年会費が高すぎる」
そんな悩みに終止符を打つべく、以下の記事でJCB・Amex・Visaの「ステータスと実利」を徹底検証しました。

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